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魔法のジャム

 僕達は帰って来た。そこには見慣れたモンスター、スライムが居た。改めて仲間が増えた実感が出た。


「どうだった? 王達は」

 ミュラーが聞く、


「変わらないよ。いつものように優しく僕を受け入れてくれた」


「シルフィーが元気になって良かった」

 ミュラーが僕を見て言う、


「僕、元気なかった?」

 ミュラーの顔近くまで行ってその瞳を見つめる。


「ギルマスに会ってから、何かを気にしているみたいだったから……僕は良く解らないけど、大切な話だったんだよね」


「そうだね……でも、今はもう大丈夫だよ。心配してくれていたんだ。ミュラーありがとう」

 照れるミュラー、あっと


「そうだ、オベロンから、これを貰ったんだ」

 あの時貰ったジャムの瓶を出す。


「無くならない、ジャムなんだって。それに、秘密があるって言ってた。そのうち解るからって」

その瓶を見てスライムは喜ぶ。


「私はジャムが好きなんだ! 柔らかいパンに塗って食べるのが至福の時なんだ。さっき礼を言われた店主の店はパン屋でね、私がパンをもっと柔らかくした方がいいって提案したんだ。どこもパンは硬いものだと思っているようだったから。それで、ふかふかのパンを何度か作り私も試食したりしてやっと出来たんだ。それを売ってみたら、これが受けたって訳さ」

 にょきっと腕のような物がスライムから伸びジャムとってそれを舐める。


「美味い! 初めてだ。こんなに美味いジャムは、うん! パンが欲しいな、そうだ。あの店に行こう。私にはいつも分けてくれるんだ」

 と、スライムとは思えない位早く店から出て行く。そして、ふかふかのパンを持ってきた。それにジャムを塗ってスライム達と食べる。


「美味しい!」

 ミュラーもエリカも驚きの声を上げる。その声を聴いて、店にいた客達も一緒に食べる。


「美味い!」


 これで、明日のあのパン屋の売り上げは上がったね。と、思うスライムだった、宣伝はしといたよ。


 その中でミュラーが言う、

「不思議だ……あんなに疲れていたのに、身体が軽い……」

 店で同じ様に食べていた人間達も、同じ事を言う。


「ほんとだ……身体が軽い……」

 秘密ってこの事?

そこで、店に居た人が、


「そのジャムを少し分けて貰えないだろうか……うちに床に臥せっている妻に食べさせてあげたいんだ。最近は食欲もあまりなくて、殆ど食べていないんだ。これなら、あいつも食べれる」


「勿論いいよ」

 僕はお店から、空になった瓶を貰うとそこに、エリカがジャムを分けて入れる。


「ありがとう……妖精からの贈り物なんて……こんな事が……」


 と泣いている。


「早く良くなるといいね。僕も一緒にいってもいい? その奥さんに会ってみたいな」


「妖精が来てくれるなんて……嫌だなんて言う訳ないだろう、シルフィーの話はしているんだ。きっと喜ぶだろう……本当に……何て言ったらいいのか……」


「それじゃあ、行こうよ! そうそう、エリカ、そのパンも貰っていい?」


「どうぞ、はい! シルフィー、私達は先に宿に帰っているわね」


 エリカ達を見送った後、その男性の家に行く。僕を見て奥さんは驚く、男性は先ほどの話をして聞かせた。そして、早速ジャムを塗ってパンを食べる。


「美味しい……味が分かる……あんなに何を食べても味がしなかったのに……」

 と、瞳に光が力が溢れてくる。その姿に男性は嬉しそうだ。


「良かったね。これで元気になれるよ」

 そう言う僕を、優しく見つめて、

「ありがとう……シルフィー」


 その女性は食べる事が出来るようになって、元気になった。


【ブエナ・マハ】スペインの昔話で貧しい恰好の老婆に、親切にした病気の母親を持つ少年がその老婆から

貰ったジャムでタルトを作り食べさせた、(それは妖精が守る果樹園の果物から作った物だった)それをを食べた母親は元気になる、母親の元には美しい刺繍の糸やリボンの入った針箱があり、妖精からの贈り物だと知って刺繍や美しいリボンなどを売って、その稼いだお金を貧しい人に分けたそうです。

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