ノッカー救出
「これを連れて鉱山に行って来い」
そう言って籠を渡す。
そこにミュラーが呼ばれた。
「こいつが金脈をみつけたんですよ」
「ほう、アイツと相性が良いのか? こいつも一緒に連れて行け」
と男の所の元へ行く。よし! タイミングを見て何とかしよう。
男はノッカーの籠とミュラーを連れてトンネルに入る。
「ほら、教えろよ!」
と籠と叩き鉱山を巡る。すると、コンコンという音を立ててノッカーが知らせる。
「ほう、今度はそこか! おい! 坊主、そこを掘れ」
ミュラーはスコップを手に取り掘る。暫くすると何かが見えてきた。
「黒曜石か! いいぞ! 他の奴らも呼んで来い」
『ミュラー今だ! その籠を持って走って! 途中で転ぶ振りをして籠を開けて!』僕はミュラーにだけ聞こえるように話す。人が集まる中ミュラーは籠を持って走る。
「おい! その籠を持ってどこへ行く、戻せ!」
「だって邪魔じゃないですか、僕が避けて置いておきますよ。おっと!」
と、転ぶ。籠も落ち扉が開く、そこで僕は強い風を起こす。砂埃が舞う。男は叫ぶ、
「わあ、何て強い風だ! 前が見えん!」
……『今だよ、ノッカー!』そっと話す。
ミュラーはわざとらしく立ち上がり、籠を持ち直してその籠を持ってあの小屋に入る。
「親方さん、僕やっぱり帰ります、身体中が痛くて……」
そう言って出ようとすると出口を塞がれる。
「おい、坊主なんて事をしてくれなんだ。ノッカーはこの籠には居ない。貴様まさか逃がしたのか!」
ジリジリと近づく鉱夫達。そこで、僕は姿を隠したまま籠の中でカンカンと音を鳴らす。
「ノッカー居るのか。後からパンを持って来てやるからな」
と頭と言う男は機嫌を直す。ミュラーは帰る事を許された。
エリカは炭鉱の入り口でずっと待ってくれていた。
「エリカずっと待っていてくれたんだよね」
一緒に帰りながら話す。
「何かあったら乗り込むつもりでいたから…‥良かった無事で……」
「でも、ここは直ぐにでも出た方がいいね。ノッカー達は他の鉱山に行ったからここは何も出ないよ。その原因を作ったのは僕達だからね、バレたら大変だ」
「そうね、自分の為に従わせるなんて許せないけど、これで妖精の有難みが解るといいのだけれどね。それじゃあ、すぐ此処を出ましょう!」
僕達は宿を出てその街を離れた。
鉱山の街を後にして北へと向かう。途中、グリフォンを休ませる為に歩く。
季節は夏に向かっていた。
【鉱山いる妖精】コブラナイ、単体だとコブラン、ノッカーと同じように「コンコン」と岩盤を叩き良質の鉱脈を知らせてくれる、その姿を見たり聞いたりした者には良い事があるが、馬鹿にすると石を投げるらしい、その石によって人間は傷ついたりはしない。




