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宿屋で

「満足だわー。美味しかった!」


 アリーナが言う。皆も同じだ。ここであのクラ―ケンの足が出てくるなんてビックリだけど、あの時のアラン元気かな? 結構楽しかったからね。


 ? フレアの前にクラ―ケンの足が残っている。


「美味しいわよ」


 アリーナがにっこり笑って言う。フレアはフォークで突いているばかりだ。エリカがナイフでそれを小さく切る。


「燻製は苦手? これは燻製じゃなくて干してあるだけよ。だから、煙臭くないわ」


 それを聞いたフレアは、その切られた物を口に運ぶ。ぎゅっと閉じていた目がぱっと開かれた。口の中にあった物を噛み砕き飲み込む。


「美味しい!」


と、嬉しそうに言う。


「でしょう? 見た目は何だけど、これは美味しいの。狩たての新鮮な物はもっと美味しいのよー」


 とアリーナは思い出している。そうだね。美味しそうに食べていたっけな。


「美味しかった! ご馳走様でした」


 とフレアが店主に言うと、店主は顔を赤くして照れる。


「エルフは男も女もべっぴんさんだからな、お嬢ちゃんも大人になったら、そりゃあ~べっぴんになるんだろうなあ」


「おい! おっさん! 何、変な想像してるんだ! フレアを変な目で見るなよ!」


 僕は店主の頬にパンチする。


「ははは! わるい、わるい。こんな痛くないパンチくらったの初めてだ」


 だって僕には実体がない。パンチしてもそれはただの風の悪戯でしかない。そこで、他の客から声がかかる。「シルフィー」と、その声の元へ飛ぶ。僕は楽しく話をする。そんな姿を見てエリカがフレアに言う、


「シルフィーは、何処でもああやって誰とでも直ぐに仲良くなるの、それってスゴイと思わない? シルフィーの前では皆、子供のように楽しそうに笑顔になるのよ」


 僕はキラキラと店内を飛ぶ。


「シルフィー‥‥‥」


 フレアが僕を見る。僕はフレアの視線を感じて振り返り手を振る。


「凄い人ばかりなのね。この仲間達って」

 フレアはそう言って微笑む。


 それを聞いたアリーナは、


「そうね。このメンバーは最強よ。エリカは特級持っているし、ミュラーはテイマーとしても一流よ。だってこのドラゴンの私をティムしたのだもの。まあ、‥‥‥私がミュラーの事が好きだから進んでティムされたのだけど」

そう言って照れるアリーナ。


「でもそれって、きっとミュラーが初めてなのじゃないかしら。だって私達は冒険者が狙う一番の大物だもの。ギルマスだってドラゴンを退治したのも片手で数えれる程数匹だって聞いたわ。ここにいるスライムだって喋れるし…あれ? 居ないわ」


 あれ‥‥‥? スライムさんが店の隅で何やらお客に捕まって、相談事を聞いていた。スライムさんの事も噂になっているんだなあ。スライムさんと話しているお客の一人が急に泣き始めた。


「俺は‥‥‥こんな事はしたくないんだ‥‥‥でも、言う事を聞かないと酷い目に遭わされる‥‥‥なあ、助けてくれ‥‥‥」


 他の客もその姿に困惑する。何があったのだろう‥‥‥。何人かの客はその事を知っているようだ。

その客の顔が曇る。僕の姿を気にしているようだ。さっきからずっと僕を見ている客がいる。この視線、前にも同じ様に感じた事がある。これは悪意のある者の視線だ。


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