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ジャック・フロスト

 ギルドに向かう途中、街の中が騒がしい。嫌な予感がする……ギルドに入る。


「どうしたの? やけに街の中が騒がしいけれど」

 受付のお姉さんは、


「それが……森に入った者が凍死体となって発見される事が多くなっていて‥‥‥皆が怖がっているのです。こんな事が続くと狩りが出来ないと困っている所なのです。原因が分からなくて……」


 ジャックだ。僕は考える。何故ジャックを連れて来た。あれはダメだってセルシウス達に言ったはずだ。僕はエリカに言う


「きっとジャックだ。街の人達に夜は絶対外には出ないでと伝えて! それに、しばらくは昼間も外に出ない方がいい、もしジャックだったら命が危ない。あれは生き物すべてを凍らせる」


「シルフィーはどうするの?」

 ミュラーが心配そうに僕を見る。


「僕はちょっと様子を見て来るよ。妖精の悪戯にしてはちょっとね……同じ妖精の仲間としてはこのまま黙ってはいられない。だから、ちょっと行って来るよ」


 前の事でフェンリルを怒らせたかのかな? 森の奥へ飛ぶ吹雪の中ダイアウルフがいる。セルシウスもいたフラウはセルシウスの後ろで小さく集まっていた。


「セルシウス! 久しぶり! 所でジャックは連れて来ていないよね?」


「シルフィードあの時は悪かった。だが、我らは人間に弄ばれた怒っているのだ。ジャック・フロストを連れて来てもいいだろう。それ位の覚悟があって我らを呼んだのだろうからな‥‥‥フェンリルも怒っていたぞ」


 あらあ、やっぱりかあ。唸り声を上げて怒っている姿が見えるようだ。これは、少し暴れてもらおう。人間達には家の中に籠っていてもらわないとダメだな。


「セルシウス、ダイアウルフは討伐してもいいよね。あの毛皮あったかいんだ。この時期にしか来ないから冒険者達は期待しているよ」


 僕はキラキラさせながら言う。


「今回は沢山連れて来ている吹雪を起こしてやる。人間なんて凍ってしまえばいい!」

 セルシウスも機嫌が悪い。フラウ達が怯えている。


「ダメだよ。僕等が邪悪なものになったらティターニアが悲しむ。そうだ! 逢いに行かない? 僕等の王に、きっと喜ぶよ!」


「扉はあるのか?」


「あるよ! 一緒に行こう」

 セルシウスと一緒に扉を開け入る。そこには2人の姿があった。ティターニアが笑顔で言う。


「久しぶりねセルシウス。この前では貴方達には嫌な思いをさせてしまったようね。人間なんてその命は儚い。だから、少し目を閉じている間に居なくなっているわ。だから、今回はジャックには戻ってもらって」


 ティターニアに頭を撫でられて嬉しそうだ。そこで、今度は僕の頭を撫でる。くすぐったいけど嫌じゃない。そして静かに僕に言う。


「もう……貴方は本当に変わっているわね。何故他人をそんなに心配するの? そんな貴方が愛しいわ」


 何だかむず痒い‥‥‥愛しいなんて言葉‥‥‥今まで言って貰った記憶はない。この人ティターニアの愛情は誰よりも深いのだろう。


「セルシウス。また、顔を見せてね。その時はフラウ達も連れて来てよね。フェンリルには……宜しく伝えてね!」

 

 ティターニアにも、苦手はあるのかな? でも撫でられて尻尾を振るフェンリルの姿を想像すると面白い。オベロンも笑顔で話を聞いていた。その後僕等は地上に戻る。


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