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先ずは紹介から入るとしよう、俺の名前は釜崎 冬……名前で女と間違えられるが歴とした男だ。
物語を進める前に、俺のこれまでの…ちょっとした生い立ちを話しておこうと思う。
…まず何故、この名前になったかは…俺の母親である、釜崎 浩美に何度も聞いたことがある…
『だって、うちの家ってお義母さんがつけるのが慣わしだったのだけど…3番目って事で適当でねー"冬"ってしかもらえなかったからさぁー…お父さんもお母さんも、考えるのも半分めんどくさかったからそのまんま、"冬"になったのよ…えっー良いじゃん!"夏"が生まれた時もそうだったんだから"冬"って名前も直ぐに冬生まれだってわかるじゃん』
…っと言う返答が毎回返ってくる……流石に小学校に上がる時には既に飽きらめ、自分の名前を受け入れていた。
…そんな、ごく一般家庭に生まれた俺だが……小さい頃の俺は…かなり奇妙な子供だったらしい
らしいって言うのは、俺は殆ど覚えていないからだが、今から話す事は…両親や祖母から聞いた話を纏めたものだ
…俺が産まれて病院から帰ってきた後、俺は発狂するように泣いたそうだ、…両親があやしても何の効果もなく、諦めかけてたそうだ
でも…その時、祖母が何気に付けたテレビに…俺は発狂から一転、静かに何時間でも観ていたらしい
…それからは、テレビを付けていれば良い子として両親や祖父母達は安堵した
…だが、2才が過ぎても俺は言葉を喋らなかった…
…一様喋ってはいたらしい…俺の喋っている言葉は日本語じゃない…まぁ、両親はそれを"宇宙人語"と言い、笑顔で通訳をしていた…心配していたのは、主に祖父母だが…兄達は不思議に思っていたが、行動や仕草等で大体分かっていたらしい
…そんな俺も2才半検診の1ヶ月前には、いきなり日本語を喋りだし、祖父母はとても喜んだ…両親はこれで"宇宙人語"を通訳しなくて良いなぁっと思ったらしい
…しかし、3才前後…俺は言葉が全て"敬語"
だったらしい
敬語で何をそこまで、っと思うかもしれないが…3才位の子供が建物を指を指して「あれは何て言う建物ですか?」っと聞く…それはあまりにも不可解極まりない筈なのだが…
「どうやったら、冬くんみたいになるの?」
「何か塾にでも通ってるの?」
ママ友達は、両親にそんな事を聞いたらしい……そして俺は、公立小学校に上がったのだが…
図画工作…小学生初めての授業で、俺は奇妙な物を作った…
「冬くん?…それは、っと…なにかな?」
「フフルクです!」
図画工作のお題は"思い出"だった、…しかし俺は変な生き物を粘土で作り始め、担任を驚愕させた
…そんな、不思議くんっと言われてた俺は…出来るだけ自分の個性を隠し、協調性を持つことに努めた…
…そのうち、幼い頃から近所で良く遊んでいた女の子が一個違いで小学校に入ってくると、…「大人みたいで変」と言われ…それからは、普通の言葉を覚えた……っとここまでが、今まで不思議くんだった俺を見てきた家族が教えてくれた話を纏めた…
…そして、俺は現在14才…中学3年生…12月15日…俺の15才の誕生日が明日に迫った…何処にでもいる普通の中学3年生だ。
ーーーー…そんなこんなで、現在は放課後…ホームルームも終わり、受験を控えた奴等は図書室や教室で残って勉強している。
一様、俺も受験生ってことで勉強をしているのだが……全く、入ってこない。まー、仕方がない、俺は私立に通える程頭の出来も良くない…むしろ下から数えた方が早い……そんな、俺の心を読んでか…隣の席に座る男子生徒が話しかけてくる。
「ふーた、勉強進んでないけど…大丈夫?」ふんわりとした茶色の髪の毛に、綺麗なモスグリーンの瞳をした可愛らしい顔立ちの男子…
こいつは、初芝 織人小学2年に仙台から東京へ引っ越して来てからの付き合い…まぁ、親友って奴だ。…因みに俺の身長は165cmで、織人は175cm…俺の方が身長が低いんだよ!!くっそー!!絶対、こいつより牛乳飲んでるのにー!!
