妖精を連れた冒険者
ギルドの中に入る、いつもの様に登録証を見せる。
「まあ、貴方がエリカ様ですか! では、その肩に居るのは妖精ですよね、素敵! 妖精に会えるなんて!」
今回の受付のお姉さんはいつもより反応はいい! こんな時は、僕は機嫌が良くなる。
「僕、風の妖精シルフィー宜しくね」
いつもより、キラキラさせて言う。お姉さんは嬉しそうに僕を見つめる、そんなお姉さんに
「宿を探したいと思っているのですが、森の近くに空き家などありませんか?」
エリカが聞く、お姉さんはずっと僕を見つめる。エリカの眉がピクリと動く、ちゃんと聞いているから……そんな怖い顔しなくても……お姉さんは、はっとして言う、
「ありますよ。モンスターも出ますが、殆どは弱いモンスターなので、問題はないかと」
僕を見つめる視線が熱い……
「ではそこを教えて貰えるかしら」
「では、案内します!」
「いいのですか? 受付から離れてしまって……」
「はい! 大丈夫です、ベルを置いてきましたし、それ程そこまでは遠くないので」
とにっこりと微笑む、案内して貰い歩く。ふわふわと飛んでいる僕を見てお姉さんは、
「シルフィーは今、何をしているのですか?」
と不思議そうに言う、
「あれはここに居るシルフィー、風の妖精達に挨拶をしているの」
空を見上げてエリカが答える。次にミュラーが、
「妖精は姿を見せないと言われているけど、あのシルフィーは、ああやって姿を見せてくれるんだ。でも、機嫌が悪くなると姿を隠してしまうけれど」
とミュラーは言う。暫く歩いて行くと目的の家に着いた。
「ここです」
森の中の小さな家だった掃除もされていて部屋の中は綺麗だった。
「いい家ね、暫くここを借ります」
「はい! ギルドの方にも顔を出して下さい。お待ちしています」
そう言ってお姉さんは帰って行く。
「さあシルフィーを呼びましょう。それから街に買い出しね、シルフィーと一緒にいきましょう。この街の人達とも話したいだろうから」
僕は呼ばれて家の中に入った、
「これからここに泊まるんだね」
「そうよ。これから買い出しに行こうと思っているのだけれど、一緒にいきましょう。街の人達に挨拶しないとね」
「うん!」
街に行く。実はこの森の妖精達にスライムの事を聞いてきたけど……この森には他のスライムはいるけれど喋るスライムはその一体だけみたいだ。街に行くともう僕の事を知っている人が沢山いた。
「本当に妖精なのかね?」
僕を見て首を傾げながら聞いてくる。
「そうだよ! 僕シルフィー宜しくね」
街の人達は親切で、買い出しに行ったら色々な物を貰った。帰って来てミュラーが言う、
「買い出しのはずだったのに、買い物以上に貰った物の方が多いや、シルフィーのお陰だね」
「僕また人間達と話がしたい!」
キラキラと家の中を飛び回る、
「そうだね。今日は外で食べようよ。何処かに食堂は有るはずだから、そこにあのスライムも来るかも知れないよ」
ミュラーも嬉しそうに話す。楽しみだよね!
食堂を見つけて入る。
「おや! あんた達かい? 妖精を連れている冒険者って」
僕はお店の人に、
「僕はシルフィー宜しくね。ここには沢山の人が来るんだよね。僕、色々な話が聞きたいんだ。このお店にまた、来てもいい?」
「まあ嬉しい! いつでもおいでよ大歓迎さ! 夜は酔っ払いが増えるけど、悪い奴はいないからね。陽気な奴等だから安心しな」
お店の人はそう言って笑顔を見せてくれる。
森には沢山の妖精達が住んでいる、ゴブリンも妖精であるが、あまりにも悪い事をするゴブリンが増えてしまい、今では、悪しき妖精と言われるようになった。国によって呼び名は違う。スペインでは【グラスコ】
ブラジルでは【アグナン】ドイツでは【ツヴェルグラ・シェール】など、庭を荒らし、家畜を食べてしまうなど悪戯とは言えない事をする。
 




