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冒険者と宿屋

「何故私達を付けている」

 そうエリカに言われて男は、両手を挙げて言う。


「悪かった、悪かったよ。剣を収めてくれ。剣姫とやり合う気など無い!」

 エリカは剣から手を離す。


「ふう……おっかねえ。まあ怪しいわな。こんなおっさんが後ろにいたらよ……あんたらが妖精を連れているって聞いてな、ちょっと気になったんだ。もしかしたらその妖精ってシルフィーかも知れないって思って。でも、姿がないから違うのか? と声をかけづらくってよ」

 エリカは驚く

「シルフィーを知っているのですか? それは、申し訳ない無礼を許して下さい」


エリカは頭を下げる。


「おい、そんな事しないでくれ。俺が悪いんだから、迷って声をかけなかったのがいけなかったんだ。それでシルフィーは?」


「今頃、森で遊んでいるわ。私達は先ほどこの街に来たばかりで。今宿を探している所なの」


「そうかい、俺が今利用している宿は下が食堂になっている。どうだ? 便利だぞ、飯は美味いしな値段もそう高くないが値段の割には良い部屋だ。それに、久しぶりにシルフィーとも話たいしな」

 大柄なその男は、悪い人には見えない。物取りならとっくに取られている。物取りに会ったとしても取られたりなどしないが、ミュラーが聞く


「貴方も冒険者なの?」


「そろそろ引退を考える年になってきたが、若い者には負けんよ」

 大きな口でひっこり笑う。エリカが


「その宿を案内してくれないかしら?」


「おおよ! 任せな。こっちだ」

 男の後を一緒に歩くと看板が見えてくる。綺麗な装飾がされた目を引く看板だ。そこへ男は入って行く。


「よう、女将! お客を連れてきたぜ。上の部屋は空いているだろ?」


「まあ空いているけど、そこのお嬢さんと坊やこんな所でいいのかい? もっといい宿屋はあったろうに」

 人の良さそうな女将さんだ。


「あんた無理に連れてきたんじゃないだろうね。この人ちょっと強引な所があるから、迷惑なら断ってもいいんだよ」

 そうだ、あの事も言っておいた方がいいだろうとエリカは、


「あの、実はもう1人と言うか……妖精が一緒にいるのですが、変わった妖精で人間に姿を見せてくれるんです。それで、その妖精は話好きで……良かったらこの店に顔を出して話相手をしてもらってもいいですか? お邪魔にはならないと思いますが」


 女将は驚く、

「まあ! それは凄い! 有難いじゃないか! こんな所でいいのかい? ここの客は知ったやつばかりで悪いやつは居ないが冒険者が多いからね。ちょいと賑やかだけどいいのかい?」

 

 大柄な男は

「話好きは相変わらずだな。ここは冒険者が集まる。あいつが好きそうな話は沢山聞けると思うぞ」

 

 それを聞いてエリカは

「女将さんここに泊まらせてもらいたい」

 

 女将はにっこり笑うと

「あいよ。ここは朝と夜に食事を出す。ここはさっきも言ったが冒険者が多いからね、夜は賑やかだよ。うるさい位にね、それじゃあ部屋を案内しようかね。こっちだよ」

 大柄な男にエリカは


「ここで待っててもらっていいですか、シルフィーを呼びます。貴方の事も覚えているでしょうからきっと喜びますよ」

 と、階段を上がり二階へ行く


「ここだよ」

 と、奥の部屋を案内された。


「広いはね、ベッドも二つある。私と一緒の部屋でいい? ミュラー?」

「僕は構わないよ」

 

 女将さんは

「可愛い弟さんだね。旅人さんかい?」

 姉弟に見られているみたいだ


「私達は冒険者です」


「おや! そこの坊やもかい? 頼もしいねえ、これからが楽しみだ。しっかりと名前が挙がるように頑張りなよ。そうすれば報酬に上乗せされるからね」

 そう言って部屋を出た。


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