再会
とりあえず俺は護衛されて王都迄行く事になった。
勿論、直で王都までいくのは、俺一人ならば可能だろうが、護衛の皆さんの食糧がもたない。
という訳で当初の予定通り隣の街に来たのだが、半端じゃない歓迎ぶりだ
騎士さんが早馬を走らせてこの街の領主様に報せていたらしい
俺が火炙りされた日とは大違いだな
マジ民衆ってクソだな
そんな事を考えながらも街を見ていると裏通りに襤褸を来た人達が結構いる事に気づいた
前から浮浪者のような奴らは居たんだが明らかに増えているようだ
ストリートチルドレンのような子供なんかもチラホラ見かける
やはり、魔王の影響は治安だけではなく、経済にも出ているんだろうか
しばらくパレードのような行程を行くと領主の待つ城にたどり着く
俺の育った街の領主の館より華美ではないが、しかし、頑丈そうな外見は質実剛健といった感じだ。
俺は城に入り領主の間に通される
大丈夫、服は砦村で洗わせて貰ったから綺麗だ。
すると領主が待ち構えているであろう場所にクソ野郎が立っている
そう、あのクソ野郎だ
俺のカミさんを寝とった銀髪イケメンクソスケコマシクソファック野郎だ!ぶち殺すぞ!
俺は反射的に顔をクソ野郎の1mm直前まで近付け、前世で世界のたけしさんの真似と言われた表情を作り下から睨みつける
こいつが何か言った瞬間にチョーパン食らわすつもりだ。
騎士さんが慌てて止めに入る
「一体どうなされたのですか!」
騎士さんに促され、俺は来客用の椅子に座らされるが、体は横に向いて、足をくんでいる
騎士さんに注意されるが無視する
騎士さんは俺の横で立っている
「勇者様っ」
騎士さんがまた注意しようとするがクソ野郎が手を振って構わないと合図する
「俺も元は冒険者だから、世間で荒くれ者っていわれてる奴を色々見てきたが、あんたは強烈だなぁ」と笑顔で言ってくる
とりあえずその声を聞くと胸くそ悪いので「黙れ、喋るな」とだけ言っておく
そして騎士さんに「何でこいつがここに?」と聞く
なんでもこのクソ野郎は魔王から最前線でこの辺りの領地を守り抜き、その功績で第三王女かなんかを嫁に貰い、今では侯爵だそうだ
本当に胸クソ悪い。胸クソ悪くて吐きそうだ
「どうして俺はそんなに嫌われてるんだ?」クソ野郎がなんかほざく
「うるせえ!黙ってろ」
騎士さんがまた泣きそうな顔で「勇者殿~」と言ってくる
このクソ野郎はムカつくが騎士さんが流石に可哀想なので答えてやる
「お前、滅ぼされた街にお前の女がいたか?」
「いや、昔の事なんであんまり覚えてないな」
「そうか、まあ、お前なら何人もいたんだろう。その中にパン屋の人妻はいなかったか?」
「…………」
「そいつの名前を覚えていたら許してやろう」
許す気なんて無いが
「あ…アリシア、いや、アイシャちゃんだ!」
「アイーシャだ、クソ野郎!」
俺は言葉と共に全力で拳をクソ野郎の顔面に叩き込む
そしてそのまま部屋を出た
あれから数刻たったが街にも兵士にも異変は無い。
いくら侯爵に不敬を働いたとはいえ、人類の危機に、直接的にではないにしろ、勇者を殺してしまう発端となる事をしてしまったわけだ。国の英雄様が
大事にはしたくないだろう
今すぐこの街を出ていきたいんだが、明日を待って明日の朝、この街を出た方が良いだろう。
相変わらず俺が街を歩くと人だかりが出来て老若男女とわず俺を拝んでくる
俺はお寺の本尊じゃねえぞ
しばらく歩いて宿を探していると一人の薄汚れた子供が近付いてくる
どうみてもストリートチルドレンだ
そして俺の目の前に来て
「パパ」
と言った