新たな旅立ち
宿に戻ると街の人達が居た。
「シルフィーありがとう」
と、色々な人からお礼を言われた。そんな人達に僕は
「こっちこそゴメンよ。妖精の悪戯好きには困ってしまう。悪気があってこんな事をしたんじゃないって事は分かって欲しい」
と頭を下げた。街の人間達は、
「いいんだよ。謝らないでおくれ、大丈夫だよ。子供達は楽しかったって言っているんだから」
と言って許してくれた。僕はその妖精について語る。
「オーレ・グレイエ、眠りの妖精だよ。『オル・フェルム・ルイユ』とも呼ばれているんだ。子供が大好きで、いい子供には楽しい夢を見せてくれる。夢の中で沢山楽しい話を聞かせてくれるんだよ。彼は数えきれない位の話を知っているんだ。反対に悪い子供には夢は見せないんだ」
人々は僕の話を聞いてくれていた。そんな人達に、
「僕は悪い子供なんていないと思っているけどね」
笑顔で言う。
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ミュラーは最近ボロボロになって帰ってくる。
「ミュラー身体大丈夫? 最近ボロボロじゃないか」
ミュラーは小さな小瓶に入った飲み物を飲む。
「大丈夫だよ。ほらこれ、この街には回復ポーションを売っているからね。体力には問題ない!」
「そんな風には見えないけど……エリカの稽古に口を出すつもりはないけど……あのさ、ミュラーの服何とかならない?」
エリカも
「そうね、明日仕立て屋に行きましょう。背も伸びたから新しい服を買わないとって思っていたから」
翌日仕立て屋に来た。
「エリカ様はよろしいのですか?」
と店員に聞かれる。
「私はいいわ。その子だけで、少し大き目に仕立てて頂戴」
「解りました。成長期ですからね、またすぐに服も入り用になるでしょう。それと……なるべく丈夫な 生地でお作りしておきますね」
擦り切れた服を着ているミュラーを店員は見て言う。
「宜しく」
その後も街を歩く。街の人間達は、僕の姿を見つけると手を振り声をかけてくれる。
「エリカ、今日はギルドには行かないの? ミュラーは行っているけど?」
「そうね、最近またあれからモンスターが減って討伐依頼は少ないから、私に回って来ないのよ。“エリカ様にはこんな小さな依頼は申し訳ない”って。ミュラーは小さな依頼を頼まれる事はあるから、仕事が無い訳ではないのだけど……」
あぁそうか、エリカは考えているんだ。僕はエリカに近づき
「エリカ、他の街へ行こうよ。話すスライムに会いたいな。まだ、そこまで遠いんでしょう?」
ミュラーも
「うん! いいんじゃない。僕の服が出来たらね」
「そうね、行きましょうか」
ミュラーの服も仕上がった。
宿屋の女将にお礼を言って街の人達にも挨拶をする。勿論ヤムとアドラーにも
「またな、シルフィー」
そう2人に言われた。
「うん!」
皆に見送られて飛び立つ。
オル・フェルム・ルイユは眠っている子供にしか話さないそうです。お気に入りの子供がいるとその子供がはっきりと目覚める前に夢と現実を行ったり来たりさせるといいます。
彼には双子の弟がいて名前は同じように呼ばれていますが服装は違います。物語を聞かせてくれる所は同じです。
(詳しく説明すると長くなってしまうのでここまでにします…んー本音は書きたい)
 




