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鉱山の妖精

「そうね、後からシルフィーに聞いてみましょうか」


 宿に着く、

「ここかしら?」


 中に入り、宿の主人らしき人物にギルドの紹介で来た事を話す。部屋に案内されてはいるとベッドは1つしかない……


「あの、部屋をもう1つ借りる事は出来ませんか?」


「姉弟でも部屋は別のがいいのか」


 ここでも姉弟に見られているのか‥‥‥ミュラーは

「僕、エリカと一緒がいい」


「ミュラーがそう言うのなら、このままこの部屋にしましょうか」

 では、と主人は部屋を出る。


「森に近いといっても、結構周りは人が多いよね。鉱夫の人かな?」

 と部屋の窓から外を見てミュラーが言う、


「ミュラーお腹空かない? 何か買ってここで食べましょう。そうすればシルフィーと一緒に食べれるから」


「シルフィーはまだ呼ばなくていいの?」


「……ここは……余りいい感じがしないのよ」


「エリカの勘?」


「そうね、ここの空気の感じは……」


 街には沢山の鉱夫らしい人達が店の前で食事やお酒を呑んでいた。お店で色々と買って部屋に帰る。

その部屋にシルフィーが居た。エリカは驚いて言う。


「よくここが解ったわね」


「……エリカ……頼みがあるんだ。どうやら、僕の仲間の妖精が捕まっているみたいなんだ」


「妖精って姿は見せないのでしょう? どうして捕まっているの?」


「どうやら、鉄で編んだ網に捕まってしまったようなんだ。鉄の籠に入れられ、金の鉱脈を探せと言われてトンネルの奥にいるらしい、ノッカーは優しい妖精なんだ。そんな事をしなくても教えてくれるのに」


「……僕は鉄には触れない。エリカ助けて」


「いいわ。そのトンネル教えてくれる? 今から行きましょう」


 僕は姿を消して案内をする。トンネルの前に行くと


「女は鉱山に入るな! 汚れる!」


「僕なら問題ないよね。仕事をやらせてよ」

 ミュラーが言う。


「ここにいるやつは金が欲しくて仕事をしている。力仕事だがお前に出来るのか?」


「試しに使ってみてよ。そうすればわかるでしょう?」


「じゃあ、付いて来い」


 僕は姿を消したままミュラーの肩に乗る。ミュラーに

「ここには妖精のブルーキャップもいる。手伝ってくれるから大丈夫だ」


「試しにここを掘ってくれ金の鉱脈があるらしいから、見つけたら分け前を渡してもいい。頑張れよ。坊主」

 ハンマーとスコップしか渡されなかった……これって諦めろって言われているのと同じだよね。案内した男が居なくなったのを確認して、僕はブルーキャップを呼ぶ。


「金脈があるらしいんだ手伝って。報酬は払うよ」


 ザクザクと音を立てて穴が掘られていく。ミュラーもスコップを手にして砂や岩をかき集めていく。すると、金が見えてきた。その金の欠片をブルーキャップに渡す。


「明日も来たら宜しく頼むよ」


 勿論ミュラーにはブルーキャップは見えていない。休憩をしていると、さっきここに案内した男が現れる。


「おい! 金じゃあねえか! すげえ! 本当に出た」


 男は喜んで外へ出る。捕らえられたノッカーは何処にいるのか、その男の後を追う。すると小さな小屋に入る。中には籠が置かれている。その籠の前に男が椅子に座っていた。入って来た男を見る。


「頭! 出ました! 金です!」


「ほう、やっぱりそうか。ほら、ノッカーよ。まだ他にもあるんだろう? 教えろ」

 そう言って籠を突く。その姿は人間には見えていないはずだ。僕には見えている。籠の真ん中で震えているノッカーが。


【ノッカー】鉱夫達に良質の鉱脈を「コンコン」と岩肌を叩き知らせる、その為ノッカー(叩く者)と呼ばれている。落石の危険を察知すると四方八方に向けて激しい音を立てて人間に警告を与えてくれる。

時々姿を見せる時もあるようだが、見られると、鉱山から出て行き鉱山は枯れると言われている。

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