エリカとヴィヴィアン
ウンディーネはエリカをきっと見つめる。あっと何かを思い出したように言う、
「……そう……貴方がヴィヴィアンの育てた人間なのね。で、何故騎士ではなく冒険者をやっているの? その剣は騎士になる為に習ったはずよね」
エリカはきっぱりと言う
「誰かに仕える気など無いわ。私は自由に生きる」
そう言って立ち上がり歩き出す。その後をミュラーと一緒に追う。
……気まずい。でも、気になる……ウンディーネの言っていた言葉。この世界の人間じゃないって。ミュラーも同じなのだろう何も話さない。ミュラーの頭の上で考えるが解らない。そんな僕達にエリカは、
「ふう……そんな顔しないで2人共……隠していた訳ではないのよ。話すわ」
そう言って道の脇に座り直す。ミュラーはエリカの隣に、僕はミュラーの肩に座る。
「私は、この世界に召喚された人間よ。勇者召喚ってやつね。でも、私は子供でこの世界に来た。失敗したと言われた。私は訳が分からず恐怖と不安で泣いていた。そして‥‥‥森へ捨てられた」
……何て勝手な事を、酷い事をする……
「そこで、ヴィヴィアンに会ったの、私を育ててくれた。剣術も教えて貰った。魔法は余り上手く使えなくてね。剣は練習をすれば頑張れば上手くなる。剣の稽古に熱中した。そして言われた。城へと‥‥‥私は断った。私を勝ってに連れて来たこの世界に‥‥‥私を捨てたこの世界の為に何故? って、それから1人で冒険者をやっていたの」
だから、シャウラに似てるって思ったのか。ヴィヴィアンってフェイの事だよね。他にも居るんだ。そうだよね湖は何処にもあるから。ミュラーは言葉を探しているようだ。僕はエリカに向かって、
「エリカの剣術を見てシャウラに似ているって思ったんだよ」
ミュラーがほっとしているのが解る。と同時に、
「シャウラって、カストル国の王だよね」
そう言ってミュラーは首を傾げる。
「そうみたいだね。彼女もフェイから剣術を習っていたんだ。彼女が城に上がるまで良く一緒にいたんだ」
そこで、エリカは
「ヴィヴィアンって……フェイ……なの? ……」
知らなかったと言う顔だ。
「知らなかったの? “湖の乙女”って言われているよ。ランスロットを育てたって言われている。これ有名な話だよ」
ミュラーが、やれやれと言う顔で、
「アーサー王の話をされてもきっと分からないよ」
とミュラーはそう言うがエリカは驚く。
「そうなの!」
アーサー王の事は知っているんだ‥‥‥逆にこちらが驚くよ。
「昔の話だよ。今は伝説になっている」
ミュラーが今度は難しい顔をした後、
「エリカが強い訳が解ったよ。だって勇者の素質があるって事だもんね‥‥‥実際強いし」
? ちょっと待てよ。それじゃあ、エリカって……
「エリカって名前は、前の世界からの名前?」
僕は聞いてみた
「そうよ、地球の日本って国から来たわ」
おおー! 初めてだ! 召喚者! 僕は転生者だけど、同じ日本人だー! 何か嬉しい! キラキラ光らせて飛び回る
「シルフィー? 何がそんなに嬉しいの?」
僕の様子を見て2人が聞く。




