鉱山の街
「北に向かって行きましょう。途中に鉱山の街があるからそこに寄ってもいいかしら?」
「僕等妖精は鉄が苦手だから……でも、触らなければ大丈夫だよ」
と、エリカに話す。
「そうなのね、解ったわ。それではそこには妖精は居ないのかしら?」
「鉱山にも妖精は居るんだ。鉱夫達の仕事の手伝いをしている。鉱山にも色々な物があるでしょう? それを見つけてくれたりするんだ」
ミュラーは、
「僕達、シルフィーのお陰で色々な妖精に詳しくなるね」
嬉しそうに言う、そんなミュラーに
「言わないだけだよ。まだまだ沢山いる。シルフィーだって僕達と一緒に飛んでいるよ。人間と僕達はいつも一緒なんだ。人間達に気づいて貰わなくても妖精は居てくれるんだって思ってくれるだけでいい」
とエリカは急に寂しそうに上を見上げて。
「そう思うと、私、ヴィヴィアンにちゃんとお礼を言えていたかしら? 城にって言われて怒ってそのまま出て来てしまったから……育てて貰って生きる為の剣も教えて貰ったと言うのに……」
そう言って悲しそうに俯く、そんなエリカに
「ヴィヴィアンは本当は解っていたんだと思うよ。エリカがこの世界を嫌っている事を、だって勝手に連れて来られて、挙句に森へ捨てられたそうでしょう?」
そこで僕は考える。
「……本当なら殺されていたのかも知れない。森に連れて来た人も本当はその子供を殺してこいと命令されていたんじゃないかな……森に連れてきたのは、そこには妖精が居る……子供好きな妖精は多いからね。だから、エリカの事を思って森を選択したのかも……今となっては本当の事は分からないけれど」
エリカは僕を見る。……そうかもって顔だね。そんなエリカに聞いてみる。
「エリカ、君はこの世界に召喚した人間を憎いって思っている?」
「初めはそう思っていたけれど……もう今はそんな事はどうでもいい! この世界が好きよ。だから、憎んだり恨んでなんかいないわ」
うん! エリカ良い顔だ。ヴィヴィアンもきっと解ってくれるよ。いつかは自分の元から巣立っていくのだから……
そうしてエリカ達と話していたら、その鉱山の街に着いた。
グリフォンから降りてギルドを探す。
その街の小さな所にあった。商業ギルドと一緒になっていた。
「エリカ様ですか!」
と受付のお姉さんの反応はいつもの事
「本当に妖精を連れていらっしゃるのですね」
僕を見つめる。この反応も好きだなあ、
「宿を教えて欲しいのだけれど、森の近くにはないかしら」
「そうですね……鉱山の街なので、旅人が数日泊まれる様な所しかございませんが……よろしいですか?」
「そうよね……では、お願いします」
「ではここですね。ここでしたら森に近いので、ご希望にほぼ合うかと……」
「では、そこへ寄らせてもらいます」
その宿に向かって歩く……ん~鉄の匂いもするなあ。やっぱり苦手かな? ノッカーやブルーキャップもいるのかな? 彼等の所に行ってみよう。
「エリカ。僕、妖精達に会ってくるよ。宿が決まったら教えて」
そう言って森を探す。
「ここには、どんな妖精がいるんだろう?」
と、ミュラーは嬉しそうにエリカに言う。
【鉱山の妖精】・ノッカー:鉱山で働く人にとても親切にしてくれる。鉱脈を探してくれる。
・ブルーキャップ:鉱山の労働者の幽霊とも言われている。
働き者だが、報酬を求める、報酬が不当だと判断すると、怒りそのまま消えてしまう、逆に余分なお金は置いて行く。(良心的ですね)
 




