メッセージ
僕はその玉に写る宇宙に思わず見入っていた。僕だけではないその場にいた全員がその映像にくぎ付けになる。
「これは、宇宙だよ。この空のもっと高い所にあってこの地上より遥か遠い場所さ。そこは空気もない、太陽の光だってこんなに温かく感じない。宇宙はもの凄く広いんだ」
僕の言葉にエリカも考え込む。いくらエリカも僕と同じ日本人だったからといっても、子供だったからなあ。宇宙といってもピンと来ないかも。すると宇宙を映し出していた玉が違う映像を映す。‥‥‥これは! 地球とは違う惑星だ! あの大陸にいた人間達はこの星から来た人間なのか。その星を見ていた村長は涙を流す。
「これは、我等の母星なのだろう。心が締め付けられるような思いになる。多分この玉は神殿と言われる場所に安置されていたのだろう。当時の人々が自分の故郷を思い出しその地の神を祭ったのだろうな」
静かに村長は言う。フレアは自分の首飾りを持って
「これも本当なら貴方達の物なのよね。私が持っていてはいけないのだわ」
村長はフレアの手を優しく握って
「もうそれは私達には必要のない物だ。お嬢さんが持っていて良いのだよ、それは私達の先祖が君の身内かそれに近しい者に渡した物なのだろう? もうそれは君の物だよ」
そう言われてフレアは嬉しそうに首飾りを握る。ギルマスから貰った物だからね。フレアにとっては宝物だ。
「この玉はどうしたもんか‥‥‥今更故郷だと見せられても‥‥‥今、私達はこの地で静かに暮らしている。私達に必要な物だとは思えない」
村長は困った様に腕を組む。僕はエリカに言う
「ねえ、エリカ。この玉貰っちゃダメかな?」
「これを見つけたのは君達だ。良かったら貰ってはくれないだろうか?」
と、村長も言う。スライムさんが
「この玉はフレアとシルフィーの力に反応をした。もしかしたら、この後何かの役に立つかも知れませんぞ」
その言葉に
「本来の持ち主からどうぞって言われたのだものね。有難く受け取りましょうか」
そう言ってエリカは受け取る。
「これから君達はどうするんだ。行きたい場所にはもう行って来たんだろう? この村には何もないよ。明日にはここを出て次の旅に行くといい」
村長はそう言って立ち上がる。その時だった。あの玉から声が聞えてきた。言葉は解らない‥‥‥そうだ。僕はフレアの首飾りを借りて玉に近づける。
「‥‥‥すま‥‥‥なかった‥‥‥このメッセ―ジは聞いて貰えているのだろうか。君達を置いて行った私達をきっと恨んでいる事だろう。仕方無かったのだ、何故なら我等の母星はもう消滅してしまったのだ。だから、この地で生きて欲しい。この星の人類と共に‥‥‥私達はこの地の人類に酷い事をした。そのせいでこの地の神に嫌われたようだ。この地の天界より天使が来て神の怒りによる天罰が下されると啓示を受けた。だから代表としてこの地を離れる事にした。残された同胞たちよ。シェルターを用意したが気づいてくれただろうか‥‥‥いつ天罰が来るのか解らない。その時に使って欲しい‥‥‥」
それでメッセージは終わる。




