表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WooTober異世界に立つ  作者: 石の森は近所です
異世界激動編
122/208

第116話、タケ、結婚報告をする。

「うーむ。確かに城が炎に包まれたのは確認した。だが、後半は砂煙に覆われていてよく分からないではないか」


 何を言ってるの陛下は。どう見ても、空爆の影響で崩壊しているだろうよ。城壁の残骸を見てもそれは明らかだ。それとも何か魂胆でもあるのか……。


「でも父上、私には先に床が崩れたように思えま――」


 ハドロ王子が俺を擁護しようとすると、陛下がそれを止めさせるように視線で威嚇した。ん、やっぱり怪しいな。何を考えてるんだ。まさか、おまえもか。陛下。

 侯爵邸の庭を壊した代償に、借金を背負わされたからな。ここは意地でも無罪を勝ち取るぜ。城を壊した賠償金なんて考えたくもねぇ。


「この城壁といい、どこを見て俺の魔法がきっかけになったと言い切れるんですかね。もしそうだとしても、あのまま放置していれば俺とハドロ王子以外は今頃――瓦礫(がれき)の山に押しつぶされていましたよ」


「ぐぬぬ……」


 フフッ。陛下め、悔しがってるぞ。やっぱり何かたくらんでるな。


「陛下、もう良いではないですか」


「レジアーナ、だが……」


「そもそも姫たちはまだ幼すぎます。この機会に取り込もうとする気持ちは理解できますが、タケくんはまだ新婚。時期尚早ではありませんこと」


 へぇ。王妃様はレジアーナって言うのか。初めて聞いたぜ。おっと、そんな事よりもだ。姫たちと言ったときに幼い少女を見たよな。と言うことは、はっ。まさか、そういう意味なのか。おいおい、勘弁してくれよ。


「陛下、王妃様、その条件は飲めません。アロマさんもそう思うでしょ」


「えっ、はい。飲めませんわ」


 まさか麗華さんが断ってくれるとは――ちょっと意外だけど、何だか嬉しいような。これってもしかして嫉妬かな。それにしても、アロマは今の話を理解できたのか。さすが貴族の女だな。ってそれはバカにし過ぎか。侯爵令嬢だから、色恋に関して、俺よりも経験豊富なはずだしな。


「それにタケさんはロリコンではないはずです!」


 ぶはっ。麗華さん、そっちかよ。焼き餅でも焼いてくれたのかと思えば。

 これで成人した女性だったらどうだったんだ。まぁ、陛下に押しつけられても困るだけだからな。確かに、金髪にブルーの瞳の女の子もかわいいとは思うけど。

 あっ、もしかして今の会話の流れをこの子も理解できているのか。

 一瞬目が合ったけど、思いっきり逸らされた。おっ、頬がほんのり赤くなった。冗談だろ。だとしたらませすぎだぜ。どう見ても小学生じゃねぇか。


「ごほん。まぁ、まだこの子も小さいからな。また次回にしよう」


 いや、陛下。ちゃんと麗華さんの話を聞いていましたか。

 麗華さんは、もう余計なライバルは要らないって言ったんですよ。

 だよね。麗華さん。彼女と視線が合うと、薄く、ほほ笑まれた。

 うん。これは良かったですねッ。そんな意味でいいんだよな。それとも、ロリは死ねじゃないよな。薄氷っぽいオーラが出てる気もするけど。うん。気のせいだ。


「とにかく、城が崩壊したのは旧帝国からの攻撃です。良いですね」


「うむ。そういう事にしておこう」


 何がそういう事だよ。認めたくないものだな。とか言っちゃうのか。余計な謀略ばかり考えているなら――次は助けねぇからな。


*    *     *


ゲスト:おっ、始まった。久しぶりタケちゃん。


ゲスト:タケちゃん。最近LIVE配信やんねぇからな。


ゲスト:まぁまぁ、そう言うなって。きっと帝国の侵略の残務処理とかあるんだって。だよな?


ゲスト:それで、今日はなんだ。そこは部屋のようだけど。


 フフフ。久しぶりのLIVE配信は楽しいぜ。この感じ。リスナーとの一体感がなんともね。言いがたいものがある。


「よぉ。皆。ちょっとご無沙汰だったけど、俺の動画は見てくれたんだよな」


ゲスト:どの動画だよ。戦車部隊を壊滅させた動画なら見たよ。


ゲスト:映像は小さかったけどな。麗華ちゃんも強くなったものだ。


ゲスト:あっ、そうそう。エルフはよぉ。サラフィナだっけ? 居るんだろ。タケちゃんはいいから。サラフィナ出せよ。


ゲスト:じゃあ俺は麗華ちゃんがいいな。麗華ちゃんはよぉぉ。


タカト:麗華はおまえらにはやらんと言ったろうに。


 ははっ。相変わらず女性陣は人気だな。アロマを見たいって言うヤツは居ないようだけど……。無理もないな。魔法を使えないから目立たないし。


「あっ、お義兄さん。昨日送った動画見てくれましたか」


ゲスト:はぁ、誰に言ってんだ。タケちゃん。


ゲスト:まさか……タケちゃん。そういう事なの。お姉さんがいながら――。


ゲスト:えっ、上のひと。それって――。


ゲスト:なんだよ。サッパリ分からねぇぞ。


ゲスト:鈍いな。察しろよ。


タカト:うん――タケくん、あの話は言って良かったのかな。


 あっ……。いつもの調子で口が滑った。まぁ、隠す事でもないけど。


「えっと、実は俺、先日――結婚しました」


ゲスト:えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ。


ゲスト:誰とって聞くのはこの流れからじゃ禁句だよな。


ゲスト:まさか!


