港町商業都市
僕達は船旅を楽しんでいた。船上でもアームレスは人気で船乗り達のいい気分転換になっていた。結果は、言うまでもなくアリーナに勝てる者はなくアリーナは
「つまらない! ミュラー! 相手をして!」
「僕は‥‥‥女の子とはやらないよ」
「エリカ! お願い! 一回でいいから!」
「仕方ないわね。一回だけよ」
それを聞いた船員は甲板に押し寄せる‥‥‥。わお! 凄い! 僕は空中でそれを見守る、審判はスライムさん! アランも見たいと言っていたが今は船の舵をとっているので残念だが見られない。誰も変わってははもらえない。さあ! 始まる! 互いの顔を合わせ見つめ合う。周囲は緊張感で男達は手に汗を握ってその瞬間を待つ。スライムさんが声を掛ける。
「よーーい!」
皆前のめりになって待つ。
「スタート!」
アリーナは必死に腕に力を込める。エリカは‥‥‥やっぱりエリカだ。余裕の表情でアリーナを見る。
「ほら、もっと力を入れて、貴方はその姿でも力を出さないと行けないわ。ミュラーを守るのでしょう?」
「エリカ! ミュラーの事をここで出なんてずるい! そうよ! 私はミュラーを守る!」
アリーナは頑張った‥‥‥だが、やっぱりエリカは強かった。
「もう! 悔しい! どうやったらエリカに勝てるのか知りたいわー!」
そこで誰かが言った。
「エリカとミュラーがやったらどうなるんだ?」
‥‥‥‥‥‥?
ミュラーが焦り出す。
「止めてよ! そんな事を言うのは!」
皆の熱い視線を浴びてエリカは
「まだまだね。私に剣を叩き弾かれなくなったら相手をしてあげてもいいかしら?」
「そうだな、坊主には荷が重いよなあ、相手は師匠なんだ。剣の稽古は見てるが俺達ではその動きを目で追えない。そこの嬢ちゃんは見えてるみたいだがな」
ミュラーがほっとしている。ミュラーのカードの10枚分のポイント貰えないとエリカのカードになれないんだったけ? 道のりはまだ遠いね。それでも強くなったよミュラー。
海上生活も一週間になった。食料は豊富にあるので食事について皆満足しているようだ。
「魚が一杯食べられて幸せだわ」
アリーナは満足している。肉もダイアウルフの肉がある、あのジャムもある。お陰で船員は元気だ。
「本当ならもっと時間がかかる航海なんだが、シルフィーが帆に風を当ててくれているから予定より早く到着するぞ」
アランは嬉しそうに言う。
「もうすぐ見えてくるはずだ」
ここから高い山が見えている。近づいて行くとそこは大きな港で沢山の船が停泊していた。人間達も沢山いる。この街は大きい! 商人も沢山いる!
「シルフィー積荷が片付くまで暫く付き合ってくれ、ここには物取りは多い。荷物を守って欲しいんだ。キラーアントがいるから心配はしていないが。何が起こるか解らないせっかくの荷だ、それに悪徳商人もいる。港街と言うより商業都市だ。それ位この港街は大きいのさ」
「そこは僕等に任せて! スライムさんに任せておけば問題ないし、エリカがいるんだ。知らない人間はいないでしょう? 僕もいるからさ!」
「頼もしいなあ、ずっといて欲しい位だよ。無理なのは解っているが‥‥‥」
アランは残念そうに僕を見る。
「ここの船員に商売に精通した人も乗っているんだよね。スライムさんと一緒に行くといいよ。勉強になるよ」
「そうさせてもらうよ」
船は港に着岸した。アランが先に船を降り何やら交渉をしていた。荷物の売買は明日行うみたいだ。予定より早く到着したので商人達も喜んでいる。積荷は一旦倉庫に預ける。キラーアントが積荷を運んでいる様子に港の人間達は驚いていた。
「見てみろ! 皆驚いているぞ!」
モンスターであるはずのキラーアントが手伝っているのだ、無理もない。積荷を降ろしてキラーアントが見張りをする。これでは誰も近づけない。頼もしい!




