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宿にいる妖精達

 その場にいた誰もが驚く。僕が大きくなった姿を見たのだ。そうなるかな? これが本来の姿なんだけど


「シルフィーだよね」

 アドラーが言う。


「そうだよ、これが本来の姿なんだ」

 そう行った後小さくなる。ギルマスは笑顔で


「いやーあの匂いは久しぶりだが、やっぱり臭かったよ。シルフィー助かった!」


 粉々になったワームの欠片を小さなワームが食べていた。


 僕があまりにギルマスの顔を見ているので


「何か聞きたいって感じだね。君は何を知りたいのかな?」


「僕、自分の事がまだ解らないんだ。貴方なら、何か知っているんじゃないかと」

 僕の顔を見て言う。


「そうか、自分が何者か解らないから不安なんだね。オベロンが特別だと言ったのにはちゃんと訳があるのだよ。君はいずれ選択を迫られるだろう。それまで自由に好きにこの世界で過ごせばいい、怖がる事はない君は今、風の妖精シルフィードなのだよ。その姿は魂を持っている証みたいなものだ。私から言えるのはここまでだ。これ以上はオベロンからお叱りを受けてしまう」


 良く解らないや……しゅんとする僕をエリカは優しく両手で包んでくれた


「シルフィー帰りましょう」


 ギルマスは大きな声で


「皆、ありがとう! ワームによる脅威は避けられた。ゲイザーもこれだけ数を減らせば問題はなかろう後は自然の摂理でちゃんと動いていく。帰ろう!」


 僕達は街に帰る。ギルドに行くとみな其々報酬を受け取り帰って行く。勿論ギルマスに挨拶をして。その様子をギルマスはすべての冒険者が帰るまで見送る。皆帰った事を確認すると


「さて、では私も帰ろう。帰ったら書類の山と暫くは格闘だ」

 ギルマスはグリフォンに乗ったままそう言って笑う。


 受付のお姉さんは頭を下げて

「お忙しい中、お力を貸して頂きありがとうございます」


「なあに、仲間の為だからね。私も久しぶりに魔法を使ったが、うん、腕は落ちていないようで良かった」

 

 ギルドのお姉さん達に見送られながらギルマスは帰って行った。

僕達も宿に帰る。すると、女将さんが僕が大きくなれる事を知って、見せて欲しいと言われたので人間サイズになる。


「はあ、まるで天使だねえ」

 いつも言われる台詞だ。


「種族が違うよ」

 そう言う僕に、女将は

「そうだよね、シルフィーは妖精だものね」


 と笑顔で言われる。


「そうだよ、風の妖精シルフィーはこの姿だよ。僕だけが特別な姿じゃない。他の妖精だって見えないだけなんだ。この宿には沢山の妖精がいるよ。ブラウニーや何故かドモヴォイまでいる。この宿を守ってくれているんだ」

 その話を聞いて女将さんは


「そうなんだ。この宿はね、昔は何処ぞの貴族が暮らしていた所なんだ。その貴族は没落して居なくなってね、それを私の祖父が買ってここで宿と食堂をするようになったのさ」


「そうか! だから馬屋にも妖精はいるんだね」


「そうなのかい。有難いねえ。私ら人間は、もっと妖精の事を知らないといけない気がするよ」


「そう思ってくれるだけでいいよ。僕等は見返りを求めていない。許すなら部屋の隅にパンとミルクを置いてくれると嬉しいかな?」


 女将さんは驚いたように、

「そんな事でいいのかい?」


「うん! それだけでいいよ、それで妖精達は喜ぶんだ」

 僕は女将さんに言う。


【馬小屋の妖精】オヴィニックやヴァシリーは馬の世話をしてくれる。彼等の触った麦を食べた馬は大人しく、元気に働くと言われています。

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