「はっはは…馬鹿な俺に、こんな勉強三昧はある意味地獄だー…」
「もー…仕方がないから、今日は終わりにしよう?…それに、ふーたは今からジンジンの所に行くんでしょう?」
織人は出していた勉強道具を鞄に仕舞いながら俺にむかって言う……因みに、ふーたとは赤ん坊の時から母親が呼んでいる俺の愛称だ…家族や昔馴染みの奴等は俺をふーたって呼ぶ、まぁ俺は差ほど気にしていない……冬って呼ばれるのが一番、屈辱的だからな…
「そうだった…あいつ、もう少し学校に来れば俺の面倒が減るんだけどなー」
「…確かに、週2しか来ないのはあれだけど…一様、不登校なんだからさ。…はい、これノートとプリント、ちゃんと渡してよ?」
織人の机から出されたノートとプリントを俺は「分かってるー」っと言って受けとると、鞄にサッと詰め鞄を肩から下げる。
「よし!んじゃあ、帰ろーぜ!」
「はいはい。」
俺達は学校から出ると、10分位歩いた所で織人の家の前で別れ、…俺は帰り道を歩き…とある場所へと向かった…
……俺がそれから、10分ほど歩いた所にある1つのアパートに足を運び、101号室のチャイムを鳴らすと…「はい?」っとインターホンから女性の声が聞こえてきた。
「すいませーん、ふーたです。仁のプリント持ってきたついでに遊びに来ましたー」と俺が言うと「今開けるわね」っとインターホンから声が途切れると…玄関の扉が少し早めに開かれ、中年の女性が優しい笑みを浮かべて現れた。
「ふーたくん、いらっしゃい。仁は今、夕飯の支度してるから少し部屋で待ってて」
「わかりました」
俺が玄関に入ると、台所からジューッと言う料理の音が聞こえる。そこには黒目にブラウン色をした端正な顔立ちの身長が高い男子が首を捻ってこちらを見る。
「ふーた、来るの早いな」
「今日料理当番だったら態々、遊びに来なかったんだけど?何で教えなかったんだー?」
「だって、ふーた明日誕生日だろ?…明日も学校いかないから今日中に渡したくて」っと男は笑顔で言うと、再び料理を完成させる為に少し速度を上げる。
こいつは、前原 仁中学から一緒だが、仲良くなったのは2年からだ……仁は不登校で、週2回しか学校に来ないが…以外と性格もオドオドしたりとかもなく、普通なんだが…
…中学に馴染めなかったのが理由だ…ある意味、俺達が通う中学は、公立じゃあ珍しい小中一貫校だ…別の学校から入学者も受け付けているが、小学生から築き上げた輪の中に入れない生徒が必ず出てくる……仁はその生徒の一人だ。
「そうかー、んじゃあ。部屋で待ってる」
「うん、直ぐに行く」
台所の右隣にある部屋が、仁の部屋だ…俺はその襖を開けて中に入る…そこに飾られてあるのは、数々のアニメのキャラクターのポスター…そう、仁(+俺も)オタクだ。…好きなアニメの漫画を集めたり、ゲームをするのが俺達の遊びの日課だ…俺は適当に仁が所有する漫画本から戦国時代を題材にした漫画を読んで、仁が来るのを待つ。
15分位すると、仁が良い匂いを纏って部屋の中に入ってくる……今日はカレーだなー
「今日はカレー?」
「ふーたは食い物になると、鼻がきくな」
うるせーやーい、どーせ俺は食い意地がはってるよー
「あー?俺は食い物以外にも反応するだろーが」
「ごめんごめん、よかったら夕食でも食べていきなよ」
んー、その言葉に乗りたいのはやまやまなんだよなぁー…仁のご飯旨いしー
「今日は止めとく、母さんが久しぶりに今日の夜から3日間家に居るらしいからさー」
「へー、珍しい。ふーたのお母さんって確か…トラックの運転手だよな?」
「おう、何か有給使って久しぶりに休みがとれたって言ってたー」
俺の母親である、浩美はトラックの長距離ドライバーをしている…その為、家には殆ど居ない…代わりに父親が家事全般行っている。
「それじゃあ、今日は無双のゲームしよぜ?新しく無双5買ったんだ」
