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雨乞い

作者: さきら天悟

「こんな時に車、洗ってるんじゃねッ」

男は痩せた中年男を罵った。


「この水不足にッ」


男は昨日のテレビの情報番組を思い出した。

今、利根川水系のダムの貯水率が半分を切っている。

解説者によると、暖冬で雪解け水が少なかったという。


それにしても、腹が立つ。

テレビの情報番組は節制を呼び掛けていた。

『1分シャワーを止めよう』と言って。

でも・・・

その後のバラエティー番組・・・

タレントの上に巨大水風船を落とす。

落とし穴に落とす。

粉や埃だらけにする。

それが繰り返される。

それを洗い流す大量な水。

視聴者を不快にするのが分からないだろうか。

この水不足の時には、番組を中止すべきだろう・・・

こういうのが不倫と言うべきだ。

犯罪ではないが、倫理がない。



男は天を見つめた。


「こんな時は、コウメイしかない」

最強の雨乞い師。

三国時代の。

お馴染み、諸葛亮孔明、蜀国劉備軍の軍師である。

天才軍事戦略、戦術家で、政治家でもあった。

彼は天候さえも操ったと云われる。

雨を降らしたり、嵐を止めたり・・・



男はもう一度吐き捨てた。

「こんな時に洗車するな。

今日は、風呂はやめて、簡単にシャワーにするか・・・」




次の日、雨が降った。

大雨だった。

男の行いが良かったのか。

いや、そうでもなかった。



「いや~、昨日、怒られなったなあ~

私も、洗いたくなかったけど・・・

私が洗車すると、次の日、絶対に雨だからな・・・」

彼が雨ごい師だった。

彼はテレビを見ていた。


「しょうがない。

今から株を買うか」


次の日、イギリスのEU離脱で連日下がった株が初めて上がった。

彼は最凶の男だった。

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