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上位精霊

「さて、ダイアウルフ達の背後に何かがいるだろう、までは分かった。この件はエリカ達に任せていいかな?」


「ギルドマスターからの依頼って事ですよね。断れないじゃないですか」

 エリカが苦笑いをする。


 ギルドから家に向かって帰る。ミュラーは生気の無い顔をしている。僕は聞いてみた、


「どうしたの?」


「だって、ギルドマスターがエルフって……それも、二千年以上生きているって……頭の中が……」


「そうね、私もビックリしたわ。マスターに会う機会ってなかなか無いのよ。それが、初めて会ったら……これでしょう? こんなに何度も驚く事が続くと不思議と慣れてくるものね。シルフィーに会ってから驚かされる事が多くて、自分の無知さを知らされたって感じだわ」

 大きなため息とともに言う。


「エリカ達が妖精について知らないのは当たり前だよ。僕達は人間達に寄りそう者だから認識して欲しいって思っていない。そこが人間とは違う所なのかな? 人間は自分を認めて欲しいと思う気持ちが強いでしょう? 冒険者とよく話していたけど良く自慢話をしてくる人が多いなあって思ったよ。ドライアドに聞いたら、承認欲求っていうのよって言われた。正直今でも意味は分からないや」

 エリカの顔が曇る。


「そうね、冒険者はそれが強くないと生きていけないから、自然と自己主張が強くなるのかも知れない」


ミュラーが言う、

「自己主張しないとダメって訳じゃないと思うよ。エリカは自己主張した? 違うでしょう? エリカが頑張ってきたから皆が名前を知るようになったんだよ。知っている? エリカの事を剣姫って呼ぶ人もいるんだよ」


 ミュラーすごい! 何か初めて頼もしく思えた。


「ありがとう。2人とも優しいのね」

 エリカに笑顔が戻る。


「それにしても、ダイアウルフね」

 ミュラーが聞く、

「ダイアウルフって?」


「大きな犬よ、問題ないわ。後ろに誰がいるのかしら? それとも後ろではなく……」

 ? 僕とミュラーはエリカの顔を見る。ぽつりとエリカは言う。

「まさかね…‥」


「僕、様子を見てくるよ。仲間達の事も気になる」

  

 僕は飛んだ。


 仲間達は頑張って結界を守ってくれていた。僕はその結界を抜けて先へ出た。そこは、猛吹雪になっていた。ダイアウルフが沢山いる! こんなのが街に来たら大変だ。

 

 僕は吹雪の中、姿を変え大きくなって飛んだ。奥へ、もっと先へ! 誰がダイアウルフを連れて来たのか、見つけた! セルシウスがいる。フラウもいる。氷の精霊だ。その後ろには! フェンリルもいる。

何故? 上位精霊までいるんだ? 声をかけてみるが返事がない…‥‥やっぱり可笑しい。


「セルシウス! セルシウス!」

 何度も声をかける、


「……シルフィード?」

 やっと気づいた!


「まだ、冬は来ないはずだよね。何故来たの? それにこんなに吹雪が強いと人間達が困ってしまう‥‥‥まさか! ジャックを連れて来ていないよね? あれはダメだ!」


 フェンリルも僕に気づいた!

「ジンはいないのか?」


「上位精霊がここに居る訳ないだろう? こっちが聞きたい! 何故貴方までここに居る?」


「呼ばれたのだ、行かねば……」


「ダメだよ! フェンリル! フェンリル!」

 

 上位精霊まで使役できるなんて、誰なんだ! やっぱり魔王なのか? 一度戻ったほうがいいかも知れない。ギルドマスターに相談しないと‥‥‥僕では無理だ。


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