02:異世界バルディア
ブックマークなどありがとうございます。
これから少しでも面白くなるように頑張ります。
「それじゃあいこうか。」
バルドがそう言った瞬間私の視界が一瞬途絶え、ふわっとした感覚に襲われた。
私は期待と不安のふたつの感情を持ちながらその感覚に身を任せる。
するとほどなくしてその感覚が消える。
「到着だよ、慣れない感覚だっただろう?」
バルドがそう告げる。
私の目に光が再び入ってくる
すると、私の目の前には鮮やかな緑が広がっていました。
「すごく、綺麗・・・」
私は思わず声に出してしまいました。
私が立っていたのは小高い丘の上でした
その丘から一面に広がる大きな森、日本にいた頃は写真でしか見ることが出来ない景色に私の心は奪われ、目を離す事なんて出来ませんでした。
「そっちの森もいいけど、後ろも見てみるといいよ、多分君が住む事になるであろう街がここから見えるからね。」
「街?」
私は後ろを振り返ると、そこには大きな街がありました。
「すごく、大きな街・・・」
「だろう?ここがこの世界バルディアの国の一つ、バルディウス王国の首都、王都バルディウスさ!」
バルドが自信満々に答える。
「バルディウス王国?」
「そう、そしてボクはこの国の国鳥として指定されている、だから君がここで過ごす際の手助けにはなると思う。」
「だから国の名前とバルドの名前は似ているの?」
「うん、まぁそんな感じかな?他にも理由は色々あるけど、そのうち分かると思うよ。」
「でも、だったら何で私たちのいた世界に来ていたの?」
「それはボクの趣味だね、渡り鳥は大抵の場合色々な世界を旅するものなんだ、その中で気に入った世界があればそこを拠点として色々な場所に観光に行くんだ。」
「観光するの?」
「そうだよ、ボクらはとても長生きでね、寿命だけで見れば大体1000歳を超える、大体その前に異世界で死ぬ者も多いのだけどね、そんな長い時を生きていると一つの世界は飽きてしまう、だからボク達渡り鳥は多くの世界を渡るんだ。」
私には理解の及ばぬ世界の話だった。
1000年も生きる事が出来るなんて凄い。
「バルドってすごく長生きなんだね。」
「まぁね!ふふーん!」
「とりあえずこんなところで長話もあれだし、街へ行こうか?」
「うん、わかった。」
そして私たちは街のある方向へと丘を下っていきました。
丘を下っていくと城壁がよく見えてきました。
その壁の中に門のような場所があり、たくさんの人たちが中に入るために順番待ちをしているようでした。
「ボクが入る時はこっちから行くよ、付いて来て。」
並んでいる人たちを横目に見ながら私はバルドに着いていくと兵士と思われる人が立っていました。
「おや、バルド様、お久しぶりです。」
「久しぶり、といっても今回は早かっただろう?」
「そうですね、それでそちらのお連れ様は?」
「異世界から連れてきたボクの命の恩人だ。」
「命の!?」
兵士はとても驚いた様子でした。
「跳んだ先が悪くてね、猫のような生き物にいきなり襲われてね、彼女が手当てをして安全な場所へ避難させてくれたんだ、おかげでなんとか無事に生きているよ。」
「それはよかったです、えーと、貴女のお名前は?」
兵士は私に話かけてくる。
というよりも何故言葉が通じているのかは謎だけど、言語自体が同じ国なのかもしれません。
「私の名前は小鳥遊、ユウって呼んでもらえれば大丈夫です。」
「まさか、お貴族様で!?」
「いえ、私はただの平民ですよ。」
「そうでしたか、名字を持つのは基本的に貴族のみですからね、異世界というのは興味深いものですね。」
「それじゃあ通っても大丈夫かな?」
「えぇ、バルド様ですからね、どうぞお通りください。」
「ありがとう、お仕事頑張ってね。」
バルドはそう言いながら先へと進んでいく。
「こちらこそありがとうございます!王都、是非楽しんでください!」
「ありがとうございます。」
私もお礼を言いながら中へと入っていきます。
肩に乗っているシロは周りをキョロキョロと見ているようです。
そして私は異世界で初めての街、王都バルディウスへと入ったのでした。
もしよければブックマーク頂けると嬉しいです。