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寝とられ男の足掻きと挽歌  作者: ピョン太郎
7/24

俺は右手に握ったカットラスを力任せに打ち付けた

それはゾンビの頭に突き刺さりそのまま胴体を袈裟懸けに切り払った

思ったよりすんなり入る刃の感触

あれ?

いくら腐っているとはいえゾンビにも骨がある

こんなに簡単に切り裂ける筈は無いんだが……

しかし余り深く考える暇は無いようだ

切り払ったゾンビの後ろから2体目、3体目とわらわら湧いてくる

こいつらに食い殺されれば俺もこいつらの仲間入りだ

魂は輪廻の輪に還る事も出来ず、ただ、さ迷う屍となり生者を呪い、襲いかかるようになるといわれる

俺は毒々しい亡者の爪をかわし、一体、また一体と葬っていく

それから小一時間程戦い続けただろうか、粗方片付いたようだ

心なしか先程よりも障気も薄れたように感じる

だがゾンビの腐った体液やら臓物の破片やらを返り血のように浴びたので気分が悪い

服も俺の汗も混じってベタベタだ

洗いたい、がこんな不浄の場所では清浄な水は望めないだろう

しょうがないのでそのまま次の村を目指す事にする

しかし、ゾンビとはあんなに弱く脆かったのか

以前ゾンビと戦った事があるのだが、もっと打たれ強く、再生力も多少あったような気がする

鈍重なのは変わっていないがあんなに障気が立ち込めた場所ではもっと手強い筈だ

なのに豆腐でも切るかのようにスパスパ切れた

あの白い部屋に行った事が関係しているのか?

わからないが、もしそうだったならこれは歓迎すべき事態なので深刻に考える事も無いんだが……


そんな事を考えつつ暫く歩いてゆくと次の村が見える

夕方迄にはたどり着くつもりだったが、ゾンビを相手にしていたせいでもう暗くなっている


ん?村の入り口に衛士が立っているのか?

この村はこんなに警備が厳重だっただろうか?

村の居住区の周りには木の杭による囲いがされており、中には物見櫓のような物まで見える

囲いの外側には十分とは言えないが多少の手入れがされた畑が残っているが、これではまるで急造の砦のようだ

衛士がこちらに気づいたようで槍を手に取り、警戒して囲いの中の人間に何か言ったようだ

そして5人組の兵士がこちらに向かってくる

一人は馬に乗っていて指揮官のようだ

指揮官がこちらに向かって言ってくる

「貴様、何者だ!」

何でこんなに警戒されているんだ?

俺は取り敢えず自分の肩書をのべる

「私は向こうの街で冒険者をやっていた者ですが、気付けば街が廃墟となっておりまして、隣の街まで向かおうとした所、道中の村にも立ち寄ったのですがゾンビ共が徘徊しておりまして。この村には宿のような事もやっている民家もあったと存じます。一晩休ませて貰い、明朝発とうと思った次第で。」

「これは面妖な事をのたまう輩よ!貴様の来た方角には10年も前に瓦礫の山となった廃墟と障気立ち込めるゾンビの村しかないわ」

なん……だと!?

「十年と仰られましたか?」

あれから十年以上は経っているらしい

「そうよ!ここは其処から不死の者共が溢れ出ては来るのを食い止める砦、不死の者共の終着点よ!ここから先には行かせんぞ、魔の手先め!」

「騎士様、少しお待ち下さい、。私は魔の手先ではございません。先程も向こうの村に蔓延っていたゾンビを打ち倒して来た所でございます」

「その様な戯れ言を!あの村には障気が立ち込め、並みの者では十全な力も出し切れぬ!逆にゾンビ共は障気のせいで手強くなっており、貴様のような凡百の冒険者風情が一人で立ち向かえるものではないわ!」

そう言われても立ち向かえた物だからしょうがない

「お待ち下さい」

ん?

騎士の後ろから僧侶の格好をした姉ちゃんが出てくる

というか普通に僧侶なんだろう

「この者から聖気を感じます」

「「なんだと!?」」

ハモった

性器じゃなくて?


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