フレア冒険者になる
「それではフレアを僕達の仲間としてこの“世界の景色を一緒に見よう”に連れて行きますね」
『良かろう。フレアのカードはエリカと同じカード特級クラスだ。フレアには剣も教えている。魔法についても言うまでもなくその力は強い。ずっと森の奥深くで魔法の古文書を読み耽っていたのだからな。カードは君達が泊まっている街のギルドに届けさせよう。自分の身を守る術も仲間も出来た。フレア、これで心起きなく大人になれるよ。さあ、皆と行っておいで君は自由だよ。沢山その眼で見てくるといい』
「ありがとう! おじ様」
フレアはとても嬉しそうだ。僕はギルマスの言った言葉が気になっていた、『これで心置きなく大人になれるよ』どういう意味なのだろう。ふと、エリカを見ると。何かを探しているようだ。
「エリカ? 何を探しているの?」
僕の声にはっとしてその顔を僕の方に向ける。
「‥‥‥この辺りに湖があったはずなのだけど‥‥‥」
そうかここはエリカの故郷でもある。ヴィヴィアンを探しているのだろうか。そこでフレアが見つける。
「湖はあそこにあるわ」
それ程大きくはない湖だが、とても水は澄んでいて美しい。エリカはその湖に近づきその名を呼ぶ。
「‥‥‥ヴィヴィアン」
その声に答えるように美しい女性が姿を現した。
「エリカ‥‥‥私のエリカ」
二人は抱き合う。エリカは子供のようにその女性の胸に顔を埋めて小さく名を呼ぶ。
「ヴィヴィアン‥‥‥心配したわ」
「私は湖の妖精よ。モンスターなど怖くないし恐れない。ただ、この場所は貴方がいなくなって直ぐ魔獣が沢山出現する様になって、この国の人間達は居なくなってしまった。そして、魔獣の巣窟と言われる様になった」
ヴィヴィアンは僕の姿を見ると、
「貴方がこの国を浄化したの?」
「いえ、僕ではないです。彼女です、フレアと言います」
フレアはぺこっとお辞儀をする。
「まあ、エルフの貴方が?」
「彼女は魔法が得意なのです」
僕はフレアの肩に乗り話す。
「そう、ありがとう。これで、森の皆も喜ぶでしょう」
にっこり笑うフレアにヴィヴィアンが言う。
「グリーンの瞳のエルフって初めてだわ」
ヴィヴィアンは何かを勘づいている。
「森の奥深くにいる変わった種族なんだ」
僕はとっさにそう言った。
「‥‥‥まあここを浄化出来る位の力ですものね。タダのエルフには出来ないわ。魔法が得意な種族なのかしら?」
「そうだね、きっと」
ちょっと焦る。
「古文書は大好きでいつも読んでいました」
フレアは臆せずはっきりと答える。そこでヴィヴィアンが何かを話す。? それに対してフレアが答えた?
「そう、森の中でずっと一人だったの‥‥‥チャーリーの親族なのね」
「? ねえ、何を話していたの?」
僕はヴィヴィアンに聞いた
「古文書が好きって言うから昔の言葉を使って話してみたのよ」
「僕にはわからないや」
「ふふ成る程ね。あの魔法陣を無効にしたのも貴方ね。特別な種族なのかしらね」
ヴィヴィアンはそう言って笑顔で僕を見る。




