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因みに、母親が帰ってくるのは夜中…祖母は今日は老人会の集まりで温泉旅行の為、帰りは明日の昼らしい
……祖父は俺が10才の時に末期癌で亡くなった…俺はおじいちゃんっ子だったから悲しかったが…他の兄弟みたく泣くことは無かった…
今でも祖父が亡くなった事が信じられないからでもない…あの元気が良すぎる祖父は俺の太陽でもあり、安らぎでもあったから…それは今でも変わらない…
…いつの間にか眠っていたのか、既に時計は6時半…起きて準備をしようと、ベッドからモソモソと出て制服を着る、…着替えが終わってリビングへ向かうと…既に父さんが起きて朝食を作っていた。
「おはよう」
「おはよう、ふーた」
「…これは、屍?」
…そう、リビングのソファーには酒のビンや空き缶が転がり、その下には巨大なイビキをかいて寝ている茶髪の長い髪の女性…これが、俺達兄弟の母親である釜崎 浩美44才
「誰だー!!歳を言った奴ーー!!」
「うおーー?!、びっくりさせるなー!」
一言も発してないのに何で分かるんだ?!…野生の勘だとでも言いたいのかよ…
「…ん?、おー!!ふーた!元気にしてたか?」
「元気だよー…それより、部屋でねろー…風邪引くぞ」
「あ!酒を飲んでそのまんま寝ちゃったのか!道理で寒いと思った!」
…このズボラな母親は、環境がどんな場所でも寝れる変人だと俺は思う…
「とりあえず、部屋に行けよー」
「あれ、ふーた学校?こんなに早く!?」
「一様、俺受験生なんだけど?」
その言葉に、母親は目をキラキラさせながらガバッと俺の前に立つと…
「そうかー!ふーたは受験生かー!高校は!?やっぱり、晴野と夏の所受けるの!?」
「…その話は、帰ってきてからだー、父さんご飯」
「はいはい」
俺は朝食を取ると、玄関に置いてあった鞄を持ち家を出ようとするが…庭から
「ワン!ワン!!」
「お!ソロー!」
こいつはソロ、俺が5才の頃から飼っているからもう10才になる…何の病気にもなったことがないソロは本当に健康体だ。
「帰ったら遊んでやるからなー」
「ワン!ワン!」
俺はそう言うと、ソロと別れて学校へと向かった。
ーーーーー…学校は特に何もなく、俺は織人の勉強に付き合い、織人の家に居た…既に夜の8時になろうとしている。
「ごめんね、ふーた…勉強に付き合ってもらって」
「別にいいよー、どうせ皆俺の誕生日なんて忘れてるからなー…プレゼントサンキュー。」
織人も俺に誕生日プレゼントを渡してくれた…因みに織人は俺の好きな歌手が新しく出したCD、仁は俺がこよなく愛する同人誌の、大好きな作家が作った本をくれた。
「うん!それじゃあ気を付けてね」
「おーう」
俺はそう言うと、織人の家を後にし、自宅へと向かう…既に冬の為か辺りは暗く、街灯と家の明かりが付いており、その灯りが道を照らしていた。
「大分遅くなったなー……ん?」
俺が暫く歩くと、前方から…黒いコートを着た二人の男女が居た…それも、俺を通さないようにする為か…少し間隔を開けて俺をじっと見つめて立ち止まっている。
「…あのー、…そこ通りたいんですけど?」
「…君、魔術師って言葉知ってる?」
…俺の質問には答えずに、女性が逆に変な言葉を尋ねてくる……はー?魔術師??
「あのさー、あんたらオカルト宗教の人?…アニメとか漫画じゃないんだぜー?魔術師って…」
「君には容疑がかけられている、魔術使用及び魔術用語使用だ」
「はー…あの、マジで意味が分からないんだけど?」
俺の言葉に今度は…何かの容疑の材料になった物を言うが…
現代っ子の俺でも聞いたことがない罪状……そんな、俺の言葉に二人は顔を合わせて驚きの表情だ…
「本当のようよ?…私が持っている魔力反応にも何も無いし…やっぱり、間違いなんじゃ」
「いや、でも確かに俺の魔力反応には反応があった…君、ちょっと来てもらうよ」
女性と男性は話していると…手に持っていた鞭のような物が…伸びだし、俺に迫って来た!
「うおー!!?、!行きなり何するんだー!!」
「言っただろう?来てもらうと…何、裏がとれれば直ぐに無罪放免さ」
俺はそれを間一髪の所で避けて、男に向かって怒りを露にするも…男性は悪びれもなく、ニコニコと手に持つ鞭の様な物をパシパシッと地面に叩き付ける…
「はー…15才の誕生日に変な奴等に誘拐直前とは…俺、今日は厄日かもー」
「それはすまないね?でも、大丈夫。取り調べが終ったらうちの開発者が作った機械を使えば忘れるからさ、大人しく捕まれ」
男性はそう言うと、再び俺に鞭を向けて迫ってくる…俺はそれを回避すると逃げるように、夜の道を駆け出した!