「マジか?!流石、ゲーマー!」
それから、俺達二人は2時間ほどゲームをたっぷりとして、夜7時位に仁の家を出た……あ、ノートとプリント渡すの忘れてたー
………仁にプリント類を戻って渡す…因みにあいつもプレゼントを渡すのを忘れていたらしいから丁度よく、アパートから出てきた所だった…中身は家に帰ってから見ることにした俺は、仁と再び別れ、自宅に向かって歩き出す…
仁のアパートから俺の家までは歩いて5分程度で着く…築30年の一戸建ては20年前に中古で祖父母が購入した…少し、古いがこの家で過ごしてきたから、今さら文句もない。
俺は玄関の小さな扉をスライドさせて玄関へと入る…どうやら、母さん以外は全員家に帰ってきているらしい…珍しい…俺は直ぐに、鞄を2階に続く階段に置いて、リビングへと足を運ぶ
リビングへと入ると、台所で細身の男性が料理を作っているのが目に入る
「ただいま」
「おかえり、ふーた。ちょっと手伝って…父さんだけじゃあちょっと厳しい」
「わかったー…命令出してくれ」
「はいはい、それじゃあ。キャベツとったらこっちの炒め物お願い」
この男性は釜崎 政文俺達の父親で47才…マスオさんってやつだ、だから一緒に暮らしてるのは母親の親だ……見た目は、顔が少し彫りが深く、黒目黒髪だが…今は禿げて坊主にしている。…ちょっとイカツイ感じもするが…
「お、ふーたか。おかえりぃ」そこにリビングのソファーから声を掛けられ、俺は首だけをそちらに向ける。
そこに居たのは、髪を染めた茶髪に青色のコンタクトを入れた180cm程の青年だった
「晴野かよー、珍しいじゃん家にいるなんて」
「まぁ、俺もなんやかんや母さんと休みが被ったんだよ…特に遊ぶ用事も無いしな…はぁ、家に居たくねぇ」
こいつは、釜崎 晴野俺の4つ歳上の兄貴だ…見た目はヤンキーで昔は以外と手伝いとかしていた…今は土木関係の会社に勤めているが、今は冬の為…アルバイトをしている。来年の春には20才になる。
「まー…俺もあって何か話する訳じゃないし、一様あれでも母親だろう?」
「そうだけどよ…俺、昔から母さんから喧嘩で勝てねぇんだよ」
「まだ、勝つことに意識してんのかー?止めとけよ…あれでも元スケバンだろ?」
「まぁ、ヤンキーの俺が敵わねぇけど…」
俺達の母親…浩美は学生時代は名高いスケバンだったらしく、晴野が中学からの反抗期で殴り合いの喧嘩をしたが…一発も当てることが出来ずに敗北した…
それから、俺達兄弟は母親には、どうも頭が上がらない……晴野も決して弱い訳じゃないのだが、母親が強すぎる……母親の武器は力じゃない…何かの武道を巧みに使い分ける技術だと父親が言っていた。
…父親も、昔の夫婦喧嘩で思いっきり投げ飛ばされたと言っていた……言えば俺の家は女性主義の家だ……それは、母親と祖母が強いせいだろう…
「あれ?何の話?」
リビングに入って来たのは、ジャージを着た…これまた、キンキンに染めた髪に灰色のコンタクトをした175cm程の高校生が入ってくる。
「夏、帰ってたの?」
父親の言葉をかけるとその高校生は頷きながら「少し部屋で彼女と電話…ってふーちゃんも帰ってきてたんだ」
「ってか、その呼び方止めろよー…いつから変わらないんだよー」
「いいじゃん、ふーちゃんはふーちゃんでしょう」
こいつは、釜崎 夏俺の1つ違いの兄貴で、高校1年生…高校生が髪を染めて良いのかと聞かれるが……良いんだよ…夏が通う高校は制服を着て来るのが条件だが、髪型やピアス等もOKな自由な校風らしい……あと、夏の口調はヤンキーには珍しいおっとりとした物だが…これは、夏がお父さんっ子だった事が影響しているから、家族はあまり気にしたことがない
「それより、皆ご飯だから早く準備して…ふーたはお皿を持ってきて、盛り付けするから」
「うん」
……それから、俺達は飯やら風呂やらをして寝床につく事にした…




