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フレア

 ハーフエルフ。ギルマスは確かにそう言った。


「私の弟にシルフィーは逢っているはずだよ。今は彼もきっと喜んでいるだろう」

 僕は考えるけど思い出せない。


「彼は愛する人を失った。子供への愛情は勿論持っていたよ。可愛がっていたからね。でも彼は彼女の事が忘れられなかったんだ。子供の顔を見ると嫌でも思い出す。彼女にそっくりなんだ」


 僕はそれでも思い出せなかった。ギルマスは僕の顔を見て言う。


「彼を妖精の国に連れて行ってくれただろう?」


 ああーーーーっ! 思い出したあーー! 冒険者してるって言ってたエルフに僕は‥‥‥

 そうだ‥‥‥あの時、命を終わらせて欲しいと願ったエルフだ。彼は‥‥‥


「思い出したようだね。彼は私の弟だよ」


「ギルマス。僕は‥‥‥」


「そうか、君は彼を見送ってくれたんだね」

「‥‥‥‥‥‥」


「フレアの母親は人間だ。エルフの多くは実体を持つ事を望み魂を得る。人間を愛するのは妖精である我等にとって当たり前で特別な事ではない。だが、彼は1人の人間の女性を愛し互いに愛を誓った」


「人間と私達は命の長さは違う。フレアもハーフではあるが我等と同じで長命だ。フレアは見た目は小さな少女だが人間でいうと百歳を超えている」


 僕達は驚く。ギルマスは言う

「彼女、フレアが人間の女性の様に成長するまで守ろうと誓った。姿が大人であれば気味悪がられる事はない、彼女もどう生きて行けばいいのか解るだろう。ハーフである事を隠せばいい」


 隠せばいい‥‥‥その言葉を聞いてカチンと来た!


「ギルマス! 何故隠す必要があるの? フレアはそれを望んでいる? 母親は人間だった。いいじゃないか、僕は隠す必要はないと思うよ。決めるのはフレア自身だ」


 僕はギルマスの瞳を覗く。


「でも‥‥‥まだ彼女には外の世界に出るには早いかも知れないね。ナニーはよく解っていると思うよ。外の世界に出るにはまだ準備が出来ていない。僕にもそれは解るよ」


「ねえ、ギルマス。オベロンはフレアの事を知っているの? あの時は知らなかったみたいだったけど」


 ギルマスは顔をしかめて


「‥‥‥いや、知らないはずだ。人間と交わるのを嫌う方だよ。ハーフは存在しないとされている。しかし、フレアはこの世界に生まれた()()()()なんだ」


「そうか、だから妖精達が守るように大切にここで彼女の傍にいるんだね。ピリーウィギンズ達に僕でさえダメって言われたんだよ。あの時はエリカ達人間がいたから心配だったんだよね」


 ギルマスは妖精達と楽しく遊んでいるフレアを愛しそうに見つめる。


「エリカ達にお願いがあるのだよ。彼女をフレアを守ってくれないだろうか。いつか彼女が外の世界へ来る日が来たら‥‥‥」


「その日が来たら知らせて下さい。必ず守ります」

 エリカはギルマスを真っ直ぐ見て言う。アリーナは


「私はドラゴンだもの、任せて!」

 ギルマスが一瞬怯んだ。


「まさかとは思うが、ドラゴンの郷の者かい?」

「はい! そうです!」


 そこであの古龍ドラゴンの言葉を思い出した。


「そういえば、ギルマスの事を知っていたドラゴンがいたよ! まだ決着は着いとらんって言ってたよ」


 ギルマスは頭を抱えて

「アイツまだしぶとく生きているのか」


「その古龍ドラゴンも同じ事を言っていたよ」


 巡り合わせって面白い、こんな所で繋がるなんて。


4話に登場したエルフがギルマスの弟だった!です。

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