海底に住む妖精
村長は寂しそうに話した後、僕達に聞く。
「お前さん達はそんな昔の失われた大陸を見つけてどうする? 宝だって本当にあるのかさえ解らないのだ」
エリカは嬉しそうに言う。
「宝だけが目的じゃないんです。宝はあったら儲けものって感じです。私達はまだ見た事が無い景色が見たい、それだけなんです。その大陸も今はもう無いのかも知れない。でも、行ってみたいんです」
そう言って瞳を輝かせて言う。
「‥‥‥冒険者か‥‥‥」
「はい!」
「行って来るといい、どうせ目星は付いているのだろう?」
フレアが持って来た地図を広げる。
「この辺りで合ってますか?」
エリカは村長に確認する。
「そうだ。その当たりで合っているはずだ、村の言い伝えのような話に出てくる場所だな。この小さな島が目印になるだろう。その島も神殿の跡地ではないかと言われている」
「有難うございます。明日その大陸を探しに出かけます」
そうエリカは言って立ち上がる。僕達は村長に礼を言って家を出る。エリカは行く気満々なのは解る。だけど、どうやってそこまで行く? 船を貸してくれそうな人間をまず探さないと行けないのかな? 海に出ないと探しようがない。
‥‥‥‥‥‥。僕は考える。海底に住む妖精も居たはず‥‥‥ここにセイレンはいるのかな? セイレンから話が聞けたらいいのだけど‥‥‥。フレアが僕の顔を覗く。
「シルファー、セイレンと会ったと話してくれたわよね? ここの海にもいると思うの」
「そうだよね。僕もそう思うんだ。でも、もっと気になっている妖精がいる。マリ・モルガンだよ」
フレアは不思議そうに僕をみる。皆も僕を見る。
「家に帰ったら話すよ」
♢♢
僕は先に家まで飛ぶ。皆も家に帰って来た。僕はテーブルに座り考えていた事を話す。
「マリ・モルガンだ。海底に自分達の国を作り暮らしている。彼等なら何か知っているかも知れない」
それを聞いたフレアが
「モルガンに会うのは難しいわ。彼等達は人間達と距離を置いたと聞いているし、海底に住む彼等を見た者は今は居ないってナニーから聞いたわよ」
「だから、まずセイレンを探す! それからだ!」
エリカも何か考えていた。
「問題は船よね、この件に賛同してくれる人を探すのはもっと難しいかも知れない」
そこで、スライムさんが言う。
「おい! お前達! バラバラで其々が発言していたら纏まらないだろうが!」
ふん! とスライムさんが湯気のようなモノを出す。僕達は静かになってスライムさんを見る。
「やっと静かになったか。村長が場所はその地図は間違っていないと言った。なら、そこにどうやって行くのか、それとその場所の情報もいる。ここまではいいか?」
皆頷く。
「海の上だから船が必ず必要って訳ではない。ここも解るか?」
エリカは
「他に方法があるっていうの?」
スライムさんに迫る。そんなエリカにスライムさんは言う
「私達はどうやってここに来た?」
「いつもグリフォンに乗って来るわよ。で?」
エリカは難しい顔をして考える。
「‥‥‥グリフォンでその場所まで行くって事?」
ミュラーが立ち上がってスライムさんに向かって言う。
「そうだ。今回の目的地は海底だ。グリフォンは目がいい、海底で何かあったら空中から飛び込んでも主人を守ろうとするだろう」




