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小競り合い

 その日も皆僕に沢山話をしてくれた。笑顔が一杯だ、僕はキラキラと飛ぶ。


  その夜あの大柄な男性が僕に


「そうそう。シルフィーが言っていた、話すスライムだが。知り合いが会ったらしい。面白いやつだったって言っていたぞ。なんでもその街の住人はそのスライムを気に入っていてな、時々街に来ては人間相手に説教したりするらしい。雑魚モンスターなのにあんなに喋られたら倒す気にならんってな。どうだ? 面白いだろう?」

 

 わあー本当に居るんだ!


「そうなの! 何処にいるのか分かる?」

 キラキラさせながら思いっきりその大きな顔に近づく


「おいおい、近い近い! 目がチカチカするから、あまり近づかないでくれ。分かった、分かったから」

 そう言うので、少し離れる。


「明日、そいつを連れて来てやるよ。直接聞いた方がいいだろう? 明日この街に帰って来るからな」

 と、僕にウインクをする。


「うん!」

 と更にキラキラさせて飛ぶ。


 食堂には沢山の人間が僕に会いに来る。


「シルフィー果物はいるかい? それとも木の実がいいかな?」

 と、色々くれる。そんな僕を見てエリカは、


「本当に何処でも直ぐその場に馴染んでしまうのね。見てミュラー、シルフィーを見る人達を。嬉しそうよね。妖精は幸せを運んでくれると言われているから、こんなに姿を見せられたらあんな顔になるのも仕方ないかしら」


 厳つい男性もシルフィーを見ると子供のような瞳で見つめる。


「ねえねえ、エリカ。こんなにも貰っちゃったよ。一緒に食べよう」


 妖精を連れた剣姫。エリカは、そう呼ばれるようになっていた。

 と、その、食堂の隅で小競り合いが起きていた。


「もう一度言ってみろ!」

「何度でも言ってやる! この腰抜け野郎!」

「おう! 外に出ろ! 腰抜けかどうか勝負しようじゃないか!」

 野次が飛び交う中、男達は外に出た。ミュラーは

「大丈夫かな?」


 エリカは、

「気にしなくてもいいのよ、酔っ払いは直ぐ熱くなるから」


 外の野次馬は増えて行く。その野次馬達は2人をあおる。初めは素手でやり合っていたが、誰かが2人に剣を渡した。金属が当たる音が響く、その音にエリカは顔を歪ませる。


「うるさい!」

 エリカが両手で机を叩く。それでも野次馬達は騒ぐ。ミュラーが僕の翼を掴んで自分の元に寄せる。


「エリカ怒っているよ、顔が怖い……」

 エリカは立ち上がりツカツカと外へ出ると、野次馬達をかき分け小競り合いをする2人の剣を素手で掴む。


「やるなら、相手を殺す気でやりなさい。本気でないのなら剣を持つ資格は無い」

  と、2人を睨む。


「剣姫に言われたら……」

 2人は静かになり野次馬達も静かになる。


「全くこれだから男って面倒よね、力の強さと臆病は違う。腰抜けって言われて頭にくるようならまだまだね。自分より強い相手の前に出たら本能で分かるものよ、それで退いたっていいじゃない。命は1つなのよ」


 集まっていた野次馬達は散って行く。エリカは食堂に戻り食事を続ける、そんなエリカを見てミュラーは言う。


「やっぱりエリカは凄いや……」

 ミュラーは食事は終わっていた。


「あんな奴らより、今のミュラーの方が全然強いわよ。モンスターも今では1人で倒せるじゃない」

 食事を終えたエリカは言う。


 そう言う問題じゃない気がするんだけど……と僕は思う。剣を素手で掴む時点で……と言うか。細かく言うと、指で摘まんだって感じだったからね……エリカ、凄いよ。



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