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子供と妖精

 今日もエリカはミュラーを鍛えていた。


「踏み込みが甘い! しっかり踏ん張る! ほら! 重心がズレた!」

 相変わらず厳しい、でも、ミュラーもそれなりに……らしくなって来た? かな? なんか見ていたらムズムズして来た。僕も剣を振ってみたい。


「ねえ! 僕も剣を振ってみたい!」


「いいわよ」


 と、エリカが剣を貸してくれた。僕は大きくなった。


 あの女騎士シャウラを思い出す。こうやっていた‥‥‥1人で練習をしていた時の彼女を思い出し真似てみた。それをみた2人は、


「凄い‥‥‥何処かで習った事があるの?」


「ないよ。フェイが育てていた騎士シャウラの稽古を良く見ていたんだ。それは綺麗な剣捌きだったよ。落ち葉なんて落ちる前に音も無くキレイに真っ二つになっていた」

 ミュラーが言う、

「魔法も使えて剣も使えるなんて‥‥‥シルフィーなんかずるい……」


「僕は妖精だから実体は無いんだ。こんな事が出来てもそれは僕の力じゃない。エリカの剣の力を借りて見た事がある風景を真似ただけだよ」

 それでもミュラーは不服そうだ。


「ミュラーはきっと強くなるよ、沢山見てきた僕が断言してあげる。君は強くなれる。それに今、誰に教えて貰っているの? 剣姫からだよ!」


 ミュラーは嬉しそうに瞳を輝かせながら僕を見る。


 そして、剣を振るう。


 ギルドの依頼を受けモンスターを退治して行く、依頼を受けての帰り道で声をかけられた。小さな子供だった。ミュラーの肩に乗っている僕を見ると、


「ねえ? その肩にいるのは妖精さん?」

 僕はその子供の所へ飛ぶ


「そうだよ。風の妖精シルフィーだよ」


 その子供の手のひらに乗る。子供は嬉しそうに僕を見ている。それまで遠巻きにしていた大人達も近づく子供の笑顔って凄いよね、周りを幸せにする。


 エリカも笑顔だ。そうか、皆エリカを怖がっていたのか、今度はエリカの肩に乗る。エリカは、


「妖精は普段姿は見せないの。でもね、森には沢山の妖精がいるのよ」

 子供の目線み合わせ座り子供に笑顔で話す。


「お姉さんには妖精さんの姿が見えるの?」

 子供はその瞳をキラキラさせてエリカを見る。


「残念だけど見えないわ、このシルフィーだけ姿を見せてくれるの。このシルフィーは人間が好きなんですって」

 久しぶりに沢山の人間達の笑顔が見れて嬉しくなった。


「うわー! キレイだね。キラキラしている!」

 エリカは子供に言う。


「シルフィーは喜ぶと、こうやって光るの綺麗でしょう? 皆の笑顔が見れたのできっと嬉しいのね」

 周りの大人達もうれしそうだ。自然と笑顔になる。


「妖精が姿を見せてくれるなんてエリカ、君はいったい何者なんだ?」


 周りにいた大人の1人が聞く。きっとずっと知りたかった事なのだろう、周りの大人達も集まってくる。その様子にエリカは困った顔をする。


「私は普通の冒険者よ。このシルフィーが変わっているのよ。機嫌が悪くなると隠れてしまうけれどね」


 うん! やっぱりいいな笑顔は、僕はとても機嫌が良かった。キラキラ光る僕を嬉しそうに皆が見ていた。


♢♢

 

 季節は変わり冬が近づく、冬支度も終わり。街に雪が降る。セルシウス達がやって来る。


「ダイアウルフも森にやってくるわよ」

 エリカは嬉しそうに言う。ミュラーは緊張しているのか顔がやや引きつっている。僕は、


「そうだね、ミュラー相手してみるといい。きっとギルドにも依頼は来るからね、吹雪が強い日は大抵ダイアウルフがいる。ミュラーにはいい相手になるんじゃないかな?」


「そうね、明日にでもギルドに顔を出そうかしら。最近はモンスターの出現も減ってきたからきっと取り合いかも」


 翌朝ギルドに向かった。


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