シルフィード
今度はフレアの話になるのだが、フレアはどう話したらいいのか困っていた。仕方ないフレアに関しては僕達もよく解っていないのだ。フレアが僕を見る。もうそんな目で見られたら僕が話すしかないじゃないか‥‥‥。
「王様、フレアについては僕から話してもいいですか?」
王様は頷く。僕はフレアの事を話す。
「彼女は今回初めて外の世界に出たのです。それまでは、ずっと森の奥で過ごしていました。その訳は‥‥‥彼女はハーフエルフです」
それを聞いた王様は立ち上がろうと両手を椅子のひじ掛けに手をかけ握りしめる。
「解っています、ハーフエルフの存在がどう言われている存在なのか。だから、ギルマスは森の奥でひっそりフレアを育てていた。ナニー・ボタンキャップに預けて」
僕は大きくなってシルフィードの姿で話しを続ける。
「僕もフレアと同じ魂を持っています。僕はシルフと人間との想いから生まれた存在だと聞きました。生まれ方こそ違うけれど、僕もハーフだ。実体は持たない。ただそれだけでフレアと僕は同じ存在なのに、この世界を危うくするなんてどうしても思えない」
「‥‥‥そうか、お前は『シルフィード』なのだな」
王様は僕を見て言う。王様は知っている‥‥‥シルフィードを‥‥‥。
「そうか‥‥‥そうか」
と何度も言い頷く王様。
「神に感謝をせねばならんな。天界の神ではなくこの世界その物を造った偉大な神にだ。シルフィー、お前はもしかしたらその神と会っておるのではないか?」
そうだ、思い出した! 何処がいいかって初めに僕に聞いた神だよね、きっと。
「多分会っていると思う‥‥‥けど、余り思い出せないんです」
本当は覚えているけど、何故か言ってはいけない気がする。
「シルフィー、君とフレアは逢うべくして巡り合ったのだよ。神の手によって」
言っている意味が解らない‥‥‥どういう事?
「シルフィー、君はこの世界の救世者なのだよ」
ええっとどういう事かな? 余計に解らなくなってきた‥‥‥
「ハーフエルフの力は途轍もなく強くて大きい。この世界を破壊するといっても過言ではないのだよ。それは事実なのだ。だが、シルフィー、君の存在がその力を打ち消すのだよ。今、そんな事を言われても理解出来ないだろう。が、そのうち解る。そうか、‥‥‥そうか、良かった」
王様? 泣いているの? 解らないよ。僕が、そんなキーパーソン的な存在だなんて。色々な言葉が頭の中で繰り返される。『私達にとっても特別なのだから』『いつか選択を迫られるだろう』『今はその時ではない』混乱している僕の頭の中、ふわっと何かが僕を包む。
「シルフィー怖がらなくてもいいのよ。貴方は貴方のままで、そのままでいいのよ」
僕は王妃様の腕の中に包まれていた。
「僕は‥‥‥」
なんだろうこの気持ちティターニアに抱かれているような、安心感が僕の混乱した心を静めてくれる。




