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死霊王(アンデッドロード)は眠らない  作者: 谺響
ロード、侵入者です!
2/77

お前が魔王かっ!?

「お、お前が魔王かっ!?」


そう言ってナイフを握り締める女盗賊。だが見るからに腰が引けている。まぁ、このコも自分の力量(レベル)が足りてないって自覚はあるんだろうねぇー。

取敢えず、問われれば答えるしかあるまい。


「いかにも!我こそはあまねく地の亡者を統べる者!死霊王(アンデッドロード)にして第49代魔王、L.D.オールドウィローであるぞ!頭が高いわ、ニンゲン風情がぁぁっ!」


漆黒の法衣を翻し、睨みを効かせる。部屋中に響く怒号に圧され尻餅をつく盗賊。おー、チビっとるx2ww


「とは言え、その力量(レベル)でここまでたどり着くとは天晴れ也。そなたの幸運を讃え、何か褒美をとらせようぞ」


「ほ、褒美?」


「うむ」


恐る恐る尋ねる盗賊に仰々しく頷く。まぁ、このパターンは「命ばかりはお助けをー!」かな?それならイビルアイ(稀少種)の出番だ。()()()()助けてあげよう。()()()()


「そ、それじゃあ一つだけ教えて下さい」


「うむ。何なりと申せ。」


「……私達が無事に帰るには、どうしたらいいですか…?」


その問いに笑いがこみ上げてくる。もう、抑えが効かない。


「くっくっく……ふふ…ふはははははは!!笑わせるな、ニンゲンが!我が居城に乗り込んできてからに無事に帰ることが出来るとでも思っていたのか!?我の首を獲りに来たのならば、当然死をも覚悟しておろう?」


杖で大理石の床を叩き、召喚を行う。盗賊の両脇に姿を現したのは2体のイビルアイ(稀少種)。その目玉モンスターは獲物を目の前に汁(涎?)を垂らし、ピンク色の触手を蠢かせながらも、お行儀よく主の指示を待っている。


「ひいっっ!?そ、そんな滅相もないです!私達、力量(レベル)弁えてますから!ちょっとその辺をマッピングできたらいいかなぁーってくらいのつもりで――」


「そんなお散歩気分のノリで来られちゃぁ、たまったもんじゃないわ、ヴォケッ!!」


「うわぁぁぁぁぁ!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!」


なんかもう、必死すぎて笑える。まぁ、そろそろこの辺が落とし所か?イビルアイ(稀少種)を送還する。


「そんなに帰りたいか?」


コクコク

「そりゃもう、出来ることなら今すぐにでもお暇させて下さい!!」


「ならば、貴様は帰してやろう。ただし、条件がある。まずはついてこい」


促されて立ち上がろうとして盗賊は足を滑らせ、再び尻餅をつく。思い出したように顔をしかめると、バンダナとスカーフをほどき、それで内股と床にできた水溜りを拭う。どうやらごめんなさいも後始末もちゃんとできるいい娘ちゃんだった。




!魔王城.B1:秘密の通路->秘密の部屋


玉座の裏の隠し階段を降りると秘密の通路が続く。この通路とその先にある部屋は直属の配下でもごく限られた一部の者達しかその存在を知らない、トップ・シークレット。部屋の入口に立つ長身の骸骨騎士(スケルトン・ナイト)がこちらに気付く。


「あれ、ロード?どうかしたんスか?」


(軽っっ?!)


「まぁな」


「そっちのおm…お嬢さんは?お客さん?」


「んん、まぁ、そんな感じ?」


言いかけて止めるくらいのデリカシーがこいつにもあったのか。ちょっと感心しつつ適当に返しながら、扉を開ける。と、間髪入れず物凄い勢いでちっこいのが胸元に飛び込んできた。


「おーしゃまーーっっ!!」どふっ!


「おうおう、もうちょっと手加減してなー。首が落ちるから」


飛び込んできたのはこの部屋の住人、幼い少女。要は幼女。えへへといたずらっぽく笑うその顔はよしよしと頭を撫でることで更にご機嫌満点の笑顔へと、パワーアップする。勿論、あと2回も変身を残している。


「え?人間の、女の子?なんでこんな所に?囚われのお姫様とか?」


「未成年者略取とかしませーん。ただの迷子でーす」


あらぬ疑いは即刻否定する。幼女リーザも「まいごでーしゅ」とそれに倣う。意味分かってんのか?


「ちょっと前にここに迷い込んで来たんだけど、手ぇ焼いててな。だからこいつのこと、お前に頼みたいんだわ」


当事者である盗賊と幼女が揃って首を傾げる。


「要するに帰してやるから、こいつも連れて帰ってくれ、ってこと」


「そういうことなら……構わないけど…」


「ヤダーーっ!」


リーザが泣きながら足にしがみつく。


「リーザ、ここがいいっ!ここに、いるっ!」


「いつまでもこんな窮屈な所には居られないだろう?それに、ここにはリーザのこと食べちゃいたくて仕方ない怖~いおじさんや狼さんがい~っぱいいるんだ」


これは結構、ガチ。純真無垢な人間の幼子なんて悪魔族(デーモン)魔狼族(ウルフ)あたりに見つかったら、大事だ。でなきゃ、こんな秘密の部屋にひっそりと匿いやしない。


「だから、聞き分けてーな?な?」


説得にも聞く耳持たず、リーザは泣きじゃくる。盗賊もなだめに入る。


「えっと、リーザちゃん?お父さんやお母さんも心配しているんじゃないの?」


「う゛っぐ……」


「リーザちゃんはお父さんやお母さんに会いたくないの?」


「……あいたい…」ひっく


おぉ?落ち着いてきた?意外とやるな、盗賊。

イビルアイ(稀少種)

悪魔族。巨大な目玉のモンスター。体長約1m。

稀少種は鮮やかなピンク色。沢山の触手が怪しく蠢く。

主な攻撃

・触手攻撃

・つぶらな瞳

・とっても危険な汁


ロード「RPGものじゃぁ、お約束のキャラだな。攻撃能力はないに等しいが、特殊能力がエグイ。搦め手としては最強クラス」

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