堕天使ルシファー
僕達は森の奥にある、大きな崖の傍に立つ神殿のような場所に着いた。随分と古い物だ年代を感じる。妖精達が言う『この中』『この中』と囁く。僕達はそっと気配を消してその建物の中に入った。僕は姿を消せるしフレアも魔法でその気配を消せる。古くて年代を感じる建物だが作りはしっかりしている。その建物の奥に進む、すると柱に縛られたエリカ、ミュラー、アリーナがいた。エリカ以外まだ煙のせいで眠っている。魔人の一人が
「こいつ、もう薬が切れたのか。確か人間達はお前を剣姫と呼んでいたな。冒険者で知らない者はいないらしいじゃないか」
そう言ってエリカの顔を見る。エリカは魔人に言う。
「魔王は完全復活したのよね」
「ほう、そんな情報何処から手に入れた?」
「さあ? 何処からかしら」
「こいつ! 自分が今、そんな事を言える立場にいると思っているのか? まあ獲物は元気なほうがいい。あの方も喜ぶだろう」
そこに物凄いオーラ―を持つ者が現れた。周りの魔人はひざまずく。その者はゆっくりエリカに近づく。
魔王だ! 僕は直感でそう思った、だって他の魔族と違うオーラを纏っている。その者がエリカに向かって言う。
「君に魔法をかけた者は凄腕だな。こんなに近くにいるというのに、君の存在をまったく感じない」
ふうーと溜息を吐いた後、
「ずっと探していた。転生するのをずっと待っていた‥‥‥まさか異世界で転生していたとはな‥‥‥我等の創造主は悪戯がお好きだ」
そう言ってエリカの顔を見る。
「やあ。エリック、探していたよ‥‥‥そうか、女に転生したのか」
そう言ってエリカをじっと見つめる。その顔は笑顔だ。
「私は、エリカよ。冒険者のエリカ」
そう言うエリカに魔王は聞く。
「こっちの世界に戻って来た感想が知りたいな。君にはこの世界がどう映って見えている?」
「知りたい? それじゃあ、教えてあげるわ。この世界は美しい。人も妖精も、自然もすべて美しいわ」
「そうか、君にはこの世界はそう見えるんだね」
エリカは魔王に向かって聞く。
「‥‥‥貴方は何故、堕天したの? 天使のままではいけなかったの?」
悲しそうに言うエリカ。
「天界は退屈だ。だがここは違う、皆私にかしづき、敬ってくれる。ここにいると私は必要とされているのだと感じるのだよ‥‥‥あの時は私は敗北したが、もう三千年前の事だ。今度も同じ様になるとは限らんぞ」
エリカに向かってニヤっと笑う。
「私には頼もしい仲間がいる! 今回も貴方には負けない!」
「仲間‥‥‥そこで寝ている奴等の事か? どっちも人間ではないじゃないか。エリカ。君は人間とは一緒に居られないのだ。あの時も今も‥‥‥。今は冒険者をやっているそうじゃないか。では、私は冒険者の敵だな」
そう話していた時、空が急に明るくなって沢山の天使の軍勢が現れた。
その先頭にいた天使が魔王ルシファーに言う。
「神はお怒りになっている。ルシファー残念だよ。魔物などこの世界に必要はない。君もだ」
何処から集まって来たのか沢山の魔人やモンスターが現れた。両者が睨み合う。




