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剣の稽古

 楽しい時間は早く過ぎていく。もう夜も遅くなってきた。ミュラーは眠そうにしている。フレアが困っている様に見えたので聞いてみた。


「どうしたの? 困った事でもあるの?」


「私、1人で寝た事がなくて‥‥‥いつもナニーが一緒だったから」


 とフレアはモジモジしていた。何だ、そうだったのか。家主に言ってもう1つベッドを用意して貰おうと思っていたら、シルキーが用意してくれていた。さすがだ!


「僕と一緒に寝ようか? 同じ妖精同士だから、気持ちは楽になるよ」


 フレアは嬉しそうに笑顔に戻る。僕は大きくなってフレアと一緒にベッドに入って寝た。不思議だ、僕の気持ちも落ち着く。同じ魂を持っているって事が、こんなに気持ちが安らかで落ち着かせてくれるだなんて知らなかった。きっとフレアも同じだったのだろう。ベッドに入ると直ぐ寝てしまった。


 この寝顔をギルマスは見られないのはちょっと気の毒かな?


♢   ♢


 朝、朝食の用意がされていた。いい匂いに誘われてフレアが僕の翼を引っ張る。お腹が空いたんだね。テーブルに着いて待っていると其々の部屋から出て来て皆が集まる。皆が揃ったので食事をする。食事も美味しそうに食べていた。僕は内心ほっとしている。‥‥‥帰りたいと言われたらどうしようかと思っていた。が、彼女は本気だ。




 この街ではフレアはギルマスの姪っ子だというのは知られているがハーフである事は知らされていない。それはそうだろう。言える訳がない。その事は黙っていよう。このままでいい。混乱を招いてしまう。僕はエリカを見る。これからどうしたらいいのか‥‥‥そんな毎日の初めの言葉はエリカの


「食事が終わったらミュラー、いつもの様に剣の稽古よ」

 

 この言葉で一日が始まる。エリカは確認するようにフレアに聞く。


「フレアはギルマスから剣の指導は受けていないの? 魔法だけだったのかしら?」


 食事も終わりお茶を飲んでいたフレアは

「おじ様から剣も教えて貰ったけれど、上手くできなくて‥‥‥」


「後からフレアの剣も見てみたいわ。いいかしら?」


 エリカからそう言われてフレアは恥ずかしそうに微笑む。


「それじゃあ、行きましょう」

 エリカはフレアに手を繋ぐように差出し言う。二人は手を繋ぎ外へ出る。


 今日はスライムさんも一緒に稽古を見るんだ。相談所は今日はお休みらしい。皆フレアがどんな魔法を使うのか、剣はどうなのか気になっているのだよなあ。僕もだけど! いつもの稽古場に着いた。


「ミュラー来なさい」


 とエリカとミュラーの二人の剣の稽古が始まる。その様子を見ているフレア。やっぱり二人の動きを追っている。これって、アリーナもその事に気づく。暫く剣の稽古は続く。ミュラーが剣を落とす。その剣を拾おうとした時、フレアがミュラーに言う。



「ミュラーはもう少し剣を短く持った方がいいわ。それに、エリカとの距離が離れ過ぎている。もっと前に出ないと今みたいに剣を持って行かれて弾かれる」


 こんなに短い時間でよくそこまで見切れるものなのか? エリカはふっと笑うと、


「そうね。フレアの言う通りね。もっと前に、私に近づいていらっしゃい!」


 そして稽古は続く。フレアの助言は合っている。ミュラーの動きがさっきより良くなった!


「少し休憩しましょう」


 エリカが言う。ミュラーはフレアの近くに来て言う。


「君の言った通りにしたら、動きが軽くなったよ。ありがとう! 剣の持ち方を変えただけで扱いやすくなったよ」


 エリカが言う。

「フレア。貴方の剣も見せてくれるのよね」


「はい! お手柔らかにお願いします」


 二人がどんな風に剣を使うのか、気になる! ミュラーの代わりにフレアがエリカと向かい合う。


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