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シルフィーの運命とフレア

 フレアは胸に両手を当てて何か詠唱を始めた。聞いた事のない言葉だ。その声は徐々に大きくなっていく。詠唱は歌のようにリズミカルに周囲に響き渡る。すごい‥‥‥これ反響、共鳴ってやつだよね。


 空気が震えている。でも嫌じゃない、透き通るその歌声のような詠唱はしばらく続き、皆聞き入っていた。あれ? さっきまでと空気が違う。森の緑もはっきり見える。


「わあ! 空気が違うよ。緑の匂いがする!」

 ミュラーが興奮しながら言う。フレアの詠唱が終わる。エリカが


「今のって、魔法詠唱というより祈りって感じがしたわ」


「はい! この場を浄化しました!」


「ええー! ここってかなり広いよおー!」

 皆一同が唖然とする。

 

「‥‥‥フレアが魔法を得意としているのは解ったけど‥‥‥これ程とは‥‥‥」


 エリカもビックリだ。僕もビックリだよ。皆かな? 得意げに微笑んでいるフレアに僕は近づき


「偉いね。よくできました。これで、皆もきっと喜ぶよ」


「ねえ、シルフィー。私も冒険者になりたい!」


 大きな瞳を輝かせながら僕を見つめる。さっき感じた瞳の輝きはこれか‥‥‥でも、


「フレア。ギルマスに相談しよう。ギルマスはギルドを束ねるマスターだ。彼の許可がいるよ」


「そうね。おじ様と相談するわ」

 嬉しそうに笑顔で言う。‥‥‥けれど。

‥‥‥‥‥‥。


『ダメだ』

 首飾りからの映像でギルマスは言う。


「どうして! おじ様! 私も皆の様に‥‥‥」


『ダメだ』


「‥‥‥どうして、私がハーフエルフだから? そうなのですか? おじ様!」

 ‥‥‥フレア‥‥‥とても悲しそうだ。


「ギルマス。僕が傍にいます。フレアの願いを聞いてはくれませんか?」


『シルフィー。君がそう言ってくれるのは嬉しいし、頼りにしている。だが、フレアがハーフエルフだという事は知られてはいけないのだ、解ってくれ』


「ギルマス。ギルマスの権限で特例を作って下さい。フレアだけのカードを作って下さい。フレアの力はエリカにも匹敵する程に強い。それはギルマス自身も解っていると思うのだけど。そうですよね」


『‥‥‥‥‥‥』


「ギルマスの身内のエルフでギルマスも認める力を持っている者。それではいけませんか? 間違ってはいませんよね。実際サバンティエ公爵の屋敷を破壊するほどの力を持っている」


『シルフィー知っていたのか』


「はい、オベロンからその時の映像を見せてもらいました」


『そうか、知っているのか‥‥‥では、あの事も知っているのだね』


「王達から聞いています。僕はその為に、ここに居るんです。きっとこの世界を造った神にそういう運命を背負わされたって感じかな?」


『‥‥‥そうか‥‥‥運命か‥‥‥シルフィーは、その事を運命だとそういって受け入れてくれるのか』


「もちろんですよ。僕がこの世界に生まれた理由なのだから」


『‥‥‥いいだろう。君には大きな借りがある。あの時公爵を押さえる事が出来ず君が消えてしまったのは私の考えが甘かった為だ。それにフレアを託せる相手は君しかいないと思っている』


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