表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WooTober異世界に立つ  作者: 石の森は近所です
異世界激動編
110/208

第104話、タケ、女心に翻弄される。

 くそっ。宗っち、どこまで喋ったんだ。まさか、異世界から来たとか……。きっと喋ったろうな。他のヤツらも命と引き換えに。とか、言われたら。喋るかぁ。


「はい。その様ですね」


 おっ、陛下の表情が驚きに変わった。って事は。


「なるほどな。タケよ」


「何でしょうか?」


 くっ。焦らしやがる。この静寂の間が胃に来るんだよな。


「お主、海の向こうから参ったと言わなんだか?」


「いや、そんなこと言ったか? 気のせいだろ」


 ここはごまかすしかねぇ。王さまはジッと、俺を見つめ嘆息する。


「ふぅ。まぁよい。この世には詮索すべきではない事も多い」


 あぁ。俺もそう思うぜ。深く突っ込んでも良い事なんかないからな。


「それで、あの者をどうしたい?」


 あの者? あぁ、宗っちかぁ。うーん、確かに宗っちは俺の目標だったけどな。だからといって無罪放免はないだろうよ。あんだけドンパチやったんだから。

 俺は返答を躊躇った。大先輩だからな。処刑されるのも見たくねぇ。かといって、罰もなしでは、陛下の顔もたたないだろうからな。


「それで、陛下。宗っち、いや、アイツは今どこに?」


「はっは。あの者なら魔法使いだというので――あそこだ」


 そして、陛下が指を指したのは、俺が幽閉された塔だった。なるほど。あそこなら魔法は使えないから安心だな。最悪は、俺とサラフィナ、麗華さんでも勝てるか。なら倒せるが、ここの兵士では力不足だ。しばらく反省の意味も込めて、幽閉でいんじゃねぇか。ただ俺の時みたいに食事なしは止めてほしいが。


「あぁ、わかった。あそこなら安心だな。罰でしばらく幽閉してやってくれ。ただし、ちゃんと三食は付けてくれよな」


「あいわかった。でだ、他の者はどうする?」


 うーん、見た感じ全員白人だったしな。別に一生、牢屋でもいいんじゃねぇのか。俺には関係ないし。ただ、アイツら武器持ってるんだよな。もう陛下の手に渡ったんだろうけど……。あれ見て、使い方を知れば俺の正体も既にバレてるか。


「うん。俺とは関係ないんで、陛下のお心のままに」


 ニヤってしたよね。今、確実に。


「で、あの者たちが使っていた、おい! ここへ――」


 兵士が数人で大きな木箱を持ってやって来た。その中には自動小銃と手榴弾(しゅりゅうだん)が入っている。あらら。結構な量があるな。当たり前か。五〇人近くいたしな。


「これだが、タケよ、これの使い方は分かるか?」


 そんなもん素人が知るか。軍人とか武器マニアに聞けよ!


「いや、知りません。使いたいなら、牢屋の連中に聞けば良いかと」


 もう仕方がねぇからな。はぁ、次から登城の際は結界でも張るか。でも、あの連中が素直に教えるかねぇ。脱走に使われるんじゃねぇのか。


「おぉ、そうであったか。ならそうするとしよう」


「ただし、そこの丸いのは迂闊に触らない方がいいですよ。それと、棒のようなものは、連中には渡さない事です。脱走に使われますからね」


 おっと、一気に険しい表情になったな。当然か。


「うむ、取り扱いには気を付けさせよう。それで最後に一つ。あの門を破壊した魔導砲に関してだが――」



*    *     *


「はぁ、疲れた。一気に疲れた」


 俺たちは侯爵邸へと戻ってきた。それにしても陛下にしてやられたぜ。動かなくなった戦車も、王家に献上しろとかいうんだもんな。まぁ、いいけどさ。アレどうやって運ぶつもりなんかね。一台で、大型トラック七台分の重量はあったよな。

 どうでも良いけど。俺たちの魔法と宗っちが、電気系統は破壊したからな。俺からしてもただの鉄くずだ。王都を守り切ったシンボルにでもなるだろう。


「お疲れさまですわ」


「あぁ、アロマ。ただいま。ごめんね、城に連れて行ってあげられなくて」


「いえ、よろしいですわ。それで……」


 あぁ。期待のこもった面持ちだわ。そりゃ当然か。


「それに付いては私から説明しよう」


「お父様が?」


 ホッ。助かった。この場は侯爵に任せるか。アロマは不可解そうな視線を向けてるけど、仕方ないよな。これだけは譲れねぇ。


「タケくんと麗華さんの結婚式を最初にする事になった。アロマの式はその後になる」


 あぁ、ドストレートだな、侯爵。きっとアロマも凹んで……いねぇ?


「まぁ、では、麗華さんとも身内になるんですのね。楽しくなりますわね」


 おっ、これは予想外だな。なんでだ?


「アロマよ。不服はないのか?」


 うん。俺もそう思ってる。でも、やせ我慢にも見えないしな。


「なぜですの?」


「いや、その……」


 あちゃ。侯爵まで答えづらくなっちまった。


「私、麗華さんもサラフィナさんも好きですわよ。毎日のお茶会も楽しいですし」


 あぁ。考え方によってはそうなるのか。でも、サラフィナは関係ないからね!


「アロマさん――」


「麗華さん――よろしくお願いしますわ」


 麗華さんとアロマが見つめ合って、俺の取り越し苦労かよ。

 まさかこうなる事を見越して、毎日、お茶会していた訳じゃないよね。

 でも、みんな幸せそうだからいいか。


「でも、そうなるとサラフィナはどうすんの?」


 そうだ。サラフィナは迷い人が、人族に理不尽な扱いをされないようにって付いて来てたんだから。俺が公爵になったらもう用済みじゃ。


「はい? どうもしませんけど。私はタケ様の師匠として居座るだけです」


 えっ。新婚家庭に入り浸る?

 それってどうなのよ。これから、しょ、しょ、初夜だって迎えるのに。


「まぁ、これからも皆さんとご一緒できますのね」


 なんで、うれし泣きするのかねぇ。アロマは。もしかして、雪が溶けたら出て行くって話しを気にしてたのか。そうなら心配掛けてたんだな。


「はっはっは。ではムコどの。さっそく子作りを――」


 気が早いわ! 侯爵。

お読みくださり、ありがとうございます。

ここで第二章終わります。

次からは第三章に入ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