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WooTober異世界に立つ  作者: 石の森は近所です
異世界激動編
123/208

第117話、タケ、氷の微笑に敗れ去る。

I:Dさん、あれはマズいですよ。映像のプロが拡大したら、B-52だってバレちゃいましたから。Fさんもカンカンでしたよ。


D:ええい、うるさい。これというのも君があんな魔法師を寄こしたせいじゃないのかね。日本では有名だと言っても、しょせんはあの程度の男だったという事だ。名案があるなら聞くが――。


I:名案なんて、あれだけ強くなられるとありませんよ。僕がそっちに行くのが名案と言えば名案かなぁ。でも、気が乗らないんですよねぇ。


D:君が来られないと言うのなら――アレを使うだけだ。


――OFFLINE


「あらら。またハゲのお爺ちゃん怒っちゃったよ」


「あはは。甘く見すぎなのよね。魔法師を」


「うーん、それもあるけど――現代の化学兵器に固執し過ぎなんだよね」


「そんな事よりも、ゲームの続きやろ。今度は負けないからッ」


「だねぇ。フェローのお爺ちゃんも面倒は見切れん。なんて言ってたし。ハゲのお爺ちゃんは死んじゃったりしてね」


 愉快そうに物騒な会話をしていた少年と少女は、手に持つコントローラーのスイッチを入れた。大きな画面には対人格闘のキャラクターが映し出される。


「じゃあエリーは旋風拳の使い手ね」


「それじゃあ僕は――魔法使いかな」


 少年の選んだキャラは、タケが得意とする炎の魔法の使い手だった。



*    *     *


「それで、なんでこの部屋にハドロ王子が来てる訳」


 全く、油断も隙もあったものじゃねぇな。俺が少し街へ出ている間に、部屋に入り込むんだから。


「タケさん、一応お断りしたんですけどね」


「うん。麗華さんの責任じゃないから。悪いのはこの王子だから」


 善意で泊めているというのに、この王子は。出がけに、充電のために窓際に置いたソーラーパネルとノーパソに気づきやがった。勝手にノーパソのモニターを開くし。帰宅したら電源まで入ってたなんて悪夢だろ。


「それで、これはどう使うんだい?」


 どう使うじゃねぇよ。教えて簡単に使いこなせる訳がないだろうに。文字だってこっちの言葉と違うし、アイコンだってどれを開いて良いのか。それすら分からないのに、どうやって教えろと。でも、留守の間にいじられるのも面倒なんだよな。


 はぁ、早く城の建設終わらねぇかな。まだ部材すら運ばれてないけどさ。


「これはいろいろな計算をする道具です」


 これなら興味もなくなるだろ。小学生だって勉強に使うと聞けば、興味を失うからな。


「ほうほう、それでどんな計算を――」


 あちゃ、失敗かよ。なんだよこの優等生は。計算なんて問題がないとできないし。普通に電卓を出せば良いのか。さっさと飽きてもらおう。うん。


「これが計算する機能です。銀貨千八百五十枚を八回支払うといくつです?」


「むっ、それは難しいね。ちょっと待って――」


「いや、いいですよ。すぐ答えは出ますから」


 俺は電卓を使ってサクッと計算した。これで納得して帰ってもらおう。


「答えは一万四千八百です」


「えっ――本当に?」


 疑うくらいなら来るなよ。面倒くさいな。


「本当ですよ。なんならご自分の計算と比べてみたらいかがです」


 うはっ、懐から羊皮紙とか出して計算し出したよ。にしても、いつもペンと羊皮紙を持ち歩いてんのか。この人。おっ、意外と早かったな。


「おぉ、本当だ。すごいね。こんな複雑な計算を一瞬で解くなんて」


 いや、別に複雑でも何でもないでしょうに。ただのかけ算だし。


「それじゃあ。次はこれを計算してみて。大理石が白金貨二万八千枚。石材が白金貨三万九千枚。工事費用が白金貨一万二千枚。その他……」


「全部で白金貨が十三万七千六百三十。で金貨が五万九千三百。銀貨が五十三万八千九百二十ですね」


 なんだ……これ。


「おぉ、なるほど。助かったよ。さっそく父上に提出してくるね」


 あっ、なるほど。察したわ。城の建築費用の計算を任されてたってことね。

 クソッ。いいように使われただけかよ。しかし、マズい物がバレたな。これからも頻繁に来そうじゃねぇか。


「ふふっ。タケさんもお人よしですね」


「麗華さんはそう言うけど、ノーパソの本当の使い道なんて複雑過ぎるでしょ。全部教えるのに何年掛かるか――」


「だからですよ。これは動画を保存するための機械です。そう説明すれば、きっと興味を失いますよ。動画は先日も見せましたから」


 そうかな。それはそれで、「他の動画も見せてくれ」とか言われそうだけど。


「いろいろ動画を見られるのはチョットね」


「あぁ。Mのフォルダーに入ってるエッチな動画とかありますものね」


「えっ……………………………………」


 いつバレたんだろ。そんな動画を見せた事なかったはずだけど。やべぇ。汗出てきちゃった。俺の顔が真っ赤なのに、麗華さんは涼しげだな。


「えっと。いつ?」


「はい? 私これでも秘書検定の資格を持ってて、パソコンも得意なんですよ」


 あはは、さいですか。俺の命とも言えるノーパソの中身は全部チェックされてるっぽいな。ハッ、まさか……。


「あのぉ、麗華さん」


「何でしょうか? 旦那様」


 うわぁぁぁぁ。この流し目、誰かに似てると思ったらサラフィナかよ!

 余計な事を教えやがって。麗華さんの目つきが、冷たい。


「もしかして、Mのフォルダーは……」


「はい。一緒に見てたサラフィナさんが不潔です! と仰って、削除されてました」


 削除されてました。削除されました。削除されました。削除……削除……。


 削除されました。で、思いっきり笑顔だよ。怖えぇぇぇぇぇぇ。

 これじゃあ何でそんな事を。なんて言い返せねぇ。下手したらノーパソがフリーズじゃないフリーザーにされそうだ。何か良い言葉は――。これしかないか。


「う、うん。ありがとう」


「いえ、どういたしまして。もうタケさんには必要ないですからね。私もアロマさんだって居るんですから」


「はい、その通りです」


 死ぬ前に処分したい第一位がパソコンの中身とは良く聞くけど、嫁にバレて中身を消されるとはね……。女って結婚すると強いのね。はぁ。


お読みくださり、ありがとうございます。


後は、夜に書けたらアップしますね。今日も暑いですが、体調にはお気を付けて。

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― 新着の感想 ―
[一言] >ただ、ライトのベルのヒロインがそれではダメなのですね。 違います。 作者は勘違いをしている。 被後見人、所謂未成年が相手で見たのが後見人つまり両親だと 話は変わりますが、例え夫婦の間であろ…
[気になる点] 人のパソコンのフォルダ勝手に削除とか普通に離婚案件だと思うよ。 好きなキャラクターリストから麗華の名前が消えるレベルです。 別の表現に改稿するか、エルフっ子が削除して麗華が慰める等…
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