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シルフィー消える

  翼が‥‥‥ちぎられた。翼が消える。僕の背中にはもう翼はない。その様子にエリカは怒り公爵に剣を振るう。


 公爵はエリカの剣をかわす、そして今度は僕を盾にする。公爵の周りには魔法の結界が張られていた。これではエリカは近づけない。


「卑怯だわ! シルフィーを放しなさい!」


 公爵は高笑いをする。ひゃっひゃっひゃあー! 


「お前達のせいで私は終わってしまったよ。どうしてくれる‥‥‥」


 その顔は狂気に変わる。


「このシルフィーが、シルフィーがあー!!」


 そう言って、僕の鉄の鎖に繋がれた足をひっぱる! 僕の両足は消えた。僕は床に倒れる。


 公爵は今度は、僕の腕をひっぱりながら足で踏みつける。そこに、ミュラーに召喚されたフォレストウルフが公爵の足に噛みつき振り回す。それでも公爵は僕を離さない‥‥‥。そして‥‥‥僕の両腕は消えた‥‥‥

薄れゆく意識の中、フレアが叫ぶ、


「「「いやーーーー!!」」」


 それと同時に強い波動がフレアから放たれた。その勢いはすざまじい。屋敷の窓ガラスは全て吹き飛んだ。当然エリカや他の皆も屋敷の外に飛ばされた。




 部屋の中フレアは放心状態になっていた。倒れた僕にゆっくりと近づく。


「‥‥‥シルフィー‥‥‥」


 サバンティエ公爵は壁に身体を打ち付け、その衝撃で意識を失って倒れている。


 フレアの怒りが怒っている姿が僕に見えていた。何て力だ、きっとこれでもエリカ達が居たから抑えた方なのだろう。その僕に向けられていた視線が、サバンティエ公爵に向けられた。ダメだ! フレア!


「‥‥‥フレア‥‥‥ダメだよ‥‥‥人間を‥‥‥傷付けてはいけない」


 フレアは涙で顔が、くしゃくしゃだ。フレアは僕を抱きかかえ抱きしめる。泣き続けるフレアに僕は言う。


「フレア、僕達は人間に寄り添うものだ。人間は僕達の敵ではないよ」


 フレアの大きな瞳から沢山の涙が零れる。僕は‥‥‥フレアの傍にいるって約束したのになあ、こんなに悲しい顔をさせてしまっている。震えた小さな声でフレアが言う


「‥‥‥いやよ。シルフィー‥‥‥いやよ‥‥‥」


「フレア。僕は風の妖精シルフだ。実体は持っていないよ、悲しまないで」


「でも、でも‥‥‥」


「僕はいつでも‥‥‥君の‥‥‥そ‥‥‥」


 僕の意識は無くなった。僕の力は尽きたのだ。そして、僕の姿はその場から消えた。


「シルフィー!!」


 フレアは泣き崩れる。エリカ達が屋敷の中に戻った時、僕の姿が消える所だった。


「‥‥‥これは、どういう事? スライム! シルフィーは大丈夫だって言ったじゃない! どうしてこうなったの? シルフィー? 悪い冗談は、無しよ。隠れているのなら出て来てよ」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。


「シルフィーーーーー!!」


 エリカの声が屋敷の中に木霊する‥‥‥。ミュラーもアリーナも心の中で同じ様にその名前を呼んだ。


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