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……午後5時、修行が終えた俺は電車に乗って…帰っているのだが……若干体力的に疲れた…
『なー、フフルクー転移魔術とかないのか?』
『転移魔方陣ならあるのだが、全て固定の設置に限られているのじゃ…何故?』
『……面倒だからさー、修行に行くのも電車って……転移が出来る魔術でもあれば楽かなーって…』
『…まぁ、無くもないんじゃが』
……なんだって!?
『詳しく!!俺の今後の修行の為に!』
『んっ?まぁ、よかろう!…我々が使う"世界転移"の事なのじゃ』
『世界転移?…もしかして、地球から別の世界に転移するのか?』
『なんじゃ、知っておったのか?』
『…勘で答えただけー』
…まさか、本当に別の世界ってあるのかー…アニメの見すぎだと思ったけれど…アニメや漫画の方が世界の本当の姿が現れてるよなー…
『ほう?勘で答えにしても中々筋が良いことじゃ。…まぁ、"世界転移"は我々魔王が特別にもらった魔術じゃ、…かなり、難しくての…しかも魔力量も人間の魔力では当然足りん』
『それじゃあー…あんまり意味がないんじゃないのか?』
…俺は何だかフフルクが無理な魔術を俺に叩き込もうとしてるんじゃないかと、半分困ったように言うと…フフルクは悪い顔になり…ニヤッと笑う……何か、嫌な予感が……
『これをそのままでは、ふーたの魔力量でも足りん。…そこてじゃ!ふーたよ!我が世界転移の魔術構築を教えてやる…だから、魔導士のお前が再構築して新な魔術作るのじゃ』
「はぁっ?!、!」
…その言葉に俺は心の中ではなく、反射的に声を出してしまう…周りは俺の方を少し何事も無かったかのように、皆スマホや雑誌等に目を向ける……ヤバかったー、…
『俺がそんなこと出来るわけ…』
『ふーたよ、我は何も面白半分で言っているわけではないぞ?魔導士とは単に魔術師を導く者ではない、魔導士とは"魔術を導く"事が出来る者でもあるのじゃ』
『魔術を導く?』
『導くと言っても、何も今まで有る魔術を有し、進む訳ではないのじゃ、何かしらの変化や革命を起こしながら進み、魔術師を導く者…それが"魔導士"としての本来の姿なのじゃ』
…俺は、フフルクの言葉の意味を一つひとつ…自分の頭の中に叩き込む……魔導士は"魔"のつく理を"導き"…それを作り、変革を表す魔術師……これが今、俺の中で"魔導士"の本当のあり方なんだと…実感した瞬間だった…
『…フフルク、家に帰ったら魔術構築教えろよー?、流石に何の知識も無しにやれなんて言わねーよな?』
『勿論、基礎的な魔術構築は我が全力で教えよう…しかし、道のりは遠いのじゃ。我が今まで教えた魔導士で一番速かった奴が…1年だっからの』
「……」
……やっぱり、…魔術構築…辞めてもいいか?
……俺はその日の夕方から、フフルクから教えてもらった基本的な魔術構築と世界転移の魔術構築を教えて貰ったが……どう見ても、世界転移の魔術構築は長くて複雑過ぎる…俺が教えてもらった基本的な魔術構築を現代的に表すと…
"水、空、雲、+自然、mqp@-wave"
…んでー、こっちが世界転移…
"移動、瞬間、速度、時間、変速、+(生物、体内):抗菌、毒、地力、引力、@㎜㎝㎞㎎㎏㏄㎡………………"
……これが、あと5行位ある……フフルクの事を始めて、魔王らしいと思ったのは内緒だ…
「ふーちゃん?何か疲れてない?」
「夏、言うなー…俺はとんでもない課題をフフルクから出されて困ってんだから…」
「修行の一環?」
「まー、そんな所…」
…実は新しい魔術の構築してまーす…なんて軽々しく言えるわけもねー……現在、月曜日の朝…珍しく夏が俺より先に起きて朝食を食べていた。
「ふーた、そろそろ行かないと、仁くんと今日一緒に学校行くんだろう?」
……そう言えば、今日は織人に言う日だったなー…何か休日に色々し過ぎて忘れてたな……
「んっ…?あれー、フフルクは?」
…ここに来てからフフルクは朝になると、ネックレスから出て一緒に朝食を食べているのが日課になっていたんだけど…あれ?
「あ、フフルク様は…」
「おぉ!雅文!これは、中々の出来の召し物じゃ!」
…そこに入って来たのは、水色のセーラー服を来てはしゃぐフフルク…って!!それ俺の中学の…しかも、女子の制服じゃねーか!!
