妖精達と暮らす街
この街の人間達はエリカに対しての恐怖心が和らいでいるのだろう。エリカを見るその瞳にエリカは普通の美しい女性として映っているのが解る。アラン達が持って来た荷も片付き彼等は元の街へ帰る。
「本当に世話になった。楽しかったぜ、また縁があったら会おう」
白い歯を見せて笑うアランとエリカ、ミュラは握手をする。
「アラン! 皆! ありがとう! 楽しかったわー!」
アリーナが船の船員達に手を振る。皆笑顔だ。
船が出て行く。それを僕等は見送る。また、新たな旅が僕等の旅が始まる。
「シルフィーいるわよね。ここを出る」
その港街を後にしてグリフォンに乗る。空を飛んで仲良くなったトンステールと話していたら僕の姿が見える様になった。それを見てまず反応したのはアリーナだった。僕を引き寄せて、
「良かったー! やっぱりシルフィーが居ないと寂しいわ」
と僕に頬擦りをする。
「そうだね。居るのが当たり前になっているから、変な気分だったよ」
ミュラーもそう言って僕の翼を撫でる。
「妖精なのに妖精らしくない変わった妖精、でも私達にとっては大切な仲間なのよね」
エリカもそう言って僕の頭を撫でる
「皆僕に触り過ぎじゃない? 気持ちは解かるけど! 僕も話が出来なくてつまらなかったもん」
グリフォンは3人を乗せて飛ぶ。
季節は春から夏へと変わって行く。またミュラーの苦手な季節がやって来る。
♢♢♢
次に着いた街はトンステールから行ってみるといいと教えて貰った場所だ。いつも行く街と変わった所は感じないけど‥‥‥
グリフォンから降りる。その街は緑豊かな街だった。良い風だ僕は空を飛ぶ、いつもと同じようにここにいるシルフィー達とお喋りをする。ここには沢山の妖精がいるのだと教えてくれた。妖精の国へ行く扉もあると。この街にはその妖精の国から妖精達が訪れるらしい。だからなんだ‥‥‥身体が軽い、心地良い‥‥‥
その様子をエリカ達が見ている。
「今日はいつになく楽しそうよ!」
アリーナが言う。
「そうだね。久しぶりかな? シルフィーのキラキラ」
ミュラーも僕を見て言う。
「ここに来て良かったわ。シルフィーが居ないとやっぱり変な感じがするもの。シルフィーが喜んでいるのならこの街はきっと居心地が良い所なのね」
エリカもそう言った。
街の中に入ってギルドを探す。ミュラーが街の人間に聞いている。
「ギルドは何処にありますか?」
「ああ、冒険者の人だね。ギルドまで案内するよ、付いておいで」
と案内してくれる。その人間が僕を見て言う。
「そうか! 妖精を連れた冒険者は君達かあ! 話は聞いているよ。剣姫は元から有名だけど優秀なテイマーもいるんだろう? ドラゴンをティムしたんだってね! ここにいる人間達は妖精と共に生きているよ。それこそ番となっている者もいる。だから、安心してここで旅の疲れを癒すといい」
「そうなんだあ! 素敵な街だね! 沢山妖精がいる! この感じだときっと見える人間もいるんだよね」
案内をしてくれた人間に聞く。
「そうだね、ここには妖精を見る事が出来る者が多くいるんだ。そのうちに逢えるさ。ほら、ここがギルドだよ」
話を聞いていたらギルドまで来ていた。お礼を言った後ギルドに入る。
「まあ! エリカ様達ですか! お会い出来て嬉しいです!」
うん! いつもの反応だ!
「そう言えばギルマスがこの街にエリカ達冒険者が来たら連絡するようにと言われていました。伝えておきます。宿をお探しですよね。イチオシをお勧めしますよ! 勿論スライム相談所も用意させて頂きます!」
何だかテンションの高いお姉さんだ。宿は森の中の空き屋をお勧めされた。お姉さんはにっこりと微笑むと
「ここには、シルキーがいるのです。昨日までお客様が居たのですが、良かったです。これでシルキーも寂しくないですね」
うん! いい人間だ。
明日は日曜日!次回は朝に投稿します。ゆっくり飲んで下さい。
 




