モンスター討伐
僕達はその魔法陣の所に来た。そこはまがまがしい気配がする。その魔法陣の周りにもモンスターがウジャウジャいたが、エリカはあっという間に退治して少し空間が開いた。僕は風の力でその空間に結界を作る。その中グリフォン、エリカ、フレアに入ってもらった。
「これね。まさかこの目で見る事になるなんて、私をこの世界に呼んだ元凶を」
フレアは知らない。エリカが召喚者だと言う事を。エリカは至って冷静だ。魔法陣を何とかしようと考えていた。そこでフレアが何かを呟いてそっとその魔法陣に触れる。瞬間魔法陣は消えた!
「フレア。今、何をしたの?」
エリカも不思議そうに聞く。
「この魔法陣の効果を無効にしたの。これで、もう魔獣は現れないわ」
「スゴイ。フレアは魔法が得意なのね。助かるわ。さあ、片付けるわよ!」
そう言ってエリカはモンスターの中に飛び込んでいく。
「ねえ、シルフィー」
フレアが僕に聞く。この顔は‥‥‥。さっきのエリカの言葉が気になったんだよね。
「なんだい?」
「‥‥‥あのね、エリカって、召喚者なの?」
「そうなんだ。エリカって自分の事は話したがらないからね。僕が聞いたのも一緒に旅をして随分経ってからだったしね」
エリカは生き生きとモンスターと戦っている。冒険者って感じだよね。
「僕が話していいのかわからないけど、知っておいて欲しいんだ。エリカの事を。エリカはこの国で勇者召喚の儀で召喚された者だよ。でもその時彼女は子供だった。そう失敗したんだよ、その儀式は。ギルマスが言っていた、この儀式は禁忌でやってはいけないものだと。きっとその後こうなるのだと解っていたのかも知れない」
「勇者‥‥‥」
フレアはエリカの動きを見つめる。その瞳に何か強く光るモノを僕は感じた。フレア、君は‥‥‥。
エリカが叫ぶ!
「フレアが魔法陣を無効にしたから、モンスターはもうこれ以上増えないわ! ミュラー! アリーナ! もう少しよ!」
フレアは再びグリフォンに乗って空高く飛ぶ。その空からフレアは皆の戦いを見守る。
皆の体力は衰えない。次第にモンスターの数が減って行く。
だが、その場の濁ったような空気は消えない。黒い霞がかかったような、魔力の元? なのか?
アリーナが炎を吐く。鋭い爪で引き裂く、フォレストウルフは牙でかみ砕く、クイーンアントは溶液を吹き付ける。ミュラー、エリカは舞うように剣で移動しながらモンスター達を退治して行く。僕は竜巻を起こしてモンスターだけを砕く。森にダメージを与えないようにして。
‥‥‥‥‥‥そこにはもう、魔物は存在しなくなった。僕達はモンスターを消滅させた。これで人間達は安心してここを通る事が出来る。ほっとしていると、フレアがグリフォンと降りて来た。
「モンスターは居なくなったよ」
僕はフレアに言うと、フレアは、
「まだ、ダメだわ。ここの空気には濃い負の感情が漂っている。ここにいた人間の後悔や未練が負の感情として残っているわ」
 




