ピリーウィギンズ
「ギルマスの凄さはその魔法を見たから知っているよ。でも剣で戦っている姿は見てないや。そう言えばドラゴンの街であった古龍がギルマスと戦ったって話していたなあ」
若かりし日のギルマス。興味がある! またワクワクする。そこでエリカにツンと頬を突かれる。
「何するんだよ! エリカ!」
「全く‥‥‥妄想するのは勝手にしてもいいけど、そうキラキラしているとスライムが困るでしょう」
アリーナの膝の上に居たスライムはテーブルの下に移動していた。
「そっか」
僕はエリカの肩に乗る。エリカが聞く
「どうだった? 妖精には沢山会えた?」
「ここは沢山の森の妖精がいるんだ。特に木々の妖精は他に見ない位いたよ。もしかしたらギルマスその妖精に逢いに来るのかな?」
「どうしてそう思うの?」
「森の中の妖精達が何かを守っているんだ。教えてくれないんだよ、僕にも」
「そうなんだ‥‥‥あっ! スライム相談所に行かないと!」
スライムさんは何処かへ行ってしまった。この疑問は明日来るであろうギルマスに聞けばいいかな。
「ねえ! 見て! テーブルに食事が並んでいる!」
アリーナが叫ぶ。
「あらやだ! 凄くキレイ!」
「はあ、シルキーのご飯が食べれる!」
ミュラーもやや興奮気味? に見えるけど‥‥‥
「さあ! 頂きましょう!」
エリカも嬉しそうだ。
食べ終わって僕は窓からの視線を感じて窓へ行く。ピリーウィギンズが居た。窓辺に座って話かける。
「やあ! 初めまして! 君はピリーウィギンズだね。夜にも現れるなんて珍しい。夜に咲く花でもあるのかな?」
『そうね。それもあるけど、貴方の事を他の妖精達が噂していたの。それで、逢いに来ちゃった』
ひらひらと薄く細長い羽を羽ばたかせて笑顔で話す。
「わあ! 嬉しいなあ、その花を一緒に見たいけど、人間を一緒に連れて行ってもいい?」
『いいわよ。今から行きましょうか?』
「ねえ、皆これから夜にしか咲かない珍しい花が見られるみたいだ。その場所に妖精が連れて行ってくれるって言っているけど、行く?」
「もちろん! 連れて行って! 見たいわ」
エリカが言う。皆も笑顔だ。さあ、行こう!
僕達は妖精の後を付いて行く。
「妖精ってきらきらしているのね」
アリーナがピリーウィギンズを見て言う。
「彼女達は夜になるとこうやってキラキラ光りながら仲間達と会話をするんだよ。花の蜜が好物だから、丁度今の時期には沢山いるんだ。花畑で飛んでいる姿は溜息が出る程素敵なんだ」
その森の奥に大きな一本の木の様な植物があった。
『これよ。年に一回しか咲かないそれも夜にだけ、朝日が出たら散ってしまうの』
月の光に照らされて大きな蕾が花を開花させていく、その花の周りには沢山のピリーウィギンズが集まってキラキラと美しく輝いていた。その蕾は皆の視線の中、徐々にほころんで行く。
月灯の中その花は大きくそして美しく開花して行く一つ一つ大きく美しい花は一斉に咲き誇る。ピリー達は花の蜜を飲む為に花に群がる。その幻想的な光景にエリカ達はしばし現実から離れ夢を見ているかのように魅了されていた。その中の1人の妖精が蜜を小さい入れ物に入れて何処かへ持って行った。僕はその後をついて行こうとすると他のピリーが僕の行く道を塞ぐ。『この先はダメ』
【ピリーウィギンズ】踊り、蜜を集め飛び回る。花粉や花の蜜を食べる。
スコットランドやアイルランド、イングランド、オランダ、ベルギー、フランスなどに多く住んでいる。
この妖精は11月から4月まで冬眠をする。




