シルフ街へ行く
森で楽しく過ごすのも有りなんだと思うが、外の世界にも興味がある。そこでフェイに相談してみようとフェイの所に来た。フェイは魔法使いだ。ちゃんと使命を持っている。りっぱな騎士を育てると言う事らしい。
今まで何人も育てたと言っている。あのアーサー王とも面識があるらしい。そのフェイが今育成中の騎士もなかなか凄そうだ、その騎士は女性ではあるが剣の腕は素晴らしい。その女性騎士の名はシャウラ・アルナイルと言う。その女性騎士に、
「シャウラ。僕、この森は大好きだけど人間の街にも行ってみたい! 一緒に連れて行ってくれませんか?」
と頼んでみた。
「まだ、修行は終わっていないけど。まあ、たまには街に行ってみましょうか? フェイに聞いてみるわ、君はシルフィーかい?」
「そうだよ」
「その姿では目立つな、それにその翼も……」
「身体は小さく出来るからそれに、邪魔はしないから連れて行って欲しい。見てみたいんだ人間の街を」
困った顔をしているシャウラ。
「妖精王などに許可をもらった方がいいのでは? 君達は人間に姿は見せないのだろう?」
そうか、聞いてみた方がいいかな?
「分かった、聞いてみるよ。また来るね」
「ああ、私もフェイに聞いてみるよ」
妖精の国の扉を開けて会いに行く。オベロンに会う為に‥‥‥オベロンも困った顔をする。
「うーん。僕達は基本人間達には姿は見せないんだよ。でも、君は転生者だから人間に会いたいと言う気持ちも解る……良いだろう! 行っておいで」
「ありがとうございます!」
翌日、僕達は街に出かけた。
沢山のお店があり人間も沢山いる。僕は小さくなってシャウラの肩に乗っていた。
「おや? 肩に乗っているのはシルフィーかい? 珍しいものを連れているね」
と、声をかけてきたのは、街の商人だった。
「妖精はなかなか姿を見せてくれないからね。あんた何者だね」
「私は森の中で今、フェイに教えを乞うている者です」
「フェイにかい? 凄いなあ。それじゃあ、いずれは城に上がるんだろう」
「そのつもりでいる」
僕は興味深々で、キョロキョロ周りを見ていた。
「シルフィー、飛んで見て来るといい、この街は妖精には優しい。森を大切にしているからね」
「うん!」
僕は高く飛んで街を見下ろして見た。凄いや、結構人間いるんだ! 一通り見た後、シャウラの所に戻った。
「もういいのか?」
と笑顔で言う彼女に
「人間と話したい! まだ、人間に慣れていないから一緒に来てくれないかい?」
「構わないよ。では、あの食堂に入ろう。面白い話が聞けるかも知れないよ」
と、店に入る。
「おや騎士様! それはシルフィーじゃないか。妖精がこんな人里にまで来るなんて珍しい」
「変わった奴でな、人間と話がしたいと言っている。少し付き合ってくれないか?」
なんだなんだと人が集まる。店主らしき人物が
「うちは妖精王が治める森があるからね、モンスターみたいな恐ろしい物は居ないのさ。時々妖精に悪戯される位だ可愛いもんよ」
「ねえ、おやじさん他の森にはモンスターがいるの?」
と聞いた。
「そうだよ。冒険者も時々この店に寄って来るから、面白い話が聞けるかも知れないね」
「わー!! 僕。話をしてみたい!」
「そうだな、夜になったら来る事が多いが、来ない時もある。何とも言えないな」
「それじゃあ僕。毎日ここに来てもいい? お手伝いするよ」
「おや、妖精が手伝ってくれるなんて嬉しい事を言ってくれるじゃないか。有難いがそんな事をさせたら 妖精王にお叱りを受けてしまう。君はそうしていてくれるだけでいいよ、それだけで客は喜ぶ」
「そうなの?」
とシャウラを見る。嬉しそうに笑顔で僕を見る。
「妖精は人間にあまり姿を見せてはくれないからね。君は変わっている」
と笑顔で僕を見る。
「私はそろそろ帰らないと行けないが、君はどうする? このまましばらくここにいるかい? 帰り道は分かるだろう?」
「うん! おやじさん、しばらくここにいていい?」
「そりゃあ勿論いいに決まっている」
それから僕は、しばらくその店に通うようになった。