シルフィー誕生の秘密
ギルマスに言われた事で事の重大さを実感する。僕の役割ってどうすればいいんだ。悩んだからって解決出来るものでもなさそうだ、‥‥‥今考えても解らないのなら、もうこれ以上考えるのはよそう。その時が来れば解る。それまでは、こうやって傍にいよう。その日がくるまで。
翌日、王様はウキウキしている。
「さあ! 今日もあの大陸へ行こうではないか!」
そこで僕は王様に聞いてみた
「やっぱりクロック・トムテを呼んで来ませんか?」
うーんと顎髭を撫でながら王様は考える。
「シルフィーは、クロック・トムテが何処にいるのか知っているのか?」
「妖精の国に行って探して来ますよ!」
僕の言葉に驚く王様。
「妖精の国の扉があるのか!」
「僕は何処からでも行けるのです」
暫くして王様は
「そうか、良かろう! クロック・トムテをここに呼ぼう! シルフィー、ここに連れて来てくれぬか」
「はい! 喜んで!」
「ふむ、では他の者達は先に大陸に行って散策でもするといい、また、何か見つかるやも知れぬ。楽しみだ」
「エリカ達、後は頼むよ。あそこの時間はここと違うから、なるべく早く帰ってくるから!」
僕はそう言って飛ぶ。扉を目指して。光の扉を抜けて妖精の国に来た。そこには難しい顔をしたオベロンが腕を組んで待っていた。
「シルフィー、どういう事だ。何故一緒にいる! 私はハーフエルフは認めない。あれは、危険だ」
「だから、僕がこの世界に来たんじゃないのかな」
僕はオベロンに向かって声を上げる。僕等は暫く睨み合う。それを見ていたティターニアはオロオロと不安そうに見つめる。
「もう‥‥‥オベロン。そんなにシルフィーを責めないで、仕方ないじゃない。実際ハーフエルフは存在しているのだから。いくらチャーリーが隠していても私達は知っていたのだから」
ティターニアはそう言ってオベロンを宥める。オベロンは諦めたように、
「はあ‥‥‥過ぎてしまった事は仕方ない。だが、まだ早い。シルフィー、君を‥‥‥君を‥‥‥危険な事に巻き込みたくはないのだよ」
オベロンは横を向いて僕と目を合わせない。ティターニアは言う
「モルガン王が言った事は本当よ。私達がこの世界の創造主である神に願ったのよ。ハーフエルフが誕生したその時に。その救世者となる者をこの世界にと。丁度その時人間を愛したシルフが現れ魂を宿して実体を得た。けれど二人は結ばれる事はなかった」
「何故ならシルフィードを汚されると知った人間達がその人間を殺してしまったから。シルフは嘆き悲しみ、その人間の魂を捕らえて転生を阻んだ。その後彼女は、自らの身体にその魂を取り込んだ。そんな事は出来ない。一つの身体には一つの魂しか宿せない。当然器となる身体は壊れた。けれど不思議な事に二人は魂となって結ばれた。そして貴方が生まれた」
僕の出生の秘密が語られた。ティターニアは僕を見つめて
「貴方は二人の想いから生まれた、大切な存在なのよ。そして特別なの」




