01:籠の中からの脱出
新作です、思い浮かぶがままに書いているので途中でエタるかもしれません。
週2-3回更新の予定です。
更新日は偏るかもしれません。
「私はなぜ生まれてきたのだろう」
そんな事を考え始めたのはいつ頃からだっただろうか。
私は今毎日学校と塾を往復するだけの生活をしている。
家から学校へ向かい授業を受け、学校が終わればその足で塾へと行く。
休みの日は午前中は塾へ行かされ、午後からは家庭教師とそんな生活。
自由なんて無いし、学期末になれば成績表が5で埋まっていないと何を言われるかわからない、でもあと2年でそんな生活も終わるはずだと、今の私はそう思っていた。
「な、なんで・・・」
今回の期末テストでは自分でも自分をほめてあげたいくらいの好成績だった。
なんと全教科100点だったのだ。
それに授業をしっかり受け、分からない事があれば先生にしっかり確認をし、予習復習にも抜かりはなかった。
勿論授業をサボることなく皆勤賞まで取っている。
なのに、なのに、何故か私の成績表には4の数字が入っていた。
「どうしよう、このままじゃ・・・」
どうしようもない、そんな事は分かっている。
でも聞かずにはいられなかった。
私は4の評価を付けた先生の元へと向かう。
「先生、どうして、私の評価は4なのでしょうか?授業もしっかり聞いていますし、課題も忘れたことは一度もありません、それに試験の結果も100点です、どうしてなのでしょうか?」
先生は答えた。
「君は確かに優秀だ、でも挫折や失敗を経験する事も大事だ、だから4にした。」
「そんな事頼んだつもりはありません!」
先生は書き換えるつもりは無いと私を一蹴した。
私は絶望した、もうどうしようもなかった。
私がどれだけ努力をしようと勝手な理由でこうなってしまう。
私はどうすればいいの?
「鳥のように、自由に生きたい。」
私はそう願わずにはいられなかった。
私はとぼとぼと家に向かって歩いていた。
すると、目の前に傷を負った小鳥が現れた。
「だ、大丈夫小鳥さん!?」
私は軽く持っていたペットボトルのお水を迷いなく小鳥さんにかけてあげる。
消毒液なども持っているので少しだけかけて消毒をする。
実際消毒してもいいかは私には分からなかったけれどしなければいけない気がしていた。
大きな傷の部分に絆創膏を切って小鳥さんにあわせた小さいサイズのものを貼ってあげた。
小鳥さんを安全そうな場所へ避難してあげて私は家へと戻っていった。
「傷、治るといいな。」
それから家へと帰った私は成績表を母親に渡す。
案の定私は怒られた。
でも家で飼っている文鳥のシロがいれば私はそれにも耐えられる。
そう思っていた。
「こんな鳥買ってあげたのが間違いだったようだね!!!!」
母親はそう言ってちっちを外へ放り出してしまった。
私は外へ駆け出した。
家を出ようとする私に母親は何か怒鳴っている。
「私はあなたのおもちゃじゃない!」
そう言ってちシロを追いかけに行った。
シロが放り出された方角へ走っていくとシロが私の肩に止まった。
「チッチッ」
まるで「どうしたの?」って言っているかのように私の事を気にしてくれるちっち。
「ありがとう、シロ、戻って来てくれて。」
私は泣きそうになった。
「ねぇシロ、私もシロみたいに鳥になって一緒にこの空を飛んでみたいな。」
もう籠の中の鳥のような生活は嫌だ。
シロは「僕も僕も」と言わんばかりに私のほっぺに体をすりすりしてくる。
本当にかわいいな、シロは。
「もう、こんな世界抜け出したいな。」
ふと考えている事が声に出てしまった。
「その願い、叶えてあげようか?」
「えっ?」
私の前にはさっき助けた小鳥さんが立っていた。
「あなたは、さっきの小鳥さん?喋ってる?どうして?」
私の頭の中は混乱していた。
「まずはボクの紹介をさせてもらうよ、ボクは渡り鳥のバルド、君がさっき手当をしてくれたおかげで動けるようになったよ本当にありがとう。」
「渡り鳥のバルド・・・?」
「君達が知っている渡り鳥とはボクは違う存在でね、他の世界、つまり異世界だね、その異世界を渡っているんだ、まぁボクは拠点となる世界を持っているからこうして他の世界に行くのは趣味みたいなものなんだけれどね。」
小鳥さん改め渡り鳥のバルドは他の世界を渡ることが出来るらしい。
「それで私の願いを叶えるってどういう事?」
「君は今の世界が嫌なんだろう?だったらボクのいた世界、バルディアに来ないかい?」
「異世界、バルディア・・・」
私は数刻考えて結論を出した。
「行きたい、異世界に。」
「本当にいいんだね?もしかしたら痛い目にあったり悲しい目にあったりするかもしれない、辛い事もあるかもしれない、それでも君は行きたいかい?」
「うん、このまま生きているよりはよっぽどマシだと、思うから。」
「わかった、技術はこの世界とは大幅に違うから慣れるまでは大変だろうから、ボクが最初は一緒についていってあげるよ。」
「いいの?」
「命の恩人である君を異世界に連れていくんだ、それくらいはして当然だろう?」
「それなら余計に行きたい、私を、異世界に、バルディアに連れてって。」
「わかったよ、それで?君はどうするんだい?」
バルドはシロに向かって尋ねた。
シロは私の頭の上に乗り一緒に行きたいと言っているようだった。
「君も、行きたいんだね、じゃあ一緒に行こうか、ボクに触れてくれるかい?」
「うん、これでいい?」
私はバルドを手のひらの上に乗せる。
「それじゃあ行くよ。」
バルドがそう言った瞬間に私は地球から、いや違う、籠の中から飛び立った。
そしてその瞬間から私は、小鳥遊は地球から姿を消した。
私がいなくなった後の世界の事はもう、どうでもよかった。
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