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フネット

 そうやってスライム相談所は繁盛していた。お店の一角を貸して貰っている為か、お客さんも沢山入って賑わっていた。


「当分終わりそうにないわね」

 エリカはその様子を見て言う。


「それじゃあ、夜までまだ時間はあるからもう少し見て回ってもいいかしら?」


 アリーナも


「そうねシルキーと約束した茶葉を買いに行きましょうか。シルキーの入れてくれるお茶って美味しいもの、きっとお菓子も焼いてくれているわよね」

 

 アリーナ‥‥‥相変わらずだ。エリカの肩から飛び上がりエリカ達に


「僕はフネットの所に行ってもいい?」


 そんな僕にエリカは


「シルフィー、気にしていたものね。いいわ、行ってらっしゃい。アリーナには私から話しておくから」


 アリーナは何の事? という顔をしていた。エリカが上手く話してくれるだろう。ミュラーが傍にいる彼女の機嫌は良いのだ。

 

 僕はフネットの所に飛んだ。


「フネット。いる?」


「あら、シルフィーもう遊びに来てくれたの? 嬉しいわ」


「旦那さんはお仕事?」


「ええ、そうよ。シルフィーは、私が何故人間と一緒にいるのか気になっているのよね」


「だって僕等は命の長さが違う。それでも一緒にいる事を選んだんだよね。それって辛くないのかなって」


 フネットは優しく微笑んで僕を見る。


「愛し合うって素敵よ。この幸せを知ってしまったら、引き返せないわ」


「フネットは幸せなんだ。良かった」


「彼と生きた時間は私の中で永遠に残っていく。彼が先に逝ってしまうのは覚悟しています。彼も承知してますよ」

 

 両手を胸に当て祈るように言う。その横顔は美しい。


「それでも一緒に生きようと決めたフネットの生き方って僕は素敵だと思うよ」

 彼女に近づきそう言った。


「この街には妖精と共に、一緒に生を共にと誓った人間は多いの。他では考えられないわよね。それこそオベロンは嫌うでしょう。だから、妖精の国には戻らないと皆覚悟も決めています」


「そうなんだ。だからこの街は居心地がいいと感じるんだね。それと妖精を見る事が出来る者もいるって聞いたけどそれも珍しいね。僕は別として妖精が見えるってどうしてなんだろう?」


「この街の人間達は私達妖精を信じ理解してくれている、そして敬ってくれる、そしてまた愛してくれてもいる。森も大切にしてくれているのよ。そんな人間達の中に妖精をみる事が出来る人間がいたとしても不思議ではない」


「そうか‥‥‥これまで旅をして色々な街で妖精と上手く暮らしていた街は意外と多かったよ。でもここまで人間と共にあろうと決めた妖精や、人間と共に傍に居ようと決めた妖精は今までそうは居なかったなあ。こう言うお話ってハッピーエンドってあまり聞かないから」


「シルフィーが逢って来たその妖精達はきっと幸せよ」

 フネットは幸せそうな笑顔で僕を見つめる。


 ギルマスがこの街にフレアを預けている気持ちが解ったよ。人間と妖精が共存していけるそんな世界をギルマスは望んでいるのかも知れない。


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