仲間が増えた
次の日は夜、街に行った。昼間はミュラーの剣の稽古をしていたから遅くなってしまった。ついでに食事もしていこうとなった。
「こんばんはー!」
と店の店主に挨拶をする。人間達は僕に声をかけてくれる。エリカ達も店に入る。店主が
「あんたが妖精を連れた剣姫か、精霊使いなのか?」
そう思われるよね。
「私は魔法は余り上手く使えないの、剣だけよ」
そこに、あのスライムがやって来た。店の人も街の人も笑顔になる。
その中から男が1人スライムに近寄って、
「よう! スライム、あの時はありがとうな。お陰で店は順調だ。また寄ってくれ!」
と、スライムの頭? をポンポンと撫でるように触って行く。
「そっか、良かったね。気が向いたら今度行くよ」
「本当に喋っている!」
ミュラーは嬉しそうに見ていた。僕はスライムに近づき、
「僕と一緒にいる冒険者を紹介するよ。こっちに来て」
とエリカ達の所に連れて来た。そこで、エリカとミュラーを紹介する。
「冒険者なのにモンスターと話がしたいなんて変わっている」
と、スライムは言う。
「そこにいる誰かさんのせいで、変わり者になってしまったわ」
と、僕を見てエリカが言う。
「それって、僕の事?」
少し拗ねてみせる。
「妖精ってこんなに喋るんだ」
スライムが言う。
「このシルフィーだけだよ。変わっているの。人間が好きで人間と話がしたいなんて妖精とは思えないわよね」
ふっと、エリカが笑う。
「君達は変わったパーティーなんだね、目的とかはないのか?」
ミュラーは
「そうだなあ、目的は特別ないかな? 最近はシルフィーから色々な妖精について教えて貰っているから、楽しいよ」
「冒険者なのに変わっているなあ、そこは嘘でもランクを上げたい。とか言う所だろう?」
スライムに言われてしまった……
「風の妖精なんだから、精霊使いと一緒かと思ったが……そこのお嬢さんは剣士だし、そこの坊主は‥‥‥テイマー……か? にしては、従えているモンスターは居ないね」
何も言い返せない‥‥‥
「貴方も僕達と一緒に行かない?」
突然の提案に誰もが驚く、店の店主、お客……通りすがりの人々‥‥‥
「……そうだな? それもいいかも知れない」
その返事に、人々は一斉にこちらを向く‥‥‥
「ここでのスローライフは楽しいからね、ここを出て行く事は考えていないよ。でも、外の世界にも興味はある。そこでだ」
と、スライムが分裂した!
「このスライムとは意識を同調させてある、同じ個体だよ。どちらも私だ。見た物や行動は一緒に体験できる」
「おお便利な機能だね、スライムってそんな事が出来るの?」
ミュラーは興味深々だ
「私達はこうやって増えていくのさ、私は分裂した事はなかったからね。だってこんなに喋るモンスターのスライムが沢山いたら大変だろう? 私も困る」
それはそうだ……想像すると……逆に怖い……
「そこの坊主、私とティム、主従関係を結んでくれ。それで君達と一緒に行けるよ」
ミュラーは困り、迷っていた。エリカの顔を見る。
「いいじゃない、仲間が増えても」
僕は勿論嬉しい! ミュラーは主従関係を結んだ。仲間が増えた。
子供好きな妖精は多い
【ラリー・ラリオシャ】子供に生きる喜びを与える。
【ビリー・ウィンカー】母親や乳母などが、子供の近くにいない時、子供をあやしてくれる。
【ダクスケット】眠りや夢をまく、子供にプレゼントをくれる。など他にも沢山いる。
 