「な、何でフフルクが制服来てるんだー?!」
「良いではないか、我も一度はこの様な物を着たいと思っての」
「着たいじゃねーよ…」
「まあ、一様フフルク様はふーたと一緒にいる訳だし、たまには学校の休み時間とか出してあげるのに、制服は必須だと思って」
…まぁ、似合わない訳じゃないし、…それに殆どフフルクは学校に居るときはネックレスだしなー…昼休みの時くらい屋上に出すのには悪くないか…制服だったらちょっとは怪しまれないし
「…わかったよー、ほらフフルク学校に行くぞ」
「うむ」
…俺はネックレスになったフフルクと一緒に家を出ると、仁の家に寄って学校へと向かう。
「…それで、いつ言う?」
「やっぱりー…昼休みの時間か?」
俺は登校する間に、仁と織人にどう話すか、話す場所はどうするかの話をする…
「うん、一番時間があるし…場所は屋上にする?」
「そうだなー…屋上に少しは人は居るかもしれないから、もしもの時の場所は考えてた方がいいな」
「そうだな」
俺達二人は色々と議論しながら話していると、いつの間にか織人の家へとつく…少し待っていると織人が赤いマフラーをして家から出てくる。
「おはよう、二人とも」
「おはよう」「はよー」
俺達3人は並んで学校まで登校する……今、考えてみると…この3人でいられるのもあと、2カ月とちょっとかー…長かったような…短かった様な…まぁ、いい思いでも悪い思いでも…なんやかんや、楽しかったなー…
そんな思いに吹けりながら、俺達は学校につき…午前中は何事もなく、昼休みの時間が迫っていた…
……昼休みの時間…俺と仁は顔を見合せ…織人の座る席を見る…織人は私立高校の入試が近い為か、昼休みの半分は英単語の暗記に費やす…俺と仁は覚悟を決めて、織人へと近づいた。
「織人ー、とょっと風に当たりに行かねーか?」
「んー、…別にいいよ。ちょうど、気分転換したいし」
よっしゃ!乗ってきたー!…俺は心の中でガツポーズをとり、3人で屋上へと向かった…
…屋上の扉を開けると、そこは誰も居らず。…話すには絶好のタイミングだな…
「うわぁ、今日はやけに風が冷たいね」
「織人」
「ん?、…どう、したの…ふーた…」
…織人は、いつもの表情ではない俺に気づく…真剣で、何処か寂しそうな…俺の瞳を…
「…実は俺…中学卒業したら…親戚がいる地方に行くことになった」
「…えっ…」
「俺の従姉妹のおじさんが会社経営しててなー、その勉強の為に」
「いやだよ」
…俺の話しているのを断ち切る様に、織人の言葉が入る…俺は今まで、こんな声色を出す織人を始めてみる…そんな、俺の困惑した表情は筒抜けだったのだろう……仁が俺の代わりに、織人に声を掛ける。
「織人、ふーたは、」
「嫌なもんは嫌だ!何なの!地方って!!僕は、まだふーたやジンジンと一緒に居たい!!だから、高校も二人が行く近くの私立にしたのに!!」
…成る程な…通りで、織人にしては少し難易度の高い私立の高校をえらんだなーって思った…
「…織人」
「聞きたくない!!僕は絶対に嫌!何で高校からなの?!、高校卒業してから行けば良いじゃん!?」
「…これは、ばあちゃんからの強制なんだ…だから、俺の一存じゃない」
「!、でも、でも!でも!!」
…こりゃ、駄目だな……とても斜内が話なんて…後日、落ち着かせてからかー…っと俺が思っていると…横の仁が
「織人!!いい加減にしろ!!」
「!?、」
「仁?!」
横に居た仁が…ブチキレた……って?!仁さん!?なに、ブチキレてんの?!話し合いは無し?!
「ふーたに居なくなってほしくないのは俺だって同じなんだ!!でも、それでも!!友達だったら!暖かく送り出すもんだろうが!?そんな事も分からねぇのか!!」
「はぁ!?ふざけないで!!自分が決めた事じゃない事に何でふーたはそれに逆らわないの?!可笑しいから僕は言ってるんだよ!!」
「家の決定だろ!!そんなの、子供の俺達は従うしかねぇだろう!!」
「僕だったら!従わない!!」
…ヤバイ、二人とも熱くなりすぎてる?!早く止めないと!
「二人とも!それくらいに、」
「お前みたいな!餓鬼の考えで物事を左右してんじゃねぇよ!!」
「?!、ジンジン、の、バカー!大っっつ嫌い!!!」
織人は勢いに任せ、仁の肩を押す…仁は織人の力などたかが知れてると思って、それを受けたが……織人の馬鹿力は仁を吹き飛ばし、仁は勢い良く、後ろのフェンスへと突っ込む。
「いっ!、てぇっ…」
「「ガギンッ…ガギンッ!!」」
「あ?!」
…仁が突っ込んだ衝撃のせいか、フェンスが古くなっていたのかは分からない…しかし、フェンスは屋上の外側に勢い良く倒れていく!仁はバランスを後方に崩してる!このままじゃ!!
「仁!!」
俺は反射的に仁の右手を掴み、自分の体重を使って仁をこっちへと引っ張る…だが、それは上手くいかなかった……俺は思った以上に力が入りすぎ……俺は屋上の外へ、仁は屋上へ勢い良く飛び出した?!
……仁はあっと気付き、急いで俺の手を繋ごうとする…、俺も気づいて手を伸ばすが"届かない"
「、?!ふーたぁぁあ!!」
……あ、俺死ぬのか?……俺は遠ざかる屋上から仁が驚愕の顔を認識すると…下を向く、…あぁ、地面がゆっくりと近づいていてくる……なぜか俺の視界は、考える時間が有るほどのゆっくりとしたペースで落下する…
…これが、ある一種の走馬灯なのかー?…でも、…仁を助けた事に悔いなんてない……俺が死んでも、魔導士はこれからも生まれる……父さん、母さん、晴野、夏、ばあちゃん…そして二人とも…ありが、
ピピッ
ん?…これってー…
"魔導士:釜崎 冬、これより、世界は貴方の意のままに"
なっ、なんだ?、
…フフルクの契約の印の時に聞こえた機会音が俺の頭に響くと…俺の頭の中に文字が浮かび上がる……!、何だよ…これ?!
" 瞬間、速度、変速+〓融合 〓mqp@-[Gaia]→???←名を刻め"
…、これは世界転移を元にした、新しい…魔術だ!…しかも、名前は俺が決めるのかー、……えーい!!今は助かる事が出来るかもしれないってのに!!悠長に考えてる場合か!!名前名前、名前!!
「"転移"!!」




