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WooTober異世界に立つ  作者: 石の森は近所です
異世界激動編
118/208

第112話、女性陣の恨みは恐ろしい。

前話で誤字脱字報告ありがとうございます。

NAROU ANALYZERで校正を掛けると、ひらがな表記にされる事が多く、ご指摘された世迷い言が、平易表記検討で、世まい言と修正されます。どちらが正しいのか私も判断に困る部分なんですよね。検討なので無視してもいいのかなとも思います。

恐らく、今後もあるかとは思いますが、ご指摘ありがとうございます。

「一号機、準備はできてるぜ」


「二号機、いつでもいけます」


 樹海の基地からは、二機のB-52爆撃機が轟音を響かせ空に消えていった。

 基地ではグスタフ将軍を射殺した後で、軍用トラックを押収し調査を行った。その際、荷台に数人のザイアーク兵も乗っていた事から、一連の傭兵たちの裏切りを知り、その報復に出たのだ。傭兵たちのその後は語るまでもないだろう。全ては異世界での出来事として処理される。


「デスチルド様、ザイアーク城の空爆だけでよろしかったので。なんなら都市ごと焼き払う事も可能でしょうに……」


「まずはこれで様子見だ。魔法師が航空機を相手に、どの程度対抗できるのか分からんからな。この作戦が成功したのならば――都市ごと消し飛ばしてくれる」


 第一王子がトライエンド侯爵邸に入る少し前の出来事だった。


*    *     *


「ん、今のは銃声か?」


 一瞬耳を疑った。敵は全て拘束された筈だ。なのになぜ。しかも、今の音はかなり近い場所で聞こえた。俺は急いで結界を張ると、部屋から飛び出した。

 お茶会をしていた皆も、急ぎ俺の部屋へ向かってきた。


「タケさん、大丈夫ですか?」


「タケ様、今の音は――」


「俺の方は大丈夫。それより皆も結界を張っておいてね。アロマの結界は俺が掛けるから――」


 俺は三人の内、結界が張られていないアロマに急いで結界を掛けた。


「よし。これでアロマも大丈夫だね。で、今の銃声はどこから?」


「分かりません。でも、下の方から聞こえた様な……」


 麗華さんが俺の問いかけに答えていると、一階からメイドが息を切らせて階段を上ってくる。全員の視線がメイドに向くと。


「タケ様、大変でございます。一階の地下通路の扉に穴が……」


 冬の雪が積もった時にしか使われない扉だ。そんな場所から一体誰が。そう思いながらメイドの報告で、急いで件の場所へ向かう。


「タケさん、敵でしょうか?」


「扉に穴が開いてるなら敵じゃないの。相手が銃だっていうのなら、このまま突っ込んで確保するよ」


「では私たちは、屋敷の中を調べてきますね」


 麗華さんは屋敷に入り込んだ者が居ないか見て回るようだ。今の麗華さんなら任せても大丈夫だろうと俺も判断する。


「うん麗華さんお願い。後、サラフィナはアロマから離れないように。結界が張ってあるといっても、戦える訳じゃないからね。頼んだよ」


「はい。分かりました」


「ではサラフィナさん、よろしくお願いしますわ」


 一階で女性陣とは別れ、俺は一人で扉のある部屋に向かった。部屋が近くなると、数人のメイドたちが途方に暮れた様子で通路に集まっていた。


「とりあえず、ここは危険だから下がってて」


 メイドに指示を飛ばすと、そのまま地下への扉が設置してある部屋のドアを蹴破り中に入った。中はコレと言って何も変わった事はない。ただ、目の前にある鋼鉄製の扉に四つ穴が開いているだけだ。俺は部屋の中に炎の竜を発現させた。

 庭で出した時のような周囲に影響を及ぼすものではない。大きさと延焼を最大限に絞った竜だ。よし。うまくできた。炎竜には、いつでもブレスを吐き出せるように待機状態にしてある。これで怪しいヤツだったらブレスの餌食だぜ。


