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勇者

 フレアが照れている。そこでギルマスは表情を変える。それは、とても真剣な表情だった。


「私がここに来たのはフレアにカードを渡して、フレアに逢いに来ただけではないのだよ」


 そう言って後ろを向き、奥の部屋に入って行く。ついて来いと言っているようだ。


 僕達はギルマスの後を追って部屋に一緒に入る。


 ギルマスは奥の部屋の椅子に座りひとつ大きな溜息を吐く。


「残念な知らせがある。まさかと私も思っていたが‥‥‥事実を教えよう」


 静まり返った部屋でギルマスの言葉に皆が集中する。




「‥‥‥魔王が復活した」




 魔王って‥‥‥いたの? 僕達は今ひとつ良く理解出来ていない。


「何を言っているのか解らないと言った顔だな? そうだな。私だって実際会った事もないし、昔話で聞いた程度だ。その昔勇者に倒された魔王の話をね」


 ギルマスは僕達の答えを聞かずに話を続ける。


「魔法陣が書き換えられていただろう? それは、魔王の配下の魔人が行ったものなのだ。フレアが無効にしたあの魔法陣は、意図して作られたものだ。魔物を生み出す魔法陣」


 僕は聞いてみた。


「何故、今また魔王なんて者が現れたの?」


「それは不明だ。魔王の復活は今ではないのだ。エリカが召喚された時には、既にもう復活していたようだ。これは調べて分かったものでね。随分と証拠を集めるのに苦労したよ」


 ギルマスが言う。


「勇者の名前を誰も知らない。それは何故なのか、それは魔王の命令に従った魔族が人間達の記憶を消し去ってしまったからだ」


「時間はかかったが、調べてようやく分かったよ。勇者の名前は‥‥‥エリック・サットンだ」


ギルマスはエリカをじっと見つめて言う。

「エリカ。君の名前はエリカ・サトウではないのか?」


「‥‥‥さとう‥‥‥」


 エリカは思い出そうとしていた。自分の名前を、日本人なら苗字はあるはずだ。エリカはそれを忘れている‥‥‥。


「私の名前‥‥‥」


 エリカは記憶を辿る‥‥‥。


「佐藤恵梨香‥‥‥」


 エリカが思い出した!


「そう‥‥‥私の名前は‥‥‥佐藤恵梨香」


 ギルマスが不適に笑う。


「魔王め。勇者召喚を邪魔したようだが、残念だったな。勇者はここにいるぞ」


 その場にいた全員がエリカを見る。ミュラーが言う。


「やっぱりエリカは勇者だったんだね。強いはずだよ」


 ギルマスは言う。


「エリカ。君は魔王を倒し封印した。その後ここに来る前の世界に転生したのだろう。何度も転生を繰り返した為に記憶は薄れていったのだよ。覚えていないのは仕方ない」


「私が勇者‥‥‥」


 エリカは信じられないと言った顔をしている。


「我等の世界の創造主である神もなかなか考えているのだなあ。同じ世界に転生を繰り返していたらきっと魔王は君を子供のうちに探し出し殺していただろう」



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