衝撃の事実…
のーんと動いた毛玉は羊だった。艶々した薄黄色の角は光を反射していて、白色の毛皮はもふもふでブラッシングしたてのよう。
「んみゃあ…!?羊さんだったの!!?」
「そうだよぉ~でもでもぉ、主ならぁダンジョンの魔物の数とぉ種類がぁわかってるはずだよぉ~?」
「…そういえばさっきから気になっていたんだけど主って私のこと?それからダンジョンってなに…?」
「あれぇ~…?そういえば主の見た目不思議だねぇ…?『最初の双璧』に与えられる知識ではぁ、ダンジョンマスターな主はニンゲンの成体みたいな見た目が大半ってあるのにぃ」
ダンジョンマスターだって!?いやいや、そんな異世界設定とかあるわけ…見た目が不思議…?
「ね、ねぇえーと…そうだ!牡羊座からアリエスにしよう!アリエス私はどんな見た目なの?あと…あと私はダンジョンマスターなの?」
勢いでとりあえずの名前をつけたつもりだった。スペイン語でAries=牡羊座である。一瞬羊―アリエスの体が淡く黄色に光った気がする。
「なま…え?うわぁ~い!!え、えとね!!あ、主はぁ幼いニンゲンのぉ子供みたいな見た目でねぇ?ダンジョンマスターだよ!」
急に間延びした喋り方はそのままにハイテンションになって早口になった。テンションが上がっているせいなのか少し文が変な感じだ。名前が何で嬉しいのかわからないけど、とりあえず私は今幼女らしい…。
そしてしっかりダンジョンマスターだった。やけくそで思わず私は叫んだ
「スキル:『迷宮創造』!!」
すると、目の前にフッと所謂いかにもなRPGな画面が現れた。当たりかよ!!?その上なんだろ…今現状異世界にいることが確定になってしまった気がする!現在地のマップとそこに存在する自分以外の者の情報が出てる。成る程。これがアリエスの言ってたやつかな?
しかしこのマップに出ている真っ白い円形の床がダンジョン?さては、よくあるダンジョンマスターはダンジョンの中の異空間に行ける的なあれ?よし、アリエスに聞こう。
「う~ん?ここがダンジョンだよぉ…?不思議なダンジョンだよねぇ~空洞のない円柱状なんてぇ」
え、え、つまり私とアリエスともう一匹のもふもふ魔物は白い謎素材の円柱のてっぺんにいるってこと…?しかも塔とかになっているわけでもなく、ただ円柱なの?
詰んでる気がする。人が来なければダンジョンじゃないし、来たとしても登れない…
早々に、詰んでいることに気づいた私はアリエスをもふりつつ項垂れた。
「そういえば何で名前が嬉しいの?」
現実逃避としてふとした疑問をアリエスにぶつけると、いまだに蕩けたような表情をそのままにして
「えぇ~?それはねぇ、名前有りの魔物はねぇ強い魔物に進化しやすいからだよぉ~…。ついでに言えばぁ仮に名前をつけて強くなっても側におけるよぉっていう信頼の証でもあるからなんだよぉ~♪信用ありがとぉ主様♡」
と、答えた。
ふぁいっ!?知らない内に私は信用の証を与えていたのか。いや、もふいからずっと側にいてほしいし良いんだけどね…。うん。でも迂闊に名前をつけちゃダメってことは学習したぞ!次はうっかりしないようにしよう。
ところで、もう一匹の方は起きないのかな…?この子は起きたらお話しして名前をつけようかな、と思ってるんだけどな。ほらアリエスがなんか『初めての魔物』とかって仰々しく呼んでたからアリエスと同じだけ信用するに値すると思うんだよね。
早く起きないかな……?
読んでいただきありがとうございます。
もうひとつの方はもうしばらく待ってk(この後の文は黒ずんでいて解読できない