「人様の家に土足で上がり込むヤツはどこの誰だ! 答えないと――」


 これで反応がなければ、ブレスで焼き尽くしてやろう。と思った矢先、声が聞こえた。敵だと思った鋼鉄の扉の向こうからだ。


「ちょっと――何だか扉が熱くなってるんだけど。何をしているのかな……私だ。ハドロだ!」


 誰だよ。ハドロって。知らねぇぞ。そんなヤツ。


「ハドロなんて名前は聞いたことがねぇぞ。ふざけてんなら、ひと思いにブレスの餌食に――」


「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ。第一王子のハドロだよ」


「はぁ? 何で第一王子が人の家に押し入ろうとすんだよ。訳が分かんねぇんだけど」


 何だかウソくさいけど。声は確かに第一王子みたいだな。


「だって仕方がないじゃないか。ここ、ほら鍵が掛かっていて入れないから」


「当たり前だろうよ。家に来たいなら正門から堂々と入って来いよ」


 何言ってんだ。第一王子ってまともだと思ってたけど、バカなのか?


「詳しい話はちゃんとするから。まずはこの、――熱っつ。この扉を何とかしてくれないかな」


 俺は仕方なく炎竜を霧散させ、赤く熱せられた扉に水を掛けた。おっと、鍵だったな。冷えた所で、中から鍵を開ける。


 扉が開けられると、そこには汗だくになった王子が居た。


「あっ、本当に王子だったんだ」


 あらら。目が据わっちゃってるよ。何で?


「だから最初からそう言ってるじゃないか」


 言ったっけ……ハドロとは言ってたけど、第一王子の名前とか覚えてねぇよ。


「それで、どういったご用件で。――おっと。その前に。もう出てきていいよ。客人だから。それと、侯爵にも第一王子が来たと伝えてくれる?」


 扉の陰に隠れていたメイドがパタパタと動き出す。うん。これで侯爵にも皆にも伝わるかな。それにしても、王子と奥方が何の用だ。何か面倒な事が起きている気がするな……次から次と、この王族たちは。


「じゃ、案内するから付いて来て。要件ならそっちで聞くから」


*    *     *


「という訳なんだよ」


 ハドロを侯爵の執務室に通し、全員集まった所で話を聞いた。だが、その内容に侯爵も他の皆も驚きを隠せなかった。まさか、豚が王位簒奪を起こしたとはね。


「ハドロ殿下、それはいつの話ですかな」


「今から二時間くらい前かな。僕たち二人が城を抜け出す時には、既に城門は閉じられた後だったからね。城門の渡橋も閉じてる筈だから確認はできるでしょ」


 侯爵邸の最上階から王城は見える。侯爵が筆頭執事のレオナルドに目で合図を送ると、それの確認に部屋から出て行った。


「って事は、王子さまがここに来たのは――俺に豚を始末してほしいと」


「いや、始末まではしなくてもいいけどね。ただ、父上や他の皆を解放してもらえないかと……」


「タケ様、この際です。あのデブを消し炭にしてやりましょう」


「サラフィナさんの言うとおりですわ」


「タケさん、あ、いえ。何でもないです」


 うわぁ。あの豚。うちの女性陣にかなり嫌われてるなぁ。俺も最初から気に入らなかったけど。まさか麗華さんまで。あぁ、そういえばあの豚、麗華さんを殴ったんだよな。思い出したら腹が立ってきた。うん、散々痛めつけて殺そう。


「タケくん。何だか楽しそうなんだけど……」


「フフッ。そんな事はありませんよ。で、何か作戦はあるんですか?」


 いつかは野郎を始末しようとは思ってたから、ちょうどいい機会だ。さすがに陛下も簒奪まで起こしたヤツを庇ったりはしないだろうからな。

お読みくださり、ありがとうございます。

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