「はぁっ、っ、はぁ、…な、何なんだよ、あいつらー」
その後、あの二人は俺を捕まえようと片っ端から追いかけてきた…俺は何とか撒いて、公園へと逃げベンチへ座り込む…すでに、何時間逃げ回ったか分からない程に体は疲れ切っていた…
本当になんなんだよー!
「はぁっ、っ…家まであと少しだけど…」
「お前、逃げ足早いな」
「もう!君、逃げるの速すぎ!」
はー…やっぱり、追いかけて来たか……俺はため息を付きながら降参の2文字を言おうとした瞬間…
タッタータッタラー、タッタータッタラー…
……公園の時計台が0時の音楽を鳴らし、俺達がいる公園へと響きわたる……可笑しい…公園の時計台は夕方の5時以降は朝の9時まで鳴らない筈だ…
俺の思いとは別に、時計台のメロディーは段々大きく辺りを包み込む
「!、なんだこれは」「、せ、先輩」
二人は今の起きている出来事が奇妙な事だと直ぐに気付き、辺りを警戒する……俺はこの奇妙な光景を前に…どこか落ち着き、安堵する気持ちが沸いてくる…
「……一体なにが…」『臆するな』
「「「!?」」」
その時、公園へと響く何者かの声が響き、俺達三人は周りを見渡す…が誰も居ない…
「一体、どこから…」『我が血と肉を渡し、世界を魔術を使い先導する者…その名を"魔術師"』
その声は俺達を無視する様に、つらつらと言葉を放っていく…俺は訳がわからず、ベンチから立ち上がる
「…声のおっさん!俺の声が聞こえるか!!」
『聞こえている、我はお前に聞こえるように発していたが…どうやら、我の結界に入り込む鼠が居たようだが…』
「!、俺は東京本部、魔術師特務捜査官の林だ!何処から声を出してやがる!!」
男性は恐怖と奇妙さからか、辺りに大声で響かせる…
『魔術師特務捜査官?…あぁ、100年前に出来た奴等か…虚しい…魔術師は世界の発展を培ってきた一族だ…排除しようとするとは…やはり、人間とは愚かな存在だ』
「ふざけるな!!俺達は、この世界に魔術を広める訳にはいかない!!」
男性はその声に向かって、言い争いを始めてしまった……本当に何なんだよ…俺は無関係だろー…
『お前の話を聞いている暇など我にはない…さて、少年…我と契約の印を』
「えっ…契約の印?…」
「!、契約の…印だと…?!」
その言葉に、俺は疑問を言葉に…男性は驚きの言葉を…そして、女性は驚きと恐怖のあまり言葉を発しずに顔が真っ青に変わっていく
「あのさー…契約の印って…」
『少年は知らぬのか?…まぁ、教えよう。"契約の印"とは魔術師の中に伝わる選ばれたものだけが契約を交わせる…ある意味魔術師の伝説だ』
「魔術師なんて本当にいるのか?てかー…何で俺がその契約に選ばれたんだ?…俺は魔術師なんて…」
『少し勘違いしている様だが…魔術師とは種族名だ…つまり、お前の両親はどちらかが魔術師だ』
「種族名…!って!ちょっと待てってー?!つまり、俺の父さんか母さんが…魔術師ってことか?!」
『まぁ、そうなるな』
マジか?!…いやー、ないないないないない!!!そんなの…信じたら…俺の常識が…
「…それが、仮に本当だとしても…何で俺なんだー?…俺魔術とか使ったことないけど」
『と、言われてもな…先ず、契約は半場強制に近い。…それに選んだ内容は契約が交わしてからじゃないと話してはならない規則だ』
うわ!めんど!…まー、嘘だったらそれまで…本当だったら……後で考える!!あと!母さん達にぶっちゃけ話を聞いてやる!!
「わかった…契約する」
『そうか…では、ここに契約を立てる…
我が血と肉を渡し、世界を魔術を使い先導する者…その名を"魔術師"…そして、"魔術師"を先導し、新たな世界を紡ぎの言葉で征する者を"魔導士" 我々は、先王:アルステール=ガルゼルフの名を元に新たな王を此処に契約の印を刻む 』
ピピッ"世界の名の元に契約の印を了承、汝名を発せよ"
その時、俺の頭の中に機械音が響きわたる…俺の名前か……自分で言うのは久しぶりな気がする…
「"釜崎 冬"」
ピピッ"契約の名を確認、これより貴方を魔導士として認定します"
……それは、突然だった俺の脇腹の上ら変に焼けるような熱さを感じ……そして、目の前に巨大な火柱が煌々とそびえ立つ
…それがなくなると…そこから、赤い髪に赤い瞳をした…俺より小さな少女が炎を纏ったドレスを着て現れた……
はっ?