ゲスト:やっぱり。ニートのタケちゃんに先を越されちゃうなんて。お姉さんショックだわ。


ゲスト:タカトさんをお義兄さんって呼ぶって事は――そういう事か! そうなのか! ざけんなよ。俺の麗華を返せ!


ゲスト:いや。おまえの物じゃないし。


ゲスト:俺にはサラフィナがいるから良いけど……エルフはよぉ。


 全く。普通におめでとう。とは言えないのかねぇ。

 ノーパソを挟んで正面に腰掛ける麗華さんに視線を向ける。

 彼女は今、読書に夢中でそれどころではないな。アロマから借りた、この世界の貴族の恋愛を描いた小説にハマってる様子だ。


「麗華さんとの結婚式はもう済んだんだけど。実は、ちょっと事情があって遅れているけど――。アロマとも結婚する事が決まってる」


ゲスト:えっ。おま何言ってるの。タケが一夫多妻?


ゲスト:おいおい、冗談は髪形だけにしろよ。


ゲスト:はぁ。お姉さんもう立ち直れないわ。まさか、二人と結婚するなんて。羨ましいじゃないのよ!


ゲスト:アロマさんって、アレだろ。アリシアさんの姉の。


ゲスト:そうそう。侯爵家の令嬢だったはず。銀髪のキレイな人。


ゲスト:マジかよぉ。なんでこんな男にいい女が二人も――。


ゲスト:やっぱり異世界だからか! チートだからだろ! くそぉぉぉ。死ね。


ゲスト:タケちゃんが死ぬのは困るぜ。面白い動画が見られなくなるからな。でも、ハゲろ。ハゲて麗華とアロマに嫌われろ!


タカト:それで、今日のLIVE配信の目的は何なのかな?


ゲスト:お義兄さんはいいから。麗華を出せ! 俺が説得する!


ゲスト:説得って、もう結婚したんなら人妻じゃん。


ゲスト:人妻最高じゃん! 萌えぇぇぇぇ。


 まったくどれだけ女に飢えてるんだよ。コイツら。フフッ、既婚者の余裕って良いものだな。ちょっとだけ優越感に浸れる。


「おっと、そうだった。これから重要な動画をアップするぜ。昨日、起きた事件の動画な。俺が撮影したのと、侯爵に撮影を頼んだ二つ用意した。内容は、まぁ見てくれ。ちょっと問題の映像だと俺は思う」


 一度LIVE配信を停止した。さすがに生中継しながら動画のアップはノーパソのスペック的にヤバいからだ。よし、俺は十分に区切って分割した動画を、パラパラ動画にアップした。


 そして、一時間後。


「どうだ。早い人は見てくれたかな」


タカト:これは爆撃機かな。まさかここまでするとは――。


ゲスト:これ、城が消し飛んでるんだけど。王族とか全員死んだの?


ゲスト:ちゃんと動画を見てこいよ。ナンバー八の動画に、タケちゃんが魔法で王族を救ったのがあったろ。


ゲスト:あの真っ暗な空間って何?


ゲスト:あれは宇宙だ!


ゲスト:バカかよ。宇宙だったら呼吸できる訳ねぇだろ。


ゲスト:それじゃあ何?


ゲスト:あれは――無だな。


ゲスト:結局分かんねぇのかよ。だっせぇ。


「あの動画の黒い世界は、俺の魔法で移動した異次元だ。俺もとっさの事で、他に手が見つからなかった。で、ありったけのマナを使って飛んだら、アソコにいた」


タカト:ふむ、異次元の世界か。どんどん人間離れしていくな。君は。


ゲスト:だな。殺人も慣れてきたじゃん。


ゲスト:殺人禁止な。あれは迷彩服のヤツらと、デブが悪人だからだろ。


ゲスト:あのデブが前に言ってた、ヤツか? 第四王子だっけ?


ゲスト:侯爵家でタケちゃんにケンカ売ったバカな。


「まぁ、俺の事と魔法の事はどうでもいいんだけど。問題は、ヤツらがザイアーク王城に対して空爆を行ったって事なんだけど……」


ゲスト:そう言われてもな。俺たちにはスケールが大きすぎて。


ゲスト:なんていう飛行機なのかアレだけでは判断できないからね。


ゲスト:映像のプロなら拡大して分かるんだろうけど……。でも、空爆されたのは分かったよ。


ゲスト:んだ。タケちゃんが生きてるからな。無事で良かったじゃん。


タカト:確かに画像を拡大しないと判別は難しいね。うちの機材でもそこまでは無理だろうから。いつものように世界中に拡散しとくよ。


 あぁ。やっぱりか。望遠機能の使い方なんて侯爵には教えていないからな。

 コレばかりは仕方がない。でも、映像のプロを介せば――情報は伝わるはずだ。

 世界中にWooTobeの悪行が伝わればいい。黒幕を誘き出すために。

お読み頂き、ありがとうございます。

ちょっと長くなってしまいました。後一話書いたら修正の続きか、かおなしに取りかかります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