大きなワームの存在
「世の中には分からない事の方が多いのかも知れないね。スライムだって、あのスライムだけ喋る事が出来ている。他のスライムを見てもやっぱりスライムはスライムなんだ……」
「あっ! それともう1つの情報を教えよう」
何か思い出したようだ。アドラーは僕達に近づき
「何故最近モンスターが少ないのか……それは……ワームがモンスターを食べているからみたいなんだ。かなり大きくなっているらしい、このままにしていいものか迷っているんだ。魔物を食べてくれるのは有難いが食べるモンスターが減り居なくなったら……今度は人間を襲ってくる可能性もあるのではないかってね」
それを聞いたエリカは、
「迷うって……それが本当なら大変じゃない! ギルドに相談しないといけないのでは?」
アドラーは
「もう、ギルドでもそれは把握しているよ」
エリカが聞く
「それで、ギルド長は何て言っているの?」
「ん~情報が少ないから困っていると聞いた。ワームは地中の中にいるから見つけにくい」
僕はあの時上から見ていた。
「僕、あの時上から見ていたけど、大きいワームは何匹か居たけど一匹やたらと大きなのがいたなあ。ゲイザーを何匹も丸飲みしていたから。でも、そんなに大きくないワームもいたよ」
アドラーは、
「それだけではなあ……討伐依頼は出せない。かな? あれってちょと厄介なんだよ。再生能力が強いから」
そうだ! 僕は、いい案を思いついた
「ねえ! ギルドマスターに相談してみたら?」
……皆の顔色が変わる。そこでアドラーは言う。
「……そんなに簡単に会える方じゃ……ないよ……」
? 何か変な事、僕言ったかな? 皆の顔を見る。
「僕は会えるよ!」
その僕の言葉に周りは凍り付く‥‥‥
「……? だって……」
と言いかけてエリカに言葉を遮られる。
「私も一度お会いしています。マスターから直接依頼を受けた事もあります……」
そこでヤムが
「へえ! 流石は剣姫だ。直接依頼を受けたなんてすごいなあ」
そこで、皆がほっとして話を始める。エリカは
「ギルド長からマスターに連絡をして貰ってもいいかしら、エリカが伺いますとそう伝えて下さい」
アドラーは、
「分かったよ。伝えておく、君達はこの上の宿に居るのだろう? それなら、連絡が来たらまた来るよ」
と、手を振って帰って行く。
ヤムは、
「マスターに会った事があるんだ……俺達冒険者のトップに……と言うかこの世界の頂点にいるといっても過言ではないぞ。人間の世界には多くの国が存在する。その王族でもあの人には敵わないんだ。俺はギルマスの顔は知らんが、エルフって言う事は知っている。長い事マスターをやってるが、昔は冒険者をやってたんだ。最強のエルフって言われていたらしい、魔法も剣術も凄いらしいぞ」
「そうだったんだあ!」
と、僕は叫ぶ。もの凄い先輩じゃないか! いいなあ、そのパーティに入って見たかったなあ、と妄想していると
「シルフィーそんなに分かりやすく嬉しそうにしない」
とエリカからちょんと指で頬を突かれる。そして、
「それでは私達は部屋で連絡を待ちましょう。ミュラー剣の手入れもしっかりやっておくのよ」
ミュラーも、
「うん! 分かった」
ギルドマスターって、そんなに偉い人だったんだ……そう言えば人間に顔が利くって言っていたっけ?
翌日アドラーがヤムと一緒に慌ててやって来た。
「エリカ! マスターがこの街に来る!」
「えっ!!」
と、一同に驚く。アドラーが続けて言う、
「直接指示が出せるからと言っていたそうだ。君達は凄いねえ、あのマスターを動かすなんて……しかもこの街に来るって……あのマスターは謎だらけだからね。顔も知らない人の方が多いと思うよ」




