同じ魂を持つ者
可愛いなあ。僕にしがみ付くフレアを見ながら思う。フレアは
「シルフィーも他の街に行ったの?」
と首を傾げて僕の顔を覗く。
「そうだね。沢山見て来たよ。妖精達にも沢山会って来たね」
そのグリーンの瞳を大きくして
「知りたいわ! 他の妖精達の事も教えて、シルフィー!」
もう何でも言う事を聞いちゃうぞ! 僕はソファーに座り今まで出逢ってきた妖精達の話をする。
エリカやアリーナはモンスターの話を聞かせていた。その話をキラキラした瞳で見つめながら聞いている。その様子をお姉さんは黙って僕達の話を聞いていた。
♢♢
ドアが開きギルマスが戻って来た。
「楽しい話は聞けたかな?」
「はい! シルフィーの翼ってフワフワなのですよ! それにシルフィーはお日様の香りがするの!」
ギルマスは僕の姿を見て
「シルフィーも実体を持つとそのような姿になるのだろうか、前にもその姿は見せてもらったが‥‥‥」
と不思議そうに聞いてきた。
「実体をもったらたぶん翼は無くなるんじゃないかな? この翼は実用的じゃないからね。普通のエルフだよきっと」
嬉しそうに僕にしがみ付いているフレアをみてギルマスも僕に近づく。と僕の翼を撫で始める。
「おお! 本当だ! ふわふわだ!」
「ギルマスまでそんな子供みたいに嬉しそうにしなくても‥‥‥」
そしていつの間にか皆が僕の周りに集まり僕の翼を撫でまわす‥‥‥。お姉さんまで‥‥‥。
「‥‥‥気が済むまでどうぞ」
諦めてフレアを抱きしめながら言う。
不思議だ。フレアって他にないモノを持っている。目を閉じ感じてみる。フレアの魂の色が見える。
虹色に変化をする不思議な魂だ。ギルマスを見る。僕が気づいた事を感じたようだ。
「さあ、フレアおいで」
とギルマスが両腕を差し出すがフレアはそっぽを向く。
「フレア。ナニーが心配する、帰るよ」
そう言って諭すが逆に僕に強く縋り付いてくる。どうしたもんか‥‥‥
「フレア。ギルマスが困っているよ。ナニーを心配させてはいけない、彼女が待っている」
「‥‥‥シルフィー、私‥‥‥」
「今度は僕がフレアの所に遊びに行くよ。だから、帰ろうね」
僕から離れギルマスの腕の中に抱かれるフレア。
「きっと来てね。待っているから」
今にも泣きだしそうに僕を見つめる。
「約束だ! 妖精の約束は絶対だよ!」
フレアはギルマスの胸に顔を埋める。
「今日はありがとう皆。この街でゆっくりするといい。では」
と部屋を出て行った。ドアが閉まると、お姉さんが
「珍しいです。我がままを言う子ではないのですよ。いつもはギルマスの言う事はしっかり聞くのですが‥‥‥」
とお姉さんが言う。エリカが
「気に入られたのね、シルフィー」
ギルドを出て森へ向かうギルマス。その胸にいるフレアに
「フレア、シルフィー達が気に入ったかい?」
「それもあるけど‥‥‥それだけじゃない」
フレアはそう言ってギルマスの首にしがみ付く。
「だってあのシルフィーは私と同じ魂を持っているのだもの」
「そうか、君にも見えたのか。あのシルフィーはフレア、君と同じ者なのかも知れない。が、シルフィーは実体は持っていないのだ。何故なのか私にも解らない。知っているのは我が王のみだろう。フレア私の宝物。私はまだフレアとは一緒に居たい。離れたくはないんだ。だから‥‥‥まだ行かないでくれ」
そう言って強く抱きしめる。
「おじ様‥‥‥」
そう言ってギルマスの頭を撫でるフレア。




