自分を探す旅
「フレアの気持ちはよく解るよ。僕も自分の事が解らなくてずっと不安だったんだ。今でもまだよく解っていないんだけど」
エメラルドの色の瞳が僕を見つめる。
「シルフィーの魂の色は私と同じよ」
「そうか。僕とフレアは同じなのだろうか? でも僕は実体を持たない中途半端な存在だ」
フレアはそっとそのまま僕に近づき
「シルフィーは特別な生まれ方をしているのね。不思議だわ、同じ色の魂なのに微妙に違うの」
「フレア、君は一体どんな力を持っているの? そこまで僕に教えてくれた者は居なかったよ」
「おじ様から私は特別な目を持っていると言われたわ」
「私もよく解っていないの。だから、外の世界へ行けば何か解るのではないかしらって」
フレアの気持ちが痛い程よく解る。僕も外への憧れはずっとあってそれでも勇気がでなくて‥‥‥エリカ達と出逢ったから外の世界へ行く勇気を持つ事が出来たんだ。そう、きっかけさえあればいつでも走り出せるんだ。フレアの望みを叶えてあげよう。フレアのきっかけは僕だ! それでいい、僕が守る! 僕だけじゃない、エリカがいる。ミュラー、アリーナ、頼もしいスライムさんだっている。そう考えていたらナニーが帰って来た。
「早かったね。オルとは話せた?」
「シルフィーには迷惑をかけたのね。オルにはよく言って聞かせたから大丈夫よ」
ナニーが気づいた。
「フレア。シルフィーに話したの?」
黙って微笑むフレア。
「はあ。私はギルマスに何て言えばいいのかしら」
「ナニー、僕はエリカ達と相談してくるよ。断ったりしないよ。きっと喜んで迎えてくれるはずだ。むしろ問題はギルマスの方だね」
そう言って部屋を出て、フレアに手を振る。
「待っていてねフレア。僕は皆にこの事を話してくるよ」
♢♢
僕はエリカ達の所に戻った。丁度お昼で休憩をしていた。
「シルフィー早かったのね。フレアとは遊べた?」
「それなんだけど、皆に相談があるんだ」
そこでスライムさんがテーブルに飛び乗って
「フレアが私達と一緒に行きたいとでも言ったのか」
驚いた!
「どうして解ったの?」
「そりゃあ、あの時のフレアの顔を見ればわかるさ」
「あの時って?」
「ギルドでギルマスの所に戻りたがらなかっただろう? それにずっとシルフィーから目を離さなかった‥‥‥あれは、何かを見つけたと気づいた目だ。きっとシルフィーに何かを感じてそれから彼女は決めたんだ。自分を探す旅に。そうなんだろう?」
「スライムさん‥‥‥絶対何か特殊なスキルでも持っているんでしょう? そうだよ。彼女は自分の存在の意味を探そうとしている。僕はそれを手伝ってあげたいんだ」
エリカは
「シルフィーらしいわ」
ミュラーも
「そうだね。そうなるんじゃないかって何となく思っていたけど」
アリーナも
「シルフィーはお節介だから、きっと頼まれたのでしょう? 連れて行ってと」
皆‥‥‥
「一緒に行こうよ。フレアは僕達で守る」
ミュラーもエリカもアリーナも‥‥‥
「何でシルフィーが泣きそうな顔をするんだ? 誰も否定してはいないだろう?」
スライムさんが僕に言う
「ありがとう、フレアもきっと喜ぶよ」
エリカが立ち上がり
「それじゃあ迎えに行きますか? ギルマスにはその後逢いに行きましょう」




