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もう一度奇跡がおきたなら 作者:茅野真奈
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二度目の召喚されちゃいました

 ありえない。ホントありえない。

 足元では魔法陣みたいなのがあるし、コスプレとしか思えないファンタジーっぽい衣装を着た人が前方に並んでるし、チラッと後ろを確認すればでっかい水晶がほんのりと光ってる。
 ありえない。ホントにホントにありえない。
 一番ありえないのは、こんな場面に遭遇するのが二度目だってことだ。コスプレのおじさんやお兄さん達の半数近くは見覚えがあるってんだから脱力する。
 私がいる場所はでっかい水晶の前の壇上で、目の前にいる人達よりも数段高い位置に立っている。見下ろしている先にはこの世界の王様もいらっしゃるよ。最後に会った時より老けてて、こっちでもやっぱ年月経ってんだなぁって実感した。
 隣に立ってるのって、王子様かなぁ。
 あんまり関わりなかったというか、うるさい奴って嫌われてたから避けられてたし、顔と名前覚えてないや。私は王子様って呼んでたし、周囲は殿下って呼んでたからな。確か私より二、三歳年下だった気がする。
 王様達の両サイドには騎士。
 ぶっちゃけ王様よりもキラキラしている人は絶対にシヴァ様だよね。すっごい美形なうえ、金の髪が光を反射してマジでキラキラしてる。立ってるだけで派手だ。
 もう一人はハインリッヒ様かな。厳ついし地声が大きいおじさんで怖かったんだけど、よくお菓子をくれたことを覚えてる。今から思えば、怯えて泣いている私を慰めようとしてくれてたんだろうね。
 さらに視線を巡らせたら、ウィルを発見した。
 込み上げてきたものをグッと押し込める。でももう一度その姿を見れたことはうれしい。でもさ、視線が絡んだはずなのにウィルは無反応なんだよね。別にいいんだけどさ、なんかちょっとね。うん。
 他にも視線を向けたけど、名前までパッと思い出せるのはリオン様くらいかな。白髪交じりだった髪は完全に真っ白になってるけど、こっちのほうがかっこいい。立っている位置と服装見る限り、今もリオン様が神官の中でも一番偉い位置にいるみたい。
 他の人達は顔くいらいなら見覚えある人はいるけど、名前はダメだ。というか、なんかみんな私と目が合うと、パッと逸らす人が多いんだけどなんでだ。動じなかったのは名前を覚えてる人達くらいなんだけど。
 ってか男の人ばっかりだね。私だったからよかったものの、男の人ばっかりのところに突然放り出されたら、女の子ってものすごく怖がるんじゃないの?
 私の時は女の人もいて、安心させるかのように傍に寄り添ってくれた気がする。初っ端から錯乱して周囲に当たり散らしたから、その女の人は即効で逃げたけど。
 確かシヴァ様に両肩を掴まれて、真正面から「落ち着け」って言われたんだよな。あまりにお美しい顔に素でビックリして思考が止まり大人しくなったはずだ。だからシヴァ様が今回もいるんだろうか。

「異なる世界の者よ」

 わー、王様の声は相変わらずステキなバリトンだね。まぁこの四年でどんな声だったか忘れちゃってたけど、実際に聞いたら懐かしいなって思い出したよ。
「ここはティオレ。私はレオドール・ディ・ティオレ。この世界の王だ」
 うんうん、知ってるよ。私にとっては四年ぶり。お久しぶりです王様。
「我が世界は異なる世界のそなたに、巫女として助力を願いたい。不自由はさせぬ。危険なこともない。ただ聖石へ祈りを捧げる儀式を一定期間行ってほしいのだ。終われば、必ず元の世界に送り届ける」
 前の時と似たような文言で、役割も同じだね。最初の時は意味がわからなくて錯乱したけど、今回は騒いだり泣いたりしないから安心して。
 それにしても、二度目の私に対しても形式通りの文言を使わなくてもいいのに。これも召喚の儀式の一環だからなのかな。
「故に、力を貸してもらえないだろうか」
「儀式が終わらなければ帰還の儀も行えないですよね? もちろん今回もお役目果たします。王様」
 お役目が完了した時に高まった神力を使わないと、帰還の儀が行えないことは前回学んだ。帰りたいから、今回は駄々をこねずに最初からしっかりお役目果たします。
 そう思ってキッパリと言い切ると、なぜだか王様がポカンと間抜け面になった。王様の両隣の騎士も、その周囲にいる神官達や政官達も、驚きに目を見張ったり、王様みたいな間抜け面になっていたりする。どうしたんだ?
 もしかして、最初の時はこの時点で怯えて泣いて怒って暴れて大騒ぎした私が、あっさりと了承したせいかな。私だってあの頃とは違うよ。成長してるんだからね。
「な、なぜ平然としているのだ? 前の巫女は突然すぎる召喚に状況が理解できなくて酷く取り乱したんだが……」
 なぜって、二度目だからに決まってるじゃん。というか、「前の巫女は」ってなんだ。「前回のお前は」とかでいいでしょ。前の巫女って言い方をすると、まるで別人みたいな――。

 ん? 待った。もしかして私が誰だか認識されてない?

 そんなバカな。四年ぶりとはいえ、二年間この世界に滞在していたんだよ。しかも巫女っていう立場で。そんな簡単に顔を忘れられるなんてかなりショックなんだけど。
 ……いや、そういえば長かった髪を肩まで切ったし、パーマをあててくるくるにしたからさらに見た目短くなってるし、髪もダークブラウンに染めてるし、化粧レベルも上がって付けまつ毛で目元パッチリだったりするんだよね。それって、かなり見た目の印象変わってるんじゃないの。パッと見は別人に見えたっておかしくないかもしれない。
 しかも格好だって、前回はセーラー服だったけど今は私服だ。しかも休日だったから、キャミソールにミニスカートっていう夏らしいファッションだ。
 でも冷静に考えると、手足をこれだけ露出している格好って、こっちじゃ裸も同然かもしれない。あ、もしかして、目が合うとそらされた原因ってこの格好のせいか。目のやり場に困ってたのね。それは申し訳ないことをした。でも突然召喚したそっちが悪い。
 でもどうしよう。ここで名乗ったほうがいいのかな。イメチェンしたからって誰にも気づかれないのは悲しい。でも名乗らないことには話は進まなさそうだし、ちゃんと名乗ろう。

「あの、私は――」
「ハナ!?」

 名乗る前に呼ばれた。気づいてくれてありがとう誰か。
 呼んでくれた人のほうに視線を向ける――と同時に後ずさった。だって、ウィルが上着を脱ぎながら猛然とこっちに迫ってくる。驚きと怒りがごっちゃになったような真っ赤な顔にビビる。
 でも、神聖な壇上に上がるのは辛うじて思いとどまったみたいで、下から思いっきり手にした上着を投げてきた。

「なんて格好してるんだっ!」

 やっぱ、この露出の多い格好はアウトだったか。
 ってか投げつけられた上着には装飾がいっぱいついてるせいで、顔やら手が地味に痛いよ。
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